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3*ダシュリからの手紙

ダシュリが亡くなる2日ほど前の話。俺・ラーシクは、村と町を繋ぐ役目の『行商人』として、毎日のように町と村の往復だ。


仕事を済ませた後は、いろんな場所で聞き込みだ。今日は確か、他の国から行商で新しい薬師が来てるって聞いたんだ! 他の国なら・・他の国の行商人なら!期待に胸が高鳴る!


待ってろ!ダシュリ!

兄ちゃんが、おまえの弱い体を強くしてくれる薬を、絶対に見つけてやるからな!


露天商かと思って見て周ったが、いつも通りの人達しか居ない。

よく行くお店で、路地裏に居ると聞く。どうやら、日光が苦手らしい。


居た!

「こんにちは!」と明るいく、声をかける。

「おや、いらっしゃい・・お若いの・・私に用かね?」

頭からフードを深めに被り、しわがれた声で話す。

「あなたが、他所の国から来たっていう、行商人ですか?」

そうだ・・と答えるので、こういう薬を探している・・と伝えると・・・


「あぁ・・そうだね。これなんか、どうかな?・・滋養強壮に効くよ」

「?・・・じようきょうそう?・・って、何ですか?」

「ははは・・。体の状態を良くしてくれるし、強くしてくれるって事だよ」


!! あったぞ! それだ!!

買います!と俺は即答した! 数枚の銀貨で払って、水色の中身は・・黒っぽい薬を入手した!


待ってろ・・ダシュリ! 俺は元気よく、その人にお礼を行って走り出す!



・・・これが・・・これのせいで・・・あんな事になるなんて思いもしなかった。

ごめん。ダシュリ。俺は・・・・






路地裏の男「頼まれた仕事は、これで終わり。しかし、よくもまぁ・・すぐに食いついたな・・」

 黒服「あの方の意のままに…」というと、黒服の者達と共に行商人は、その場から立ち去った。

…突然の‥ダシュリとの別れで、まだ心が苦しい。それは、ロローも同じ。


 教団の人から、手渡された・・・ダシュリの手紙。


白い紙に折りたたまれて入っていた。

 ダシュリからの手紙を そ っ と ・・・開く。



  ~ 親愛なる エシク、ミーリ、ロローへ ~


悲しませる事になると‥分かってるけれど・・・。

 これは、逃れられない 運命 だったの。


 順を追って、説明するね。兄さんは、きっと、村には居ないだろうから。

私が、教団へ 逃げてっと、言ったから。


 エシク、相談も出来ずに…ごめんなさい。でも、時間が無かったの。

兄さんには、どうにも 出来なかった事なの。お願いだから、ゆるしてね。

 _______________________________


ロロー「ミーリ・・・ダシュリは、どうして謝ってるの?」

 「‥わからないわ。続きを読むわね」ロローが‥うなづく。


 _______________________________


 事の始まりは、あの薬を兄さんが買った所から・・始まっていたように思うわ。兄さんが嬉しそうに帰って来て、水色の瓶の‥‥そう。あの薬。


 私は一気に飲むようにしてるから、味なんて知らないけど・・。


これが、始まりだったの。


 飲んだ直後は、体が熱くなって熱でも出たのかと思ったのだけど・・・。それも‥すぐに治まった。でも・・・・。


・・・エシク・・ ミーリ、ロロー・・・




私の体・・・黒く 

 黒い肌になって・・ いきなりで・・何で?って・・怖くて。

兄さんが、村長へ報告に行って帰ってくる頃には…私の体・・・真っ黒に・・


 _______________________________



 私たちは、『黒い肌』という単語で・・奇病になった事を知った。


・・そういえば、ダシュリの肌は病弱な人 特有の白い肌だったはずなのに、黒い部分が見えた。血のせいと、ずっと思ってたけど・・・。


ロロー「え・・・ちょっと待ってよ⁉ あの薬は、薬じゃなくて・・奇病の元が入ってたって事⁇」



 ・・ ど う い う 事 ?


 …前に兄さんに聞いた時は、確か・・かかっても発病しない人の方が多いって・・。 しかも、ダシュリよ?


