死んだ俺は友達と世界を守ることになりました
初めての書き物です。お見苦しい点があると思いますが、生暖かい目で読んでいただけると幸いです。
俺の名前は新川航、どこにでもいそうな健全な高校2年生だ。正確には、だったというべきかな。
というものも俺は、友達と帰っているところを酔っぱらいのトラックに轢かれて、3人仲良くミキサーにかけられたトマトみたいになったんだ。
そういうわけでいま、俺たちはあの世っぽいところにいる。
「まったくついてないよなー俺たち」
隣でぼやくのは、一緒に轢かれた広林浩輔だ。
「ほんっとに許せない!大体なんで飲酒運転なんてするのよ!」
反対側で珍しくぶちぎれているのが、久保田朱音だ。
「まあ、死んじまったのはしょうがないだろ」
「そんなこと言ったって……航は悔しくないわけ?」
「くやしいっていうか、もう死んじまったんだからしょうがないだろ」
「航の言うとおりだ、今ここでわめいてもしょうがないだろ」
「うぐぐ」
「まったくなんでそこまで怒ってるんだ?」
今までここまで怒っている朱音は見たことない。
「だって私まだ……」
「まだ?」
「読みかけの本が大量にあるの!!!!!!」
「はぁ……やっぱりそんなとこか」
「やっぱりってなによ!私にとっては大事なことなの!」
「お、おいお前ら……」
ヒートアップしてきた会話を遮り浩輔が斜め上を指差した。
「え?なに?あれは?」
「女神?」
浩輔の指の方向には、絵にかいたようなザ・女神ってな感じの人(?)が降りてきた。
「このたびはお気の毒様でした」
透き通る声で俺たちに慰めの言葉を投げかける。
「あなたはいったい誰ですか?」
浩輔が尋ねる。
「私に決まった名前はありません。ですが私と出会った方は大体、ガイドさん、ですとかエロ妖精だとかユニークな名前をお付けになりますね」
笑顔でエロ妖精と口にするあたり、さすがは天人といったところか。
さすがにその名前で呼ぶわけにはいかないので、
「じゃあガイドさんって呼ぶぞ?」
と一応確認をした。
「構いません」
何度聞いてもきれいな声だ。
「ところでガイドさん?なんでここには私たちしかいないの?」
そういえばそうだ。
「ええ、それついてですが」
ガイドさんが一呼吸おく。あらゆる答えを想像して身構える。
「皆さんには、ある仕事をしてもらいます!」
「「「……は?」」」
目が点になってる俺たちを気にもせずガイドさんは続ける。
「私たちは今、冥間界と呼ばれるところにいます。先ほどまで皆さんがいた世界を、現界と呼びます。その現界で、無念を残して亡くなってしまった方の魂が一定の確率で穢と呼ばれるものになってしまって、現界にある「支柱」を壊しに来てしまうんです。その支柱を壊されてしまうと、冥界と現界の境がなくなってしまってかなり大変なことになってしまうので、それを防ぐために穢の皆さんを倒してちゃんと冥界へ行って頂いているのです。その仕事をする者の名前を「穢闘師」と呼んでいるのですが、皆様にはその穢闘師になって頂くためここにお呼びしました」
なるほど……まったくわからん
「そういうことでしたか」
え?わかるの?わかっちゃうの?
「分かっていただけましたか!」
嬉しそうに両手を合わせる女神に、俺は口を開くのをやめた。
「では早速――」
ガイドさんが指をぱちんと鳴らす。
俺たちの目の前に3つの武器が並んだ。
「この3つから使う武器を選んでください」
そこには刀、弓、銃が並んでいた。
「じゃあ、私これ!」
朱音がまるで服を選ぶかのごとく弓をつかんだ。
「それじゃあ……俺はこっちで」
浩輔は銃を選んだ。
なんでこいつらはなんのためらいもなく武器を選んでいるのか疑問だったがしょうがない、俺は残った刀を持った。
「決まったようですね!」
武器を手にした俺たちを見ながら、満足そうにしているガイドさん。
その口から衝撃の一言が発せられた。
「それでは、先ほど穢が発生したそうなのでさっそく向かいましょう!」
「「「え?」」」
「え?なんか戦い方の訓練とかないのか?」
「大体でもいいから教えてよ」
頭の上に大量の?を浮かべた、俺と朱音に、
「大丈夫ですよ!やってくうちに覚えますって!」
ガイドさん……だんだん素が出てない?
「では!お話はこれぐらいにして皆さんを、穢のところへ送りまーす!」
完全にキャラが変わったガイドさんがもう一度ぱちんと指を鳴らした、すると目の前が白く包まれた。
視界が戻ってくると、そこは俺たちが轢かれたところだった。
そこにはぐしゃぐしゃなったトラックと、なんだかまがまがしい人型のナニかが立っていた。
「あれが穢……なんですか?」
浩輔が尋ねた。
「ええ、その通りです。どうやらあのトラックの運転手だったようですね」
「なんですってええええええ!?」
落ち着いてきた朱音がまたぶちぎれた。
「あの野郎!ゆるすもんかーーーーーー!」
「お、おい弓もって飛び出すな!」
刀を構えて朱音の後をついていく。
「俺は、後ろにいるぞー」
浩輔はスナイパーライフルのようなものを持って、俺たちに声をかける。
――そんなこんなで俺たちの敵討ちが始まってしまった。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回はいつになるかわかりませんが、また書いた時にはよろしくお願いします。