041.はがねの錬金術師(?)伝説…その2
修羅の○のジルコォー・マッイイ○ォをもじった。
くっ、ダレも信じてくれない。
長蛇の列。
リヴァイアサンのうな子よりは短いが、王都ウェールズに入ろうとする人が蛇のように並んでいる。
く、我慢、我慢、ボクはきちんと並ぶことのできる人種です。
いや、並べない人種なんているのか?
こんな中世レベルの人たちでも、ちゃんと並んでるんだぞ?
でも、さすがにこの行列は長い。
まぁ、普通に門兵の人が仕事をしてくれてればいいんだが、若い女性が来ると、仮説テントからボンボンらしき人が出て来て、セクハラ紛い…………いや、完全なセクハラをして時間をかけて検分するんだ。
セクハラをしている間も、他のヤツらが仕事をしてくれればいいんだが、ニヤニヤした表情でそのセクハラを見ているだけなんだよ。
でも、ボクは我慢できる子。
「オーナー、あいつら、殺っちゃっていい? 殺っちゃっても問題ないよね?」
ただ、我慢できない子もいる。
「主さま………おいちゃん………厭きた………あいつら………殺っちゃっていい?」
ここにも我慢できない子がいる。
これは仕方がないだろう。
セクハラにも許せないが、それで間接的に直接的に迷惑を受けているんだ。
「坊ちゃんも大変ですねぇ」
後ろにいた小柄で細身な丸い小さな眼鏡をかけたおっさんが話しかけてきた。
いや、腰が曲がってるしお爺さんに近いかも………。
そして、ボクと目線を合わせるために片膝を地面につけた。
そこまでは、理解出来る。
ただ、手を胸に当てている。
まるで謁見の間で国王の前にいるようなポーズだ。
偶然かわざとか?
………それとも、ボクが考え過ぎているのか?
「いやー、ごめん、ごめん。わしも退屈でねぇ。面白そうな話をしてたから、思わず話しかけたんだよ。ああ、失礼、わしは、マッコォイ・ジードライ。息子に店を譲って引退してエルフティア王国で余生を過ごしていた身なんだが、エルフティア王国での噂を聞いてな、残りの人生をローリーペッタン王国の王都ウェールズで一旗上げて歴史に名前を残せないかと思っている商売人さ。姓があるからって貴族じゃないぞ。ちゃんと買ったんだよ。狂気半島のドリームランドでな。なんでも売ります買いますのドリームランド。夢と希望と真実だけはなかったが………、ああ未来もな…………。と言うことで、『金さえ出すなら、ドリームランド以外からならなんだって仕入れてきてやるさ』が心情のマッコォイ商会のマッコォイ・ジードライさんとはわしのことさ。こっちは荷物持ち兼護衛の奴隷のブービーだ。これも何かの縁だ。よろしくな坊ちゃん」
見た目3歳児のボクに、真面目に挨拶をしてくるマッコォイさん。
普通の人……いや、最上級の相手として見ているようだ。
と、考えるとさっきのポーズはわざとっぽい。
ブービーと呼ばれた奴隷のブービーは黙って会釈をしてきた。
首に嵌められているのは魔道具に見せかけているだけっぽいな。
奴隷と紹介されたが、奴隷ではなさそうだ。
筋肉の付き方や足運びを見る限り、ケイ叔父さんと同じくらいの強さか?
ボクはマッコォイさんに差し出された手を握った。
ぞくり
背中に冷たいモノが走った。
他国からの援助を受けているなんちゃって政治屋ではなく幕末とかでも活躍出来る本物の政治家のような感じだ。
絶対、敵にしたくないタイプの人間だ。
もちろん、それを表情に出さずに挨拶をした。
「よろしくお願いします」
名前は名乗らない。
こんなところで、本当の名前を言うわけにはいかないし、うそを吐きたくない。
そうした、ボクの内面とは裏腹に、お稲荷さんとくも子もきちんとお辞儀をした。
前話が不評だったっぽいので、てこ入れ。
と言っても、予定通りのお話…………。
ただ次話からボス戦方向に向かいそう。
ちなみに、ジードライのドライはドイツ語




