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若宮さんの憂鬱日記  作者: 咲野 音葉
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悩みのタネがつきません?

「…はぁ」


布団に寝転がって携帯をいじる事早30分。本当はこんなことしていないで早く寝るべきなのだけれども…眠気は一向に来る気配がない。


「あー、もう!」


ガバッと寝返りをうつと頭に鈍い痛みが走る。ガンガンと鐘を鳴らしているような頭痛に重く感じる体。

そう、私は風邪を引いたのだ


劇の打ち上げの帰り道、家の前で何故か私のほっぺに突然チューしやがった先輩を見送り、混乱と顔の赤みが少し引いた後、家に入って私はものすごく考えた


あれは…なに!!!


先輩なりの冗談か、いつも通りの…いや、けど顔は真面目だったし、え、そうしたらつまり…なに、好き…って、え、私って言った?…え、ど、どういう…


と、まぁ思考はまとまらず(やっぱり混乱は収まっていなかったのかもしれない)そのままお風呂へ入り髪の毛もろくに乾かさないまま私は考え続けた…結果


「…小那都、ちょっと顔赤いんじゃない?」

「え?」


そう母に言われ体温を計ると


「あっちゃー」


37.8度。完全に熱があった


「こんなんじゃ明日は学校お休みね」


こうして私は髪をしっかり乾かして暖かい毛布にくるまって寝ていることを言いつけられたのだった


け、ど


明日は火曜日。普通に学校があるのだ

つまり


「先輩になんて言おうっ」


私と先輩は何故か毎朝一緒に登校している。さすがに休むのに連絡無しというのはよろしくないだろう


…それにしたって


私は頭を抱える…なんだか頭痛がひどくなった気がする


こんな気まずい時に連絡をしなくちゃいけないなんて…っ


今日のあの別れかたで明日の朝どうしよう…とは不安に思ったもののまぁ考えるのは明日で良いやと思っていたのに


「でも…会わなくて済んでホッとしたかも」


そう考えると少し落ち着いてまずは柚花に連絡、そしてもやもやと戦いながら先輩へのメールを打ち始めたのが今から30分前のこと


そして今


「あー、もう!」


私は未だにメールを送れないでいた。

時刻はどんどん過ぎていく、明日学校を休むことになったからといって風邪をひいている今、夜更かしはよろしくない。それでも何だかもやもやしてメールを書いては消し、書いては消しを繰り返して…



私はいつの間にか眠ってしまったらしい


ピコーン


「はっ」


携帯の通知音で目を覚ます。外はもうだいぶ明るい、時計を見ると時刻は13時を過ぎていた


やってしまった


携帯を慌ててみると案の定先輩からの着信にメール


「ど、どうしよう」


とりあえず、と急いで今日は風邪をひいてしまったこと、休む連絡を忘れてしまったことの謝罪を打ち送信。


こんな事なら文面なんか悩まないで送ればよかった…!


さすがに悪い事したなぁと思い再び布団に潜り込み今先輩から届いたメールを開く


「え」


〝件名 大丈夫?


朝来ないから驚いたよ。柚花ちゃんに聞いたよ、風邪だって?

それ、多分俺のせいもあるから今日お見舞いに行くね!!〟


「お、お見舞い!?」


な、なに言ってるのこの人!?ていうかどこからつっこんだらいいの!?それになんで柚花と…


すると混乱している私の手元から再びピコーンと音が鳴る


〝件名 おはよう


あんた朝先輩に連絡入れなかったでしょ?おかげで私が伝えるはめになったんだからね


てことで住所とか色々伝えたからあとは頑張って。

お大事に〟


…まさに見計らったかのようなこのタイミング。柚花…これ、絶対先輩に伝言させたこと根に持ってるでしょ!?は、薄情者!!


「ど、どどどうしよう」


どうしようと言ってもどうしようもない、先輩にはとりあえず返信した。無理して来なくて良いと、ちゃんと打った


他に打つ手は…


ピコーン


「!!」


最早トラウマになりそうな通知音が響き、私は意を決してそっとメールを開く


〝件名 おはよう


おはよう!こんにちはかな?起きたんだね、ちょうどいいタイミング

今日早く終わったんだ。それで、君のことだろうから俺から全力で逃げるだろうと思って…〟


「…き、き〝来ちゃった?〟」


来ちゃった?え?は?

最後の一文の意味が理解できない。え?来ちゃった?どこに?


するとピンポーンとインターホンが鳴る


冷やっと火照っていた身体が冷えるのとお母さんが私の部屋のドアを叩くのはほぼ同時だった


「小那都?起きてる?」

「お、起きてない」


返事をすると聞いているのか聞いていないのか部屋のドアが開く。


お、起きてないって言ったのに!!お母さんのばかっっっ


「学校の先輩がお見舞いに来てくれたみたいだけど」


そう言ってなんだか嬉しそうにその人を私の部屋へ入れようとするお母さん。そしていつもよりさらに胡散臭い爽やかな笑顔を浮かべてお母さんと話しているその人を見て、私は頭痛がひどくなるのを感じた


…あぁ、もうこれ本当にどうしよう

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