 ダシュリが怒ってたとしても、体が弱いから‥そこまで強く感情を高ぶらせるなんて事、無いし・・・。あっても、喜びの感情の方が強いから、そんな症状一度も・・・・。


 「薬・・」

そうだ。…ラーシクが、機嫌よく帰って来た日。薬を飲ませたって言ってた。

 でも、その翌日には・・具合悪くして寝込んで・・・



…あの時、もう・・・すでに・・・?



ロロー「ミーリ!続き!続きを読んで!」

 考え込んでた私に、ロローが催促してくる。うん。続きを読もう。


 _______________________________


 兄さんは、私の体の色を見て・・私以上に、顔が 青くなっていったわ。

「何で?!」って、きっと今の みんなみたいに・・・驚いていたわ。


  私も・・・・・。


 近くに教団本部があるから、万が一の時は村長が、薬をもらって来ると思っていたから、私は兄さんに「大丈夫よ」と言ったの。


だけど・・・

 兄さんは、夜に出かけようとするから、夜は危険だから止めて!って引き留めたの。だけども、いつもよりも早い時間に町へ行ってしまったわ。


…教団に行ってくれれば 良かったのに。


兄さんは、町へ行って、昨日出会った商人を探してみせるって言ってた。

それでね。今、この手紙を書いてる。 兄さん・・無事に帰ってきて。


兄さんが戻るまで、エシクが家の外でずっと、話し相手になってくれる。

黒い体を見せて、心配させたくなかった。すぐ、自分のせいにするから。


 エシクと、楽しくお話して、し あ わ せ 。


兄さんがやっと帰って来てくれた。エシクにお礼とおやすみを言って、兄さんもエシクにお礼言って・・・家に入って来た。


兄さんのごはんも、私のごはんも、道具屋のおかみさんが持って来てくれた。



兄さんの様子が、変だったの。どうやら、見つけられなかったみたい。

 いいの。何かあれば、教団の人達が来てくれるから。そう言ったら・・・。



…エシク・・ どうか、兄さんを‥許してね。

兄さんが、望んでした事じゃないの。脅されたの。怖い人達に。


ミーリ、ロロー・・ どうか、兄さんを許して。そして・・エシクをお願い!

私の事で、壊 れ て し ま わ な い ように・・・。支えて欲しいの!


兄さんは、行商人には会えなかった。・・でもね、それが・・。

 ・・・嫌 な も の と 出遭ってしまったキッカケに。


その時・・怖い人達のひとりに、ぶつかってしまったの。

悪気は無かったって。謝って去ろうとしたら、腕を‥ものすごい力で掴まれて・・・ 脅 さ れ た の。


 『もしも”コレ”が出来なかったら、村人全員・・・殺す』と。



 _______________________________



ロロー「何?・・え・・ちょっと待って!・・追いつかないんだけど・・」

私も、よくわからない。


 えっと、まずラーシクが薬を買って、ダシュリに飲ませた。

すると、奇病と同じ症状が出てきた。だからあの朝、猛スピードで村から出て、町へ向かったし・・夜に帰って来た。


 その間の話よね?


ロロー「そうだね。ラーシクは結局、薬売りつけた奴は見つからなくて、変なのにからまれたみたいだけど・・・怖いの?って何??」


 私は、次を読みだした。


 _______________________________


コレ・・・が、何かは…きっと、聡いミーリや みんななら、きっと分かるわ。



 兄さんは「ごめん!ダシュリ!」ってずっと言うの。父さんや母さんが亡くなってから、泣いた顔なんて見た事 無かった。


 兄さんは、こんな事… し た く な い って。


これが、町でのケンカみたいなら、大人たちが行けば解決したかも知れない。

ミーリは、聞いた事・・無い? ロローは? エシクは?





 【 ベ ン ガ ン サ 】 って集団の名前を。


 _______________________________


ロロー「私…聞いた事、無いよ。ミーリは?」

 「うーーん。確かどこかで…。あ! 前に、おばあちゃんから少し聞いた事があったわ。出会わない事が一番で、出会ったら要求には ”必ず答える” 事。でないと、もっと酷い事をしてくるからって…」


ロロー「何それ・・・」


 私たちは、少し考えて…ダシュリの手紙を見返す・・・!



