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異世界転生 海の見える領地でやりたい放題(仮)  作者: 辛味亭
第1章 光物を求めて
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002.マーリンの災難

 ローリーペッタン王国ブリタニアン領、人口61人。

 王都から一番近くて一番遠い領地。

 直線距離は王都から一番近いが、王都との間に大きな川と魔物の住む森、ドラゴンの住む岩塩山があるため王都に行くためにはそれらを迂回して行かなくてはならないので、王都までの日数は領地の中では最長の1ヶ月はかかる。

 その上、領地のほとんどが沼地と砂地……砂漠といってもいいくらいだ。


 エルフティア王国と隣接した土地で、王家直轄地として開拓されず……開拓する価値もなく放置してあった領地で、お父さまが男爵叙勲と同時に拝領した。


 エルフティア王国の王位継承権第一位の第一王女のエレイン……そう、お母さまと爵位や領地のないお父さまとが少しでも釣り合うようにと、いろいろと手を打った結果が、お父さまの男爵叙勲とブリタニアン領の拝領だ。


 お父さまは、一応、王家直系の血筋で王位継承権第128位。

 文武両道でもあり、若くして近衛騎士団の副団長をしていた。

 お母さまがエルフティア王国の使者として来国したときに、近衛騎士団として、警備に就いていて、お父さまのその甘いマスクにお母さまが一目惚れしたそうだ。


 お父さまも、一目惚れしたそうだが、隣国のお姫様と言うことで、結婚については諦めていたようだ。


 で、エルフティア王国から、結婚の話が来て、とんとん拍子に話が進み、結婚し、ボクが産まれたわけだ。




 今日は、1ヶ月に1度、エルフティア王国の商人のキャラバンが来る日だ。


 来るのことは知っていたけど、3歳の誕生日がくるまで、屋敷の敷地外には出てはいけないって言われてたので、商人には会ったことはない。


「マーリン、商人のキャラバンを見に行きたいんだけど……」


 ボクの3歳の誕生日から、ボクの護衛についているエルフティア王国から派遣されているマーリンにお願いしてみる。


「お坊ちゃま。今日、マーリンは、ゴロゴロしてたいですぅ」


 リビングで、ゴロゴロしながらそうのたまった。


「ゴロゴロって、いつも食ってるか、マーリンしてるよね。あっ、間違った。マーリンって、いつも食ってるか、ゴロゴロしてるよね?」


 ちくりちくりと子供っぽい言葉責めをする。


「昨日、本を読んでいて寝るのが遅かったからゆっくり寝たいですぅ。だから、おやすみなさいですぅ」



     くぅーーーーーーーーーーー



 1秒かからず寝やがった。

 どこでも寝れるって言うことに対しては、○び太以上か?


 って言うか、言葉責めはスルーですか?


「マーリン、起きて、起きてー」


 魔法のおかげで護衛がいなくても、平気なんだけど、ゴクゴク稀にワイバーンが襲ってくるような土地柄だから、保護者がいないと外出をしちゃダメだって言われてる。


「んーー、後、500年」


 お約束、マジお約束過ぎる。

 と言うか、エルフは時間感覚がおかしいぞ。


「長い…………いや、分かった」


 マーリンが、そう言うのなら、言う通りにしてあげよう。

 念には念を入れて、がっちり魔法でね。


魔法創造(マジッククリエイト):コールドスリープ】


【コールド……


「起きます。起きます。起きますですぅ。だから、お坊ちゃま、身の危険を感じるような変な魔法を使わないで下さいですぅ。マーリン、死んじゃいますからぁ」


 さすがはエルフティア王国の筆頭魔法士、ゴロゴロ……マーリン。


「大丈夫だよ。死んだように、呼吸せず、心臓も止まったままだけど、眠るだけの魔法だし。あ、でも、死んだと勘違いされて、土に埋められるかも……」


 なんだよ。

 ジト目で見ないでよ。


「えっと、マーリン、出かけるよ」


【念動力】


 魔法で覚えて使えるようになった超能力だ。

 この力でマーリンを持ち上げる。


「お坊ちゃま、あ、歩いて行きましょうよぉ。ねぇ、お願いです。後生ですからぁ………」


【飛行】


 屋敷を出て、地上5mの空中に飛び上がる。

 もちろん、【念動力】でマーリンをシューティングゲームのオプションのように連れてね。


【検索:お父さま】


 【検索】の魔法でお父さまの位置を特定する。

 ここから南の海岸付近の広場にいるようだ。


「せ、せめて、パンツを脱ぐ時間を下さいよぉ」


 痴女のようなセリフを吐くマーリン。


「時間がもったいないから、もう行くよ。グズグズしてたマーリンを恨んでね♪ じゃあ、飛ばすよ!」


「この年でお漏らしは恥ずか………」



     ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン



「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 今日もマーリンの濁点ボイスの悲鳴が領内に響き渡った。




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