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異世界転生 海の見える領地でやりたい放題(仮)  作者: 辛味亭
第1章 光物を求めて
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001.女神さまのいたずら

投稿意欲がダダ下がり中でした。

と言うことで、投稿意欲を上げるための新規投稿です。

未完のお話は投稿意欲がマックスファイヤーになるまで、ちょいお待ちを(・ω・)ノシ


2018/11/30:ちょこっと修正

 視界の中の景色が不意に変わった。

 ほんのついさっきまでの景色と一致する部分が全くない。


 強いて同じところを挙げるとすれば、人物こそ変わっているものの、ボクの目の前に女性がいるってことだけは…………一緒かもしれない。


 そう…………ボクは、まるで未来の世界に迷い込んだと言っても過言じゃない部屋から、中世…………綺麗に掃除をされているが、電気も使われていないかなりボロい部屋に飛ばされたんですよ。



 あ…………部屋の中にいるってことも一緒ですね。



 それはともかく、今、ボクの目の前には、年代物…………いや、時代を感じさせるベッドがあり、そのベッドには、白銀の色をした髪のエルフが、今にも死にそうな表情で横たわっている。


 そして、そのエルフが、今出来うる精一杯の笑顔を…………そう、人生最後…………いえ、エルフ生最後の笑顔を作りながら、やせ細った手で、ボクの頭を撫でた。



「ランスロット、ママはもうダメみたい。…………あなた、ヴィヴィアン、ランスロットをよろしくお願いね」



 元気だった頃は類い稀な美しさだったと思われる顔も、ここ数年の闘病生活に疲れ切った表情となり…………笑いながらも隈の出来た目に涙を浮かべている。



 本当に痛々しい。



 そして、この世を去る前に最後の心残りのだったと思われるボクのことも、父親と母親付きのメイドのヴィヴィアンに託された。



「エレイン……」



 母親の名前を呼び、その手を取ったのは、ボクの父親で『バン・ベンウィック・ブリタニアン男爵』。

 男爵領の領主であり、男のボクから見ても、剣の腕が立ちそうなくらい体格も良く、顔もかなり格好いい男前の人物だ。



 ボクは人族とエルフの間に産まれたハーフエルフである。



 この世界では、魔法があまり使えないハーフエルフは立場的によろしくないらしいが、このハンサムで二枚目でイケメンな父親とビューティフルでキュートで一般的では無い趣味の人から見ればセクシーな母親との間に産まれ、2人の特徴を受け継いだボクは、人生勝ち組………………ハーフエルフ生勝ち組って感じだ。


 思わず、ニヤニヤしちゃいそうだが、今、この場面では不謹慎すぎますね。



「お嬢様……」



 母親の最後だと思われる願いを聞き、ボクを抱いているヴィヴィアンの腕の力がギュッと強くなった。

 ヴィヴィアンもハーフエルフで母親の身の回りの世話をする母親付きのメイドだ。

 病気でまともに動けなくなった母親の代わりにボクの面倒や、もちろん母親の面倒も見てくれている。



「だから、ヴィヴィアン、お嬢様は止めてって、言ってるでしょ」



 最後の母親の強がりに、ボクの後頭部はヴィヴィアンの涙で濡れた。

 母親の顔色がだんだん土気色になってきた。

 この後………………数分後に母親は、息を引き取る。



 この場面は、2回目だ。

 ほんの数時間前、転生特典を選ぶ参考にと、転生手続きのカウンターで見せられたんだ。



 居眠り運転のトラックに轢かれたボクは、すぐに……いや、転生から1年以上経っているらしいが、ボクにとっては、転生手続きカウンターのお姉さんが『転生させますね』と言った直後なんですよ。

 すでに前世で両親を亡くしているボクにとっては、転生してすぐに片親でも亡くしたくない。


 だから、転生特典は、この状況を打破できるモノを選んだ。

 そして、打破までのシュミレー………………こほん、シミュレーションは完璧だ!