ロロー「え・・・・嘘よね?・・・ミーリ?」

私は、首を軽く横に振り「ダシュリを・・・・・ラーシクが?」



 怖い想像をして、気持ち悪くなり…口元を抑える。うずくまる私の背中を、優しくさすってくれるロローのお陰で、少し・・・気持ちが和らいだ。


続きがあった。でも、これは・・・・。


ロロー「エシクの所は、エシクに会ってからにしよ」

そうだねって言って、残った部分を読む。


 _______________________________


きっと、気づいてくれるよね?

 でも だ か ら こ そ 、お願いね。エシクのこと。


私を、こんな弱い体の私の事、好きになってくれたエシクが…心配なの。

 私以上に、奇病が発症してない事を・・祈ってる。


ベンガンサに言われたの。兄さんも、その名前と、どう行動するか‥は、村長に教えられてたみたいだった。だから。目の前に座って・・涙を流してる。


兄さん。 今まで、ありがとう。

 兄さんが居てくれたから、私は・・ずっと、しあわせ‥だったよ。


 教団に逃げてと言ったけど・・・。

ロロー、兄さんを‥お願いね。ミーリ・・ロロー・・お願い。

許してね。今まで、仲良くしてくれて、本当に、ありがとう。


大好きな、私の と も だ ち 。


 _______________________________



 血の海での時とは、また違う涙がこぼれた。


 ダシュリとの思い出・・私は、少ないけど充実してたよ。寝たきりのあなたが、立ち上がって・・歩く練習に付き合って、歩けるようになったよって、ラーシクやエシクが見た時の驚いた顔に、それまで‥見せた事なかったような、満面の笑顔のダシュリ・・。


ずっと覚えてる。 大丈夫よ。 エシクのことも、ラーシクのことも。

 ロローも涙を溢れさせながら、同じ想いを感じてた。


ロロー「‥ダシュリ、任せといてよ!ラーシクの事、ちゃんと‥ちゃんとずっと、べったりするから!あなたの分まで!」と鼻声で言う。



 しばらく泣いて、鼻をかみ、落ち着いた頃には、もうお昼を過ぎていた。

泣いたのもあるが、どうりで・・・。


階下へ降りて行くと・・母の様子が…いつもと違い、元気になっている!

 「母さん、随分と元気になったのね!」

母「えぇ。これもグラーグの薬のお陰よ。ロローも、お昼 一緒にどう?」


ロローは、家に戻ろうとしたが、男の人達はダシュリの葬儀の準備で忙しいだろうから、ロローが家に戻っても‥居ないかもって事で、一緒に食事を頂く。


母が、私たちの顔を見て「いつまでも泣いてたら、ダシュリちゃんが心配して、カリダーテ様の所に、行けなくなってしまうわよ」と言うので、葬儀の時で最後にしようと、ロローと誓った。



夕方。

見回り以外の見張りを残して、ダシュリの葬儀が行われた。


 静かな雰囲気の中…教団の人が、柔らかな白いころもに、金の刺繍があしらわれた服を着て、カリダーテ様への祈りの言葉を…古語こごで話していた。


・・・正直な所、何と言ってるかも、よく聞き取れないけれど、言葉を唱えてると周囲から光の粒が ひとり ひとりの前に灯り、それがさらにダシュリの棺の所に集まり、1つの光が棺を包む。


そして、言葉が終わる頃に、その光が棺から離れ・・空高く・・・遥か高くまで登って消えて行く。


 ダシュリ。 必ず、エシクも・・・ラーシクも、見つけるからね!



今日は、体の水分が全部 涙 に代わったんじゃないか?と、思うほどに泣いてる気がした。ロローも村のみんなも・・・みんな、ダシュリとのお別れを悲しんでいるもの。


 辺りが暗くなる頃には、みんな、それぞれの家へと戻り夕食。


ロローとダシュリの手紙を読んでる時に、何度か『教団』と書いてたから、ラーシクは‥教団に居るのかも知れないわ。明日、聞いてみよう。


エシクは…どこかしら? ラーシクを追いかけてるとしても…町へ行ける事になったら・・聞いてみましょう。




ロロー「父さん・・」父に声をかける。エシクやラーシクは見当たらなかったみたい。疲れた顔で、葬儀に参加し、家でご飯を食べる。


ラパス「何だ?」

テーブルの上に、どんっ!と、大きなリュックを乗せた。


一瞬 考えて、ハッとする。

ラパス「ロロー、もう準備したのか⁇」


ふふんっと、私・ロローは笑った。実は…ホントはずっと前から、ラーシクの後を追いかけてみたくって・・というか、町へ行ってみたくて、準備してたんだ。だけど、ミーリも連れてくなら、ミーリの分もっていう発想がなかったから、準備し直したけど、そこまで大げさな装備は必要ないって思ったの。


