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ダンジョンと人殺し?

〜〜〜グラディス地下遺跡9層〜〜〜


「【STR上昇の調べ】」

「【疲労軽減の調べ】」

「【疲労回復の調べ】」

「【鎌鼬】」

「【索敵の調べ】」

「【気配隠蔽の調べ】」

「【鎌鼬】」

「【鎌鼬】【鎌鼬】【鎌鼬】【鎌鼬】【鎌鼬】【鎌鼬】【鎌鼬】......」



〜〜〜グラディス地下遺跡最下層〜〜〜



(初の魔物との戦闘だったんだけどなぁ...)


「私なにもしてないです...」


「...作業ゲー...」


「おっ、あれがガーディアン?」





【グラティス・ガーディアン】LV.45





「んー。...レベル高くね?」


1〜9層までの魔物は高くても〜20程度だった。BOSSとなるとここまで跳ね上がるものなのか。


「まぁ鎌鼬弾かれたら撤退だよなぁ。【鎌鼬】」


すぱっ ずずぅん。


ぽーん ぽーん ぽーん ぽーん










れい は れべる が 4 あがった!






...なんだかなぁ。









宝箱がガーディアンの奥の小部屋に1つ設置されていた。


「んー、これ鍵がかかってるな。鎌鼬で上辺だけ切り落とそうかな?」


「...まって。あたしが開ける。【解錠の調べ】」


...音で鍵を開けるってどういう仕組みなんだろうか。


さてさて、中身はっと。


「...これは、スキルブック?」





【ディアスラッシュ】


術者が対象の手に触れている間のみ効果を発揮する。対象が繰り出す斬撃系スキルの威力が2倍になる。





...おもしろいな。条件がなかなかきついけど鎌鼬なら...

〈対象〉が僕なのは確定だとして、問題はエルシアとミリィのどちらがこのスキルを覚えるかだ。


「ミリィは琴で手が塞がってますから、私が覚えますね。」


「...片手でも弾けるし。エルシアこそ、治癒術師が前に出るなんて愚策。」


「ミリィは琴弾くことに集中しててください。」


「...エルシアこそ回復に専念してて。」


「...あれ?スキルブックってコピーできなかったっけ?」


「ダンジョンドロップの物はコピーが出来ないんです...その分性能は高いですが。」


ふぅむ。どうしたものかなぁ。なんかどっちも譲りたくないみたいだし。


「レイさん!」「...レイ。」


うわっ。なんか睨まれてる。


「レイさんが、このスキルをどちらに使って欲しいか決めてください!」


「...あたしおすすめ。身軽だし邪魔にはならない。」


「わ、私だって頑張りますよ!レイさん!」



んー。どっちでもいいんだよなぁ。どっちも後衛だし、そうでなくとも僕は前衛としての壁役は果たせないし。言うなれば遊撃兵?


「そうだなぁ...うーむ。......よし!それじゃミリィちゃんにお願いしようかな。」


「...ぐっ。」


「くぅぅ...。な、なんでミリィを選ばれたんですか?」


「いやぁ、ミリィちゃん小柄だからさ。咄嗟の時に抱えて回避とかし易いかなぁって。」


「な、なるほど...もっともな理由があるのなら反論もありません...」


「ほら、次またスキルブックがドロップしたらエルシアさんに譲るからさ!」


「そういうことではないんですが...」


んー。よほど【ディアスラッシュ】を覚えたい理由でもあったのかな?