 そう…………転生手続きカウンターのお姉さんと何度もチェックしたんだ。



魔法創造(マジッククリエイト):魔力量最大化】



 そう、ボクの転生特典は、【魔法創造(マジッククリエイト)】。

 ボクの考えをニューロでファジーな解釈をしてくれて、思った通りの魔法を作ってくれる。

 オプションで愛と希望と勇気でホーリーでアップで魔法使い世界一的な言語解釈をしてくれるのもあったが、怪しそうだったのでスルーしておいた。



【魔力量最大化】



 転生したボクはまだ生後1年ちょっとの赤ん坊…………それも、ハーフエルフなので、魔力量は本当に少ししかない。

 だから、本来使いたい魔法をそのまま使うことが出来ない。

 そう…………魔力量を増やすという少し遠回りをする必要があるんです。


 毎日限界まで魔法を使って魔力量を上げるというお約束的な展開も考えられたが、面倒だし、時間的余裕もなかったので、一気に最大にしておいた。

 そんなことをしている間に、母親が死んでしまっては、元も子もないのだ。



「ランスロットさま?」



 魔法使用時の特徴である身体の発光に気付いたヴィヴィアンがボクの名前を呟いた。



魔法創造(マジッククリエイト):魔力超回復】



 次の手は、魔力を回復させる魔力超回復魔法。

 時間がないんで、サクサク行きますよ。



【魔力超回復】



 魔法で魔力を回復させるなんてマジチート。

 ほんと魔法が使いたい放題です。

 それも極限まで上げた最大魔力を一瞬で回復させることが出来るなんて、本当にチート過ぎる。



魔法創造(マジッククリエイト):飛行】



 必要そうに見えないだろうが、飛行魔法は必要なんですよ。

 ボクが、自由に動けるようにするためにね。



【飛行】



 ボクを抱き抱えていたヴィヴィアンの腕の中から抜け出して、母親の枕元に着地する。

 空中に浮いたボクを見た3人は驚いた表情を見せた。

 ただ、驚きすぎで、目でボクを追っているだけだった。



魔法創造(マジッククリエイト):完全回復】



 ボクが考えた最上位の回復魔法の完全回復魔法。



【完全回復】



 今回の最終目的の魔法である。

 死亡していなければ、あらゆる病気やケガを治すことの出来る魔法だ。


 転生手続きカウンターのお姉さんに、この魔法でなら確実に回復できるとお墨付きを貰っている。

 母親の顔色が血色を帯びてきた。

 もう大丈夫だろう。



魔法創造(マジッククリエイト):幻影】



 後は、ボクに乗り移った女神さまが、母親を救ったという演出を見せるだけです。

 アリバイ作りも必要なんです。


 女神さまは、ボクが転生した国の国教であるヒンヌー教の癒やしの神シーターさまを選んだ。

 実在する女神さまらしく、転生手続きカウンターのお姉さんが、内線で本人に了解も得ている。



【幻影……



 えっ?



