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若宮さんの憂鬱日記  作者: 咲野 音葉
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先輩はやっぱり変な人です

あー…うん。えーと、とりあえず金曜日にあった委員会は予想通りというか何というか優人先輩がいきなり

〝じゃあこれから自己紹介!それぞれ得意な一発芸とかやってくださーい〟

なんて言い始め…止めるのにすごく苦労したけれど、どうにか普通の自己紹介をして終わりました。


それで、あの…私が睨まれたあの先輩方ですが、体育館の裏側に呼び出されて〝あんた上条くんのなんなの?〟とか何とか言われる。とかトイレに入ってたら上から水(あ、もちろんバケツ水ね)が、ばしゃあーってかかってきて外からくすくすと笑われ目障りなのよ的な事を言われるとか…


うん。そんな事とかあるかなーって思ってたんだけど。



あれ以来、毎日警戒しながら生活してたけれど。


うーん、何も起きない


嬉しいんだか嬉しく無いんだかよく分からなくなる。いや、嬉しいんだよ?呼びだしとかされたくないし…ただ、何もされないのも妙に怖い。それに、あれ以来視線はすごいし。


…はぁ、これだから嫌なんだ。こういう人が居ると、ただ先輩が私で遊ぶ…うん、これが原因なんだけどね?!、私が悪いわけじゃないのに、私にとばっちりがくるんだよね。


「まぁ…視線以外何も起こってないけど」


「ん?どーしたの?」


はぁ…とため息をつく私に、元凶の優人先輩が話しかける。


いや、この人も悪い訳じゃないんだけどさぁ…なーんか恨みたくなる


「何でも無いです。少し優人先輩が恨めしくなっただけで…」


「えー?いきなりひっどいなぁ」


あははー、なんて全然ショックを受けてない様子の優人先輩


今は、もう(嫌だけど)恒例になりつつある昼休みの屋上


「そりゃー、恨みますよ。昨日のなんなんですか、宴会じゃないんですよ?」


「んー、あの方が楽しそうだと思ったし?ほら…特に一年生とかさ、嫌だけど言えない、みたいなあの空気」


にやっと笑う先輩の空気が黒くなる。


…どSかっっ!!!

あー、いや。どSだったな、この人、じゃなきゃ私こんな事になってないな


私は、はあぁーと深いため息をついた


「…とにかく。一年生いじめはやめてください、訴えられますよ?」


ていうか、この人は誰かしらに訴えられそうだよ。本当に


「それはそれで楽しいかもな!」


なんて、さっきの黒オーラが無くなって爽やかに爆弾を放つこの人は何でモテるんだかさっぱりわからない。


ただの怖い人じゃん…


そんな事を考えていると、休み時間の終わる5分前を知らすチャイムがなった。


「あー、鳴ったね。じゃあいこーか」


「はい」


最近、優人先輩は授業に出る回数が増えた気がする。

もちろん、サボる回数もちゃんとあるんだけどね…?


「あー、あのさ。こなっちゃん」


「はい?」


優人先輩にしてはめずらしく歯切れが悪い


「朝って一人で登校してきてる?」


…いきなり何を言い出すんだこの人は


「…えぇ、まぁ。基本は一人です。たまに友達と行きますが」


でも柚花が朝練休みってあんまりないからなぁ。ぼっちの登校はやっぱり寂しい


「じゃあ明日から俺と登校ね」


あまりにも普通で、ぼーっとしてたらスルーしそうなテンションだった。


「…っえ?!」


私はその10秒後位に驚いた


「な、なぜ!」


「え?いやー、朝学校に来るのもこなっちゃんとなら楽しいかなーって」


あはは、なんて言いながらまた変な事を言い出した。


「…先輩いつも遅刻じゃないですか」


そうだ、いつもこの人は遅刻して来る。登校したきた時に私の教室に来たりするので知っている。


「そこらへんは努力する予定!じゃあそういう事でよろしくな!」


そういって、先輩自分の教室に入って行った


…なんなんだろう。本当に


私は訳がわからなかったけど、とりあえず教室に帰ろうと階段に向かう。



途中、いきなり背中に違和感を感じた。


…あれ?今




「……っっ!!」



誰かにぶつかった?



気づいた時には遅く。

私は階段に向かう廊下で盛大に倒れる



…予定だった



床に激突する直前に、私は誰かに支えられたみたいだ。


混乱している私に、耳元でよく知った声が聞こえる


「こなっちゃん、最近はドジっ子よりツンデレの方がモテるらしいって知ってた?」


「…っ先輩!?」


そこには、さっき教室に入ったはずの優人先輩がいた。


「え、な、なんっ…。なんっで」


瞬間移動でもしたのかこの人は


「まぁ、さっき振り返ったら偶然倒れそうな君をみつけたから戻ってきた」


…なんて運動神経なんだろう。

でもおかげで助かった、下手したら階段まで届きそうだったから


「…偶然でも、助かりました。ありがとうございます」


「いえいえ、今度お礼してもらうから大丈夫!」


…ん?


「えーと、先輩??今」


変な事言わなかった?この人


「じゃっ!忘れないよーに!!あと、…早くしないともうチャイムなってるよ?」


…っ!


「せ、せ、先輩!ありがとうございます!!では!!」


私は早口で言いながら教室へ走った





この時、先輩とちゃんと話さなかった事を、後々私は後悔することになる。






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