「それにしても、武器無かったなぁ。」


「...鎌鼬の威力を上げる手段は手に入ったんだし、ある意味目的は達したと言える?」


まぁ確かに鎌鼬さえ通れば問題は無いんだよな。


「それもそうだね。それじゃ、この国の勇者様の元を訪ねてみようか。エルシアさん、場所分かる?」


「えぇ。この国の勇者である〈ヴォルフス〉と名乗っていた男は、国の北端にある湖のほとりに家を建てて暮らしているとか。」


「へぇ。どのくらいかかるかな?」


「この国くらいの範囲であれば、転移魔法の圏内です。」


それってかなりすごい気がする。


「じゃあ今すぐにでも行けるの?」


「えぇ。実はレイさんを召喚すると決める前、自力で勧誘を試みたことがあったんです。その時に1度訪れていましたので、今すぐ翔ぶのも容易ですよ。」


「よぅし、それじゃ行こっか!」


「...勇者1人が相手でも、恐るるに足らず。」


「彼は実力主義なので、打倒することができれば従えることもできると思います。では、行きます。」


目の前が白く染まりーーー




〜〜〜湖のほとり〜〜〜




「転移の感覚にも慣れてきたなぁ。おっ、あれが勇者の家かな?」


「そうです。湖に姿が見えないということは恐らく中にいるかと思います。」


「...対勇者の初戦、ふぁいとっ。」


「いやいや、ミリィちゃんも手伝ってよ...」


と言うとミリィはふるふるっ、と首を横に振り、こう言った。


「...勇者に力を示して統率するのなら、個人で打倒した方が良いと思う。」


あぁ、確かにその通りだな。みんなの力を借りて倒しても、僕1人なら勝てると思われては困る。よし、行くか。僕は腹を括ってドアに手を掛ける。


「たのもー......うわっ。なんだこれ!」










レイがそこで目にしたのは、床に倒れた血塗れの男と、その男に剣を突き立てる派手な赤髪の男。


赤髪の男がこちらを見て、にたりと嗤った。


「誰だ!」


赤髪の男は返答してくる。


「誰だとはこっちのセリフなんだがなぁ。まぁ怪しいもんじゃねぇし、名乗ってやる。俺はグランディ。グランディ・グロア。大国グロキアより召喚された勇者様だ。危険な反乱分子となり得るはぐれ勇者を始末してこいとか言われてな。めんどくせぇが報酬をたんまりくれるってんで、今最後のはぐれ勇者を潰したところだ。」


勇者に勇者殺しを命じるか。つまりこの男はそれを成せるだけの力がある。


「で、てめぇは誰なんだよ。こっちはちゃあんと名乗ったぜ?」


「...僕はレイ・スーリャ。はぐれ勇者を統率して国々をまとめ、魔族を制圧するのが目的だ。つまり、」


そこで一旦話を区切り、居合の構えを取る。


「おまえの存在は、邪魔だ。」


「ほぉう。俺様とやろうってか?いいぜ、こいよ。遊んでやる。」


「2人は下がってて。こいつは僕がやる。」


そういって僕は、唯一の攻撃スキルを発動させる。


「【鎌鼬】!」


「ぐっ!?あぁぁ、風の刃ってかぁ?痛ぇなぁ、痛ぇなぁぁ!...この痛み、そっくりお返しするぜ。【リバースペイン】」


「っっ!?ぐぁぁ...」


(...まずい。向こうへ与えた傷が僕に...!)


鎌鼬は確かにグランディの脇腹を抉ったはずだった。だが、奴が何かスキルを発動させた途端奴の傷は消え、代わりにレイにダメージが返ってきた。


「っ!【治癒魔法・大】!」

「...【癒しの調べ】」


「んん?おまえもしかしてSランクの?それにそっちの奴は異世界召喚を1人でやったとかいう...もしかしてその男がそうか?」


「...エルシアはレイの治療を続けてて。奴はあたしが抑える。」


「...待って。人体急所は避けて狙ってたから後ですぐ止血すれば大丈夫。奴は僕に任せて。」


(...奴はスキルを発動するまでの間、確かにダメージを受けていた。ならば......)




一撃で殺してしまえばいい。




「おっ?またさっきの技か!同じ手は2度は食わないぜ?」


「【縮地】【宙蹴り】【縮地】【縮地】」


「な、あぁ?速えぇ!くそっ、どこだ!」


覚悟は決めた。殺らねば殺られる。後悔やらは全て後回しだ。狙うは首。


「【鎌鼬】」


スパッ。ごろごろ。


ぽーん ぽーん







れい は れべる が 2 あがった!





...人を殺したのは初めてだな。いや、それは当たり前か。どうもこちらの世界に来てから感覚が麻痺してきたようだ。


「おいおい、勝手に殺してんじゃねぇよ。あーあ、一回死んじまったぜ。」







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