616.ゆる~い小学校生活…その86
サイコー小学校の入学式から1ヶ月経ちました。
建前ではないんですが、一応このサイコー小学校内では貴族、平民の身分関係なく、同じ生徒なんでよ。
上下関係なんてないはずなんです。
でもですね。
まだ生徒の間では身分の上下に引きずられている感じがし、まだ教室内では、ちょっとピリピリするぎこちない空気が流れているようで感じます。
本来、こういった問題は、時間があれば解決するかも知れません。
ただ、元いた世界の小学校と違ってサイコー小学校は6年制ではなく1年制ですから、時間での解決方法は望ましくはないんです。
だから、別の即効性の方法を考える必要があるんですよ。
と言うことで、先人の知恵を活用です。
簡単に言えば学校行事です。
イベントですね。
やはりイベントは特別なモノなんですよ。
ノベルゲームだって、1枚絵は基本イベントにしかないですからね。
だから、そんなことがあろうかと、予めサイコー小学校では春のイベントが予定されているんですよ。
「明日は、『湖の乙女』キャンプ場で、お泊まりキャンプだよ。みんな、予定通り、出席で大丈夫だよね? 大丈夫な子は、手を挙げて~」
ユノ先生が重要そうな事柄を、さらっと確認をとってきた。
ひとりひとり丁寧に確認とったとしても、結果は一緒だと思うので、スルーしておきますね。
ちなみに『湖の乙女』キャンプ場は、久々にです。
ここ最近行く機会がなかったですからね。
マッコォイさんに管理を任せていたし、『湖の乙女』キャンプ場は大人数でのピザパーティ目的くらいしか来る機会なんて無いですよ。
でも、地下には…………って何でも無いです。
「「「「「「はーい」」」」」」
ちょっと恥ずかしい気持ちもあるけど、ボクも返事をして素直に手を挙げた。
この世界では小学生ですからね。
潜入工作員の仕事と思えば、これくらいの演技なんて超余裕です。
「キャンプのしおりの中に、持ち物リストがあるから、忘れ物をしないようにね。ユノ先生とのお約束だよ」
『お約束』だと言われると、『お約束』をしないといけない気がするのは気のせいでしょうか?
まぁ、忘れたとしても、魔法でなんとかできちゃうので、注意されるだけで、意味がなさそうですね。
と言うか、ユノ先生に借りを作る感じになるので、デメリットしかなさそうです。
「「「「「「はーい」」」」」」
『お約束』の『お約束』はしないでおきましょう。
ホント、なんだかんだ言って、ユノお姉ちゃんは、当初の不安を払拭するくらい先生をしてくれてます。
「ピザ用の最低限の食材は学校で準備するけど、食べ足りないと思う子は、現地調達する時間があるから、がんばってね。あと、お肉は持ち込み3キロまでOKだよ。でも、多く持って来たり、余ったりしたら、ユノ先生がペロリと食べてあげるから、ちゃんと計算して持ってきてね」
本気か冗談かは分かりませんが、毎度のことながらユノお姉ちゃん株の株価の乱高下が酷いです。
でも、学習はして欲しいですね。
って、仕事でも使っている自前のアイテム収納に入っている食材の全てカウントされるんでしょうか?
水産物の方が在庫がありますが、肉だってそれなりに在庫を持っているんですよ。
もしかして、本気で数百トン単位のお肉を没収するんでしょうかね?
でも………………ユノ先生が言ったとおり、『湖の乙女』キャンプ場の敷地内では、現地調達できるので、持ち込み無しで申請してもいいのかも知れないです。
万が一、お肉が必要になったら手持ちの在庫を出せば良だけなので、わざわざ買いに行く必要もないですね。
「絶対に忘れちゃダメなのが、集合場所と時間ね。時間は学校の始業時間と一緒だから大丈夫だと思うけど、学校前の桜の広場だからね。間違えちゃダメだよ。特に今回は『湖の乙女』キャンプ場までの往復に、『EX』…………『真空チューブ列車』を貸し切っているから、集合場所を間違えて、遅刻なんかして出発を遅らせたら、賠償額はダキニ先生の借金以上になるって聞いているから、本当に絶対に遅刻は厳禁よ」
と、ユノ先生が言っていますが、『湖の乙女』キャンプ場へのルートは専用線です。
プラットフォームすらも専用になっているんですよ。
ただ、サイコー小学校の学校行事以外での利用はほぼないですね。
龍騎士や、私兵部隊の訓練で使うときは、『EX』は使わないほうが良いですし、一般客の利用者数とかを考えると、赤字路線になるのは確実です。
でも、『湖の乙女』キャンプ場は、学校行事で利用するとなると便利なので、利用するとなると、小学生でも安全に利用出来る交通手段として『EX』が必要になるんですよ。
冒険者の護衛を付けてのホバーキャビンでの移動は無理じゃないですけど、無駄にお金と時間がかかし、安全面を考えると安全マージンが取れなくて非現実的なので回避しました。
実際、お金の方はどうでも良いんですけどね。
維持管理さえしなければ、『EX』は魔法で作るだけなので、年に数回の利用でも赤字にはならないです。
ただ、準備があるので、予約は必須ですね。
「ランスロットくん。お肉を買いに行くのですよ」
「…………ししょー…………おにく………………」
「お肉は正義。絶対必要」
「ランスロット様、シィルもお肉を買ってみたいです」
「みながお肉を買いに行くのなら、わらわも付き合うのじゃ」
お肉は在庫があるので、特に買いに行く必要がないのですが………………もしかして、自分で買いたいお年頃なんでしょうか?
大陸歴2022年
お肉の買い出しに付き合わされた一人の少年が、謎の女腹ペコ姉妹たちに出会った
この時から少年の心は不滅の胃袋への憧れだけが支配した
次回より始まる新番組、真空チューブ列車999
『旅立ちの食材』はいよいよ出発進行!




