世の中不公平すぎます。
さて。
回想が終了したところで、元に戻りましょうか。
「こーなっちゃん!おっはよー!!」
はい、皆さんもうお分かりですね?
私の名前をひらがなで呼びながらもう昼なのにおはよーとか言いながら人の教室に乗り込んでくるこの人は、上条…じゃなかった優人先輩。
私の一番苦手な人
「…先輩。もう昼ですが」
「あれ?もーそんな時間??俺さっき来たからさー」
あはは、とか言ってるけどさ。この人2年生だよね?勉強とかしてないのかな⁇…あ、でもこの人頭は良いんだっけ。あーイラッとするなぁ。
「…優人先輩。教室に行ったらどうですか、もう4時間目始まりますし…。」
「えー。せっかく遊びに来たのに…」
いやいやいや、おかしいでしょこの人、何しに学校来てるの。
「私も授業受けるので…」
「んー、じゃあ遊ぶのは昼休みにしよう」
…この人、人の話聞いてんのかな。遮られるし…あ、でも昼休みまで帰ってくれるって言うんだから良いのか。
きーんこーん
あ、チャイムなった。優人先輩良いのかな、2年生の教室ってここから少し歩くと思うんだけど…
ていうか……あれ??
「…優人先輩?」
「んー?」
いやいやいや、んー?じゃないでしょ、んー?じゃ。ていうか、こんな普通の人がやったら変に思われる事もこの人なら大丈夫なんだなぁ。美形ってお得…
じゃなくて!
「もう授業始まりますよ⁈昼休みまで帰るんじゃ無かったんですか?!?!」
「え?帰るなんて言ってないよ??遊ぶのは昼休みしようって言っただけ。」
へ、屁理屈だぁー!!
ずっっる!うわーずっる!私こういうの苦手なんだよ‼気づかないでしょ!?はぁ、日本語って難しい…
じゃなくて!
「いやいやいや!ずっとここに居るつもりですか?!」
それは無いだろう!先生だってくるし、ていうか既に目立ってるし!!いくら私の席が廊下の壁際だからってばれないはずないよ?!
「大丈夫大丈夫!こなっちゃんコレ貸して!!」
「え?!」
ガラッ
「おーい、席につけー」
わー、来ちゃったよ
「…ん?若宮、どうした」
「え?!いいぃえ?!なんでも!なんでもないです‼あは、あはは…」
「そうか?あ、その荷物。通路に置くなよ、置くなら壁な」
「はぁーい」
…………。
「ね?ばれなかったでしょ??」
下から優人先輩がすごく楽しそうに言って来た
…そう、下から
「……だからって、っ、だからって!」
そうだ、何考えてるの
「ダンボールに入ります?!」
…入らないだろう。普通
優人先輩は私の物入れ(ダンボール)を先生が来る直前に先生にだけみえないように被ったのだ。
もちろん、私にも私の後ろにも見えますよ?え?何で誰もバラさないのかって??…もうそれは言わなくてもわかりますよね、ははは…
「まぁまぁ、皆が協力的だからここはばれないって!」
…怖がってるだけでしょ
「ほらほら!黒板に問題書かれたよ⁇解かないと」
「…そんな事言われても直ぐに答えられませんよ!」
「おい、若宮!お前なに話してるんだ!」
…しまった!声大きすぎた…!!
「え!あ、あの!すいません」
「丁度良い、お前黒板にこれ解いてみろ」
ひぇっ、ちょちょちょいまった!なんで?!今書いたばっかなんだけどこの問題!!私、数学出来ないんだけど…、どうしよっ、え、…よし!もうやけだよね‼前にとりあえず出て
「紙借りるね」
「…え?」
ダンボールの中で優人先輩はにこにこしている。
…お気楽だなぁこの人
って、前出ないと!!
「おーい、若宮??」
「はっ、はい!」
うー…嫌だなぁ
「はい、これあげる」
そういって優人先輩は私にさっきの紙を渡して来た。
???
「…え、」
何か書いてある。
これ、
「…x+5≧200-3x……」
まさか
と、私は紙に書いてある事を黒板に書いてみる
…て、まさかなぁ
「お?正解だ。応用もやってきたのか」
「え!!」
嘘。
さっき優人先輩、これ1分以内に書いてたよね???
「席に戻っていいぞー」
「…はい」
カタン
「俺居ると便利でしょ?」
席に戻るとそこには楽しそうな優人先輩。
「…先輩。コレ今解いたんですよね…?」
「え?うん。俺数字とか得意」
…はぁ、この人すごいな。悔しいけどさすがだと思う。
こんな馬鹿みたいな事しててもこんだけ頭良いって、世の中不公平だなぁ。
「…頭良いんですね。」
まぁそんな特別な人はそう居ないもんさ!私なんかやったって出来ないもんね!はは!!
「そう??ここは簡単だよ?あ、俺教えてあげよーか」
「それは遠慮しておきます」
「えー⁇絶対得意にさせる自信があるのに…」
なんか、頭良くてもこの人と二人で勉強はなんか避けたい。
私の動物的本能が、この人を全力で警戒してる。
きーんこーん
あ、また授業終わっちゃったよ。
結局問題解けなかったなー…真面目に勉強の事考えなきゃいけないかも。