ロロー「準備出来たから、行っても い い よね!」

父は、大きな溜息をついて、額をおさえてたけど・・・。


ラパス「仕方ない。くれぐれも、無茶して‥先行し過ぎて、ミーリを危険な目にあわせるなよ!」

ロロー「むっ! そんなに娘が信用出来ないの?!娘の心配はー?」


父は、優しく私を抱きしめ・・

「気をつけてな。ただし、朝になってからだぞ」と。

分かってるわよ。変なのに会いたくないから、朝 出発しますよ・・。


ミーリ、一緒に来てくれるかな? 私は戦えるけど、ミーリは戦える訳じゃないから気を付けないと。だけど、治癒魔法が使えるなんて、ホント凄いわ。


 ラーシク、待ってて!! エシク!ダシュリの手紙、届けるからね!



そして夜が更け・・・

翌朝になると、教団の人達を村長が、丁寧な対応で見送る。

 ・・しばらくの後に、ロローが森ではなく、ミーリの家へと走っていた。


ミーリの家のドアを、思いっきり開こうとしたら、開いたからロローと私は、ぶつかりそうになっていた!


 「ぉわっとと・・ロロー?! びっくりしたわ!」

ロロー「っと・・私もー。ミーリ・・その恰好は・・・」

「もちろん私も行くわ‥。いつまでも 泣いてたらダメだもの。行動しなきゃ」


 私は、いつも来ている裾丈の長い服ではなく、動きやすさを考えてショートパンツとブーツにして、祖母から貰って愛用している杖、祖母が若い頃に、あちこち行ってた時に使ってた‥小ぶりのリュックに、ダシュリの手紙や祖母の薬、祖父の手帳など、細々したものを入れている。


母「ミーリ・・・。くれぐれも、気を付けて行くのよ・・」

 「はい。母さん。・・大丈夫よ。ロローが居るから」とロローを見る。


 祖父母にも挨拶して、村長さんや見張りの人達、みんな・・きっと、すぐ近くで見つけて帰ってくるわ…と言ってるのに、見送りたがるのだもの。


朝。

ラーシクとエシクを探しに、森を迂回し町へ向かうため、村を出発する。

村のみんなの見送りと共に。

【ダシュリからの手紙】生前に書き、兄に託し教団へと届けて預かってもらっていた手紙。村では貴重な白い紙を以前、村長から頂いてたもの。ミーリ・ロロー・エシクへ宛てた、それぞれへの手紙もある。が、この時は気づいてないようで。


【ベンガンサ】黒い服を纏った者たちの総称。関わると無理難題を言い、履行(りこう)されない場合は、報復なのか八つ当たりなのか知らないが、村なら全滅くらいにするくらい、狂暴と言われ警戒されている集団。目的がよくわかっていない。


【グラーグ】ミーリの兄の名前。母用に調合した薬を定期的に持って来てくれる。


【古語】この世界を最初に作った種族の言語だそうで、教団や治癒術師などの限られた一部でのみ使われる言葉。何を言ってるのかも分からないが、神の言葉と言われてる為、分からなくても問題無い。


【この世界での葬儀】亡くなった人の体を棺(色は自由/ダシュリのは純白)に入れ、土の下に埋める‥‥のだが、その前に‥教団員など古語の話せる者が、”神への導きの調べ”という古語の詩を話すと、葬儀参拝者の人数だけ、光の粒が出現し、棺に集まる。その後、数秒留まって、空高く見えなくなる所まで飛び上がって消える(消えてるように見せるのは見えなくなってるだけ)。その後、棺に土がかけられ、墓石を乗せられ、花を飾り、葬儀終了となる。


次回・・ミーリとロローの旅立ち。

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