006.菜食主義の始まり
もちろん、正しい知識……チートの魔道具で作ったミネラルたっぷりの天然塩………魔法塩は不味いはずもなく、トルネドさんのお買い上げとなった。
トルネドさんは岩塩の売値と同じ価格で買った。
エルフティアに持ち帰れば、品質的に岩塩より高く売れると思ったんだろう。
そのお値段は塩1Kgでなんと金貨1枚、約1万円だ。
お父さまは、岩塩を20Kgを買うのではなく、20Kg売ったんですよ。
だから、支払う予定のお金が倍になって手元に残っている。
「これで、お金に余裕が出来たから、食事にお肉が出てきますね」
人生……ハイエルフ生、肉に、肉に、肉です。
催促がてら、ニコニコしながら、お父さまにそう言った。
「あ、いや、その件は、お金の問題じゃなかったんだが……えっと、その、エルフの食事事情が……」
お父さまが言いよどんで、お母さまたちの方を見た。
ああ、そう言うことか。
すっかり、抜け落ちていた。
肉屋……お店なんてこのブリタニアン領には存在しないので、食べたかったら、自分で狩ってくるしかない。
お父さまを始めとして側近の人たちは腕に覚えのある人ばかりだから、近くの森で獲物を狩って来れないはずはない。
食卓に上がらないってことは、そもそも、うちの食料として狩っていないってことだ。
お母さまに合わせた献立だったようだ。
今でこそ、エルフも菜食主義をうたっているが、そもそも、エルフも雑食である。
ボクが魔法創造で創造した魔法で植え付けたボクの中にあるこの世界の知識では、エルフは肉や魚も食べていた。
肉や魚を食べなくなったのは……。
チート魔法で植え付けた意味の無かった文字列が、シナプスで徐々に繋がっていき、情報、そして知識となり、目的の知りたいことに辿り着いた。
そう、エルフの集落のお偉いさんが、狩猟で成果がなかった日の言い訳で、シーターさまのお告げを捏造したんだ。
『菜食主義者になることで、ハイエルフが生まれてくる』
そうして、菜食主義とハイエルフ至上主義になっていった。
エルフの集落から王国になった今になっても、それは変わっていない。
だから、エルフティア王国の王位継承権の優先度はハイエルフが高くなっている。
つまり、ボクのお爺さまの下手な言い訳が原因で無理矢理に菜食主義にさせられている!?
くっくっくっくっ。
と言うことは、エルフティア王国を滅ぼせば良いんですか?
そんな簡単なことだったんですね。
食事の恨みは怖いですよ。
肉、肉、肉、肉……。
あ、お父さまがたまに外で食事をしていたのはこれが原因だったんですか。
お父さまも、まとめて、広域殲滅魔法ですぐ終わります。
アニメで見た魔法を再現して、全力全開で魔砲をぶっ放せば良いんですからね。
まぁ、冗談はさておき……。
【検索:近くの海の幸】
結構な量が出てきた。
浜辺にいるからね。
食事に出てこないのなら、自分で作れば済むことです。