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異世界へ

主人公の基本スペック


黒髪黒目 身長169 体重58

運動神経はそこそこ自信あり。




 僕は御堂(みどう) (れい)。少し運動が得意なくらいの、普通の高校2年生だ。誕生日が2月で今は6月なので、僕は今16歳である。


 僕はいつものように徒歩で学校へと歩を進めていた。


(今日は天気がいいなぁ。最近雨続きだったから気持ちがいいや。)


 青空を眺めるように視線を上に向け、再び前へと視線を戻す。










 すると突然、視界が白で埋め尽くされた。



「え?」


 あまりに突然な出来事に零の脳は状況を把握することができずに、体が硬直する。そうしていると段々意識も薄れてきているように感じた。しかしそう思ったところでどうすることもできず、僕はそのまま眠るように意識を手放した。









 ...ここはどこだろう。視界は相変わらず一面真っ白。だが、先ほどまでの眩むような白ではなく、穏やかな白である。床もあり、壁もある。ただそれら全てが白いのだ。そんな中、ただ一つだけ黒い物がある。白い部屋の真ん中にポツンと置いてあるそれは、


「...剣?」


 そう ファンタジーなどでしか見ないようなとても大きな剣だ。全長は1.5mほどで、重さは


「くっ!はっ!ふんぬぁぁ!」


 ...びくともしない事から、100キロや200キロはくだらない重さと判明。


「こんなに重い剣、誰が使うんだよ...」


『あなたが使うかなー、と思いまして。』


「えっ 誰!?」


 独り言にまさかの返事。慌てて周囲を見渡すが、先ほどまでと変わらず真っ白な空間があるのみで、人影など無い。


『私はエルシア=スーリャと申します。勝手ながら、あなたは私が召喚しました。拒否権はありませんし元の世界へ戻ることもできません。』


「ほんとに勝手だね!まぁいいや。僕はこれからどうなるの?」


『え 軽くないですか?誘拐みたいなことしてる自覚はあるんですが...』


(自覚あるんだ...)


 分かっていながらそれをするということは、しなければならない訳があるのだろうか。元よりあの世界には愛着も無い。もちろん家族もいるし友達だってそれなりにいる。彼女こそ“いなくなった”ものの高校生らしく青春を謳歌していた零だったが、彼の思考はどこか達観していた。楽しんでいるようでどこか冷めている自分。刺激的な変化を心の何処かで求めていたのかもしれない。


「何処のどなたか分からないけど、僕を異世界に連れて行かないといけない理由があるんでしょ?さぁどうぞ!僕は逃げも隠れもしないよ!」


『話が早すぎてなんだか怖いですよレイさん...まぁ私からすれば好都合です。では転移の前に準備を。ステータスと念じてください。』


(うわぁほんとにこういうのあるんだ。...えーと、【ステータス】。お、ゲームっぽい感じででてきた。)


【ステータス】 LV.1


 NAME:レイ=スーリャ


 VIT:200 STR:18 INT:0 DFE:12

 MDF:10 MDF:0 AGI:22

 残り318


『...ある程度予想はしてましたが残り318って...あ、STRに30も振ればあの剣を扱うことも可能ですよ。』


 ふむ 魔法絡みのステータスが0なのは、当然といえば当然か。それにしても、


「予想してたってどういうこと?」


『あぁそれはですね、そもそも私の召喚術式に条件を組み込んであるんです。素質の高い人を優先的にサーチ&デストロ...えふんっ 異世界へとお招きするように仕組んでましたので。それでも残りポイント3桁は想像以上ですよ...70くらいあれば嬉しいなぁ、って感じでしたので。』


(かなりぶっ壊れ性能ってことね...てかデストロイ...まぁあの世界で僕は死んだようなものかもね。もう戻れないし。)


 さて 問題はこの318をどう振っていくか。ゲームならロマンを求めてSTRかINTに極振りしていくのだろうがこれはリアル。流石に現実で命がけのロマンを求めるのはリスクが大きすぎる。当然ながら死んだらそれまでなのだ。


 などとステータス画面を眺めつつ考えていると、ふと妙な物が目に入った。


『...ん?エルシアさん、NAMEのとこの

 レイ=スーリャってどういうこと?』


 そう、僕の性にあたるところがエルシアさんと同じスーリャになっているのである。するとエルシアさんはなんでもない事のように、


『それはですね、今のレイさんの肉体を構成している要素の半分程度は私の血だからかと思われます。ここまで大掛かりな召喚魔法は初めてでして...あくまで予想の域をでませんが。』


 なるほど。異世界に行くとなると肉体も再構築されるのか。


(...あれ?半分も血液で...って)


「エルシアさん!そんなに血を使って大丈夫なの!?」


 単純に体積で考えると 身体中の血液を使ってしまったのではないか、姿もまだ見ぬ彼女が心配で居ても立ってもいられなくなる。


『大丈夫です。大半は事前に術式へ注いでおけますので、今消費したのはほんの少しですよ。』


「良かったぁ。エルシアさんに何かあったら大変だしね。」


 自分を1度殺したにも等しい自分への気遣いに、エルシアは彼を善良な人間だと判断、安堵した。


(ふぅむ。やっぱバランス良く振ってもあんまり強くならないだろなぁ。ここは後先考えないで極振りしちゃおうか。)


 先ほどまで考えていたリスク勘定もろとも頭の中を周りの景色のように真っ白にして再びステータス画面を凝視する。そして、


「よし!振り終わったよエルシアさん!」


『...ステータスの振り直しは召喚が完了してしまえばもうできませんよ?本当にこれで良いんですか?』


「良いのさ!さぁさぁレッツ異世界!あ、この剣は使えないから置いて行っちゃうね。ごめんねエルシアさん。わざわざ準備して貰ったのに。」


『その大剣は召喚対象が男性なら興味を示してくださるかと思って用意したのですが...

 まさかそんなステ振りをするとは思いもよらず...こちらこそ気が利かないでごめんなさい。』


「いやいや!僕のこのステ振りがおかしなだけで、その気遣いは素晴らしいよ! さぁもう準備はいいよ!しょーじきそろそろ待ちきれない!」


それに、あの世界では僕はもう生きていけない。


『そうですね。これ以上できる事もありませんし、今後の事は直接私と話しましょう。では。』


 眩むような白が再びレイの視覚を奪う。しかし今度のそれに不安は欠片もない。異世界へと想いを馳せながらレイは微睡むように意識を失った。




【ステータス】 LV.1


 NAME:レイ=スーリャ


 VIT:200 STR:18 INT:0 DFE:12

 MDF:10 MDF:0 AGI:340

 残り0













VIT=体力・耐久力

STR=筋力(筋持久力はVIT併用)

INT=魔法攻撃力・魔力上限 詠唱速度等

DEF=物理防御力・痛覚軽減

MDF=魔法防御力・状態異常耐性

AGI=敏捷性・神経伝達速度・動体視力

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