045.はがねの錬金術師(?)伝説…その6
「おいおい、ダレがこの状況を説明してくれるんだ? オレの1ヶ月間はなんだったんだよ。坊主が何かやったのは分かってるけどよ……」
やさぐれモードのケイ叔父さん。
お父さまの代理で、1ヶ月かけて王都ウェールズまでやって来たのに、トンだ無駄足になってしまったんです。
普通なら、これくらいのやさぐれくらいいいんですけど……。
「バン、周りは身内がほとんどとはいえ、まだ、謁見は終わっていないんだぞ。それに、いついかなるときでも作法や仕来りを守るのも貴族の役目だ」
お城には周辺のポストには初代から続く身内が多いらしいです。
多少薄くはなっているけど、ほぼ血縁関係?
「オレはもう貴族じゃ……」
継げない実家の貴族の家を出て、お父さまの陪臣をしているんです。
まぁ、貴族じゃなくても国王さまの前です。
作法や仕来りは守らなくてはいけません。
そんな、ケイ叔父さんの言葉を遮るように、お偉いさん(仮)が声を発した。
「ブリタニアン男爵、前へ」
打ち合わせ通り、お父さまが呼ばれました。
「はっ」
スッと、ひいおじいさまの前に出るお父さま。
かっこいいお父さまが、帰ってきた気がしました。
本当に気だけです。
目の下にクマが出来ていなければ、満点でしたのに…………。
で、クマが出来た理由があれですから、25点くらいのお父さまです。
「今回の功績をもって、伯爵の爵位を与える」
海塩やうな子関連の手柄ですね。
お父さまの一言がなければ、うな子を眷属に出来ませんでした。
「はっ……………………えっ? 子爵って話じゃ? じーさん………いや、国王さま?」
ちょ、ひいおじいさま、予定と違うんですけど?
アドリブにしては、大きな違いです。
「出世欲が無いな。上が上がらなければ、下が上げれないだろう。分不相応なのは分かっておる。だがな、この世界がどれだけの人がいたとしても、このランスロットの父親は、バンしかいないんだ。どんなことがあっても、ランスロットの指導者、理解者、そして、唯一無二の父親として、このランスロットを守ってやってくれ。シーターさまの加護を持っていても、年相応に見えなくても、このランスロットは、まだ、この世に生を受けて3年だ。バン、それはお前とエルフティアの姫君が一番理解しておるだろう。そして、守るには、力がいる。物理的な力なら、バン、お前やケイがいれば普通のモノには負けないだろう。でも、身分を出されたら、ランスロットを守れるか? 守りきれるか? 俺の目の届く範囲なら何とかしてやれるだろう。俺の目の届かないところや、俺がこの世を去ったら…………いや、その時は、ランスロットが後を継ぐから問題ないか。どうだ、バンよ。ランスロットやエルフティアの姫君、そして、家臣、ブリタニアン領に住まうモノたちを守る力はいらぬか?」
諭すように、お父さまに語りかけたひいじいさま。
死んだ後のことだけは、余分ですよ。
「…………ありがたく、頂戴いたします」
ここまで、言われたら、断れませんよね。
「うむ、今後も励めよ……いろいろと励んでいるみたいだが……そして、宙に浮いた男爵は……」
ここまでくれば分かりますよね。
「我が家臣、ケイにお願い出来ますか? 息子には俺の爵位を継がせます。これだけの息子です。継がなくても、自分で爵位くらい貰うでしょう」
ケイ叔父さんは、お父さまの方を見てパクパクさせています。
さっきもやってましたよね?
「バンはそう言っているが、どうだ? ケイ」
「ありがたいお話なんですが……」
って、断るか。
まぁ、これも予想通りの返答だ。
「分かっておる。分かっておる。バンの近くにいたいんだろう。昔から仲が良かったからな。男爵でも法衣扱いにしておいてやる。やる領地もないしな。ただ、領地のない男爵はモテるぞ、しがらみが少ないし、パーティもしなくてもいいから余分な出費も無くて、収入も安定しいるからな。それなことより、バンの近くのほうがいいか? ざんね………………………、そんな目で見るな、男爵の爵位をやるから泣くな。ブリタニアン男爵が陪臣、ケイ。今後、姓をエクトルと名乗り、ブリタニアン領、そして、我が国を守る剣となれ」
涙の流れた目を袖で擦り、ケイ叔父さんは宣言をした。
「はっ、ケイ・エクトル、姓と爵位、ありがたく、頂戴いたします」
なんか、しまらないまま、エクトル卿が誕生した。
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