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異世界転生 海の見える領地でやりたい放題(仮)  作者: 辛味亭
第1章 光物を求めて
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017.ピピンのちにアットまたはマーク…その2

「諦めてないぞ、叶っただけだ。これが世界一の武器だ。海を斬り裂き、海の主ですら平伏す武器だ」


 夢が叶った?

 世界一の武器だぞ。


 それに何言ってんだ。

 海って池や湖より大きな水たまりだろ?

 普通の水たまりですら。斬れやしないって言うのに………それより大きいのが斬り裂けるわけないだろ?


「オヤジ、呆けたのか? ただのぼっけ…………ただの木剣じゃなくて魔道具なのか! 精巧でシンプルで洗練された魔法回路。火と風の魔法回路を組み込んであってもまだまだ魔法回路基板マジックサーキットボードに余裕がある。こんな魔法回路を組み込めるヤツなんているわけない。いるなら木剣に銘くらい………銘も入っていない……………オヤジ、これアーティファクトか?」


 付与魔法士がよほど集中していないと、こんなに小さな魔法回路を組み込めるはずがない。

 普通に組み込めば、この木剣の魔法回路基板マジックサーキットボードなら1つの魔法回路で埋まってしまう。

 それが2つも魔法回路が組み込んであるんだ。


 それだけでも凄いのに、空いているスペースを考えれば、同じレベルの魔法回路ならあと6つは組み込める計算だ。


 現役のエルフティア王国の付与魔法士にはこのレベルの魔法回路を組み込めないだろう。

 となると………。


 古代文明時代に作られたアーティファクトとしか考えられないだろう。



 どうだ、オヤジ、正解だろ?


「ふふふ内緒だ。ピピンも独立するんだろ? いつまでも情報がタダだと思うなよ。俺は呆けていないんで、ライバルにタダで情報を教えるなんてことはしないぞ。まぁ、この情報はさすがに売れないがな。ただし、独立を諦めるなら教えてやってもいいが」


 くぅ、オヤジのニヤニヤが腹立たしい。


「独立は諦めない。その木剣の情報はいつか自分でたどり着いてやる。だから、オヤジ、まだ引退なんかするなよ」


「は? なんて俺が引退するんだ? ローリーペッタン王国ブリタニアン領で店を開くだけだぞ。もう4か所は土地を確保してあるし…。この店は閉店するつもりだったが、ピピンが独立するなら、くれてやって、早くブリタニアン領に戻って開店準備が出来ると思っただけだ」


「なんで、あんな辺鄙なところで店を開くんだ?」


 仕入れて売るが、商売の基本だ。

 だから、行商では仕入れるところに本拠地を作った方が効率がいい。


 最新の噂では、ブリタニアン領は人口も少なく、まだ小麦すらまともに作れない領地だ。

 売れて岩塩くらいで、売れるモノも少なく、仕入れるモノもないところだ。


 本拠地にする必要性がわからない。


「それはなぁ………………………………、もちろん、教えてやらないぞ♪ まぁ、この情報は教えてやってもいいが高いぞ」



 あ、この顔、オヤジが夢を語っているときより、いい顔だ。

 お世辞にもかっこいいと言えないオヤジがかっこよく見えるときがある。


 夢を語っているときと、大きな商談をするときだ。

 この顔、僕を試しているんだ。


 違う。

 僕を1人前の男として扱ってくれているんだ。


 それも違うな。

 半人前扱いで、ヒントをくれているんだ。


 そう考えると、僕が次に発するセリフが今後の僕のエルフ生を大きく変える…………そんな予感がする。

 これはきっと大きな商談なんだ。


「き、金貨1,000枚だ。それで、その情報を売ってくれ」




 ここは勝負だ。


 今はオヤジがくれた僕の夢のための資金がある。

 その資金が少し目減りするくらいだ。


 きっとその価値はあるはずだ。



 オヤジが二ッと笑った。


「頑張ったな。それでも安いがそれくらいの価値の分程度は話してやろう」


 間違っていたが、間違っていなかった。

 オヤジ、ありがとう。



ははは、ピピンの話、終わんなかった。

たぶん、次で終わりです。

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