表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雨のち晴れ

作者: 藤いつき

初投稿ですので、お手柔らかにお願いします。

めちゃめちゃ短いです。

風邪を引いた。だから、寝ていた。しとしと。さわさわ。そういえば今日は雨の予報だった。歯医者の予約、取り消さなきゃ。人に迷惑かけることだけはしたくない。そういう性分なのだ。のっそりと這い出す。受話器ががちゃっと本体から剥がされる。指を動かすのも億劫になってきた。さっさと済ましたいのに、指は動き方を忘れてしまったようだ。

「はい、山下歯科です」

「予約してた広崎ですが、体調崩してしまっていけません」

我ながらひどい声だ。

「分かりました。お大事になさってください。体調戻られましたらまた、ご予約くださいね」

事務的な声だ。でも、涙が出てきた。熱で涙腺もおかしくなってしまったらしい。そういえば、頭の奥で鳴り響く音も心なしか大きくなってきた気がする。体温計って次は内科に連絡しなきゃ。ああ、もう、駄目だ。あとでもいいか。とりあえず寝よう。もうちょっとましになったら診療所に行こう。そして、布団に潜り込んだ。


ひやっと何かが当たる。部屋がうすぼんやりとしてるのは涙で目が霞んでるから。

「悪い。起こしたか?」

「ん、大丈夫。じゃないかも。」

額の冷たさは彼の手のひら。どうやらたまってた洗い物を片付けてくれたみたい。いっつも温かい彼の手のひら。彼だって仕事で疲れてるのに。早く休みたいだろうに。そして、風邪うつっちゃうかもしれないのに。ああ、まただ。目から溢れる。じわっと視界がかすむ。駄目だ。彼の顔がぼやけてきた。それでも、心配そうな顔をしていることがはっきり分かる。今、泣いちゃ駄目だ。なのに……。

「どうした。どこか痛いのか!?」

ふるふる。ただ、顔を横に振ることしかできなかった。声を出すと本当に泣いてしまいそうで。

「そうか。なら、隣に居てやるから寝ろ」

私は再び意識を手放した。

次に目を開けたとき、外は晴れていた。

いかがでしたか?

楽しんでいただけたら幸いです。

また、ご意見、ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 比較的短い時間を切り取りました。 風邪をひいたことで気持が細かく揺れ動いていますね。 他人事ですから微笑ましく眺めました。 [一言] 改行すると読み易くなります。 でも、読み易さは大切で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