 魔法を使う前に、ボクの身体が光り輝き、ボクから抜け出てくるように、癒やしの神シーターさまが現れ、ボクを抱き抱えた。



「「「シーターさま!?」」」



 父親、母親、ヴィヴィアンはそう言うと、床に平伏した。




    『小さきモノの願いにより、そなたを助けた』




    『ただ、そなたを助けるための依代としては、小さきモノは小さ過ぎた』




    『小さきモノに、妾の力が残留し、上位の存在になってしまった』




    『そして、その力がそなたたちに迷惑をかけるかもしれん』




    『迷惑をかけぬよう、このまま、天界に連れて行っても良いが……』



 女神さまであるヒンヌー教の癒やしの神シーターさま…………そのシーターさまのセリフを父親が遮った。

 たぶん『どうして欲しい?』って感じで繋がったと思うが、父親は、考えるまでも無く、答えは決まっているってことをアピールしたかったのだろう。



「それには、及びません」



 迷わずに返答をした父親のキリッとした顔は、元いた世界の父親とは比べるのがおこがましいほどマジ格好いい。

 と言うか、あれ以下の父親はいないだろう。



「親としては、まだ未熟ですが、自分の息子にかけられる迷惑なんて、親になるためのいい経験値です。それに、親に迷惑をかけずに大きくなった子供なんていません」



 言うことも格好いい。



「そうです。どんな子になったとしても、ランスロットは、お腹を痛めて産んだ子です。これからも、ランスロットの成長を見届けさせて下さい」



 シーターさまは、両親の返事を聞くと、にっこりと笑顔を見せた。



     『小さきモノよ。あまり悪さをしないようにな』



     『ヒンヌー教の加護を……』



 額にシーターさまの唇の感触があった。

 ボクは、母親に受け渡され、シーターさまは消えていった。


 最後にシーターさまはボクだけに見えるように、てへぺろって感じに舌を出していた。

 どうもイタズラ好きっぽい。


 少しの沈黙の後3人のため息が聞こえた。



「まさか、シーターさまがご降臨なさるとは……」



 父親が、額の汗を拭うようなジェスチャーをした。

 シーターさまの加護を貰った人がこの国を建国した初代国王である。

 そのため、国教であるヒンヌー教のシーターさまの石像や絵画は、国中のあらゆる所にある。


 あ、うん、この部屋にも絵画が飾ってあるね。


 そのため、文字よりシーターさまの顔の方が認知率が高い。

 また父親方のボクの祖父はヒンヌー教の次期教皇と言われている司教で父親も熱心なヒンヌー教徒であるので、シーターさまの顔を知らないってことはない。


 この辺の情報は転生時のパンフレットに載っていたので、知識として持っている。



「本当よね。それに、ランスロットに助けられるとはね。久々に身体が軽いわー。ランスロット、ありがとー。ママは、嬉しいわー。んー」



 なすがままに、母親のキス攻めを喰らった。

 役得って言うより、恥ずかしい。

 綺麗で若い母親だけど、やっぱり、母親にキスされている感じなんですよ。



「お嬢様。本当にお身体の方は大丈夫ですか?」



 目元の涙が乾いたヴィヴィアンが心配そうに声を掛けた。

 本当に心配している表情だ。



「うん、大丈夫。若返ったように調子がいいわ……よっと」



 若返ったと言っているけど、今でも充分若いです。

 って、ボクを抱いたまま、いきなりバク宙なんか、きめているんですけど?



「お嬢様、はしたないですよ」



 はしたないだけで、済ませないで下さいよー。



「なによー、これくらいいいじゃない。それにお嬢様は止めてって言ってるでしょ」



 母親にほっぺをほっぺでスリスリされている。

 設定上、シーターさまが抜けたボクはただの赤ん坊。

 と言うことで、逃げるに逃げられない状況なんですよ。



「そんなことより、お嬢様。ランスロットさまの身体から漏れている光は……、シーターさまの加護もあるんでしょうけど、ハイエルフの特徴とも思えるんですが……」



 ジト目でヴィヴィアンを見る両親。



「ヴィヴィアンったら、両国の王位継承権の順位が変わりそうだったから、スルーしてたのに……」



 そう言うと俯いてため息を付いた。



「はぁ、このこと、父やお義父さんに、報告しないと拙いよな。黙ってるのは……『シーターさまの加護もなく』『ハーフエルフのまま』だったら、問題無かったのに…………な」



 母親が回復した喜びより、面倒なことになったという空気に変わった。

 死ぬはずだった母親が全快したんです。

 もうちょっと、嬉しい顔をして下さいよ。





 こうして、やりたい放題出来るチートな転生特典を得たボクの新しいハーフエルフ生が、女神さまのいたずらによってハイエルフ生になったが、父親が領主である男爵領…………そう、海の見える領地で始まった。



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