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1* 平 穏 (へいおん)

平和な世界に、治癒魔法で治らない奇病が人々の常識になった頃・・

 ミーリは、同じ年ごろの友達や家族、村の人達と平穏な毎日を送っていた。


この”平穏”が、長く続くと信じて疑わなかった。

・・・・そんな中でのお話。

大きな争いも無く・・・平和な日々が続くと、信 じ ら れ て い た 。

女神・カリダーテの祝福により・・人々は・・日々を謳歌おうかしていたのだ。



 しかし、ある時・・・・突然!

人々の中から、オカシナ病気になる者が・・現れたのだ。


何の前触れもなく、皮膚が黒く変色していき・・体からトゲやら黒いブツブツが出来ていき・・・・・ついには、人格まで崩壊して人々を襲い出す!!


完全に 変化してしまうと、まるで 魔物 のような姿に 変貌してしまうのだ!


さらに・・その病は、癒しの魔法では・・・・ 治 ら な い 。


 人々を襲う その姿に恐怖し、変化が始まった者達は、牢へと隔離されたり倒されたりしていった・・・。


国内で、病に対する治療薬の開発に踏み出し、様々な研究が繰り返され・・・遂に… ” 病の進行を遅らせる薬 ”が、出来た。




 そして、数十年後・・・・


 = 現 在 =


 * サ ラ ン の 村 *


初めまして、私は・・ミーリ。16歳よ。


 ここ、サランの村へ 母さんと越してきて・・3年くらいになるかしら。


この村には、母さんの両親が住んでるから、一緒に暮らしているわ。

村の人達もみんな、私たちを暖かく迎えてくれて・・・。


 今でも、その時の事を・・思い出すわ。



『ミーリーーー!』 遠くから、呼ぶ声が聞こえる。


ミーリ「ロロー、どうしたの?」


この村に来てから、大親友になった ロロー。

狩人の娘として、日々狩りに行ってる行動力が高い女の子。


ロロー「もぅ、聞いてよミーリー・・ラーシクがぁ・・」


どうやら、またいつもの・・ ヤ キ モ チ ね。


ロローは、1つ年上のラーシクの彼女なんだけど、そのラーシクには・・ダシュリっていう、病弱な妹が居て・・・いつも口を開けば、ダシュリの心配してるから、ロローは構って欲しいみたい。


でも、妹を大事にしてるの、ちゃんと分かってるからこそ、言えないみたいで・・・いつも、私の所に言いに来るのよね。かわいいわ。


ラーシク「・・・ロロー・・待って・・くれぇ・・」

息を切らせながら、ロローを追いかけて来たラーシク。


 ふふっ いつもの日常ね。

申し訳 無さそうにロローに、謝ってるラーシク。


「ラーシク! ダシュリを置いて行くなよ・・・もう・・」

「フフッ 兄さんは、ホントはロローさんが一番 好きなんだもんね」


ラーシク「ぉおい、そう言うなよ・・二人とも‥」


 ダシュリ、今日は、体調良さそうね・・・良かったわ。


ダシュリ「ミーリ、なんか いつも・・・ごめんね・・」

 ミーリ「ううん。謝る事無いわ。ロローとラーシクを見てると、平和だなって実感 出来るもの」


 ロロー「ちょっ!ミーリ~」と、追いかけられて、遊んで笑って・・・・・今日も、楽しいわ!


ダシュリの横に、支えるような形で立っているのが、友人のエシク。

木こりのお父さんの手伝いをしながら、ダシュリを気遣って・・・。


ラーシク「エシク、いつも・・ありがとな」

 エシク「まぁ、彼氏として当然だし」と、テレながら答えてる。


 ダシュリ と エシクも、恋人同士なの。


本当に、ここの村は平和よね。穏やかな空気に、包まれているわ。

これも、女神・カリダーテ様の恩恵よね。


夕方、みんなと分かれて・・・家に帰る。

祖父母が出迎えてくれる。

「おかえり、ミーリ」


ミーリ「あれ?・・・母さんは?」

 祖母「あぁ、料理をしてくれてるよ。座って待っていなさい」


 祖父「今日は、何をしてたんだい?ミーリ」

ミーリ「いつもと同じよ。ロローやラーシクにダシュリとエシクと、楽しく過ごせたわ」


 祖父母も元気なのだけど、最近・・母さんの具合が良く無いのが気がかりなのよね・・。今日は・・・・大丈夫そう。


季節関係無く『寒い』と言っていて、具合が悪いと・・兄の名を呼んで 寝込んでいるの。


えぇ。私には、5歳年上の兄が 居るわ。だけど一緒には、暮らしてないのよ。


兄は…町に居た時から優秀で、奇病の研究をする施設で、仮所員として研究に協力してて。今は、どこか大きな研究所の所員になったとか、前に言ってたわ。





 ・・・奇病


私が知ってる事・・それは、人でも動物でも、全く別の生き物に変化させて・・狂暴化する病気という事。発症には『怒り』がトリガーという事くらいしか知らないの。


今は教団の人達が扱ってる薬のお陰で、奇形化の進行を 遅 ら せ る くらいは、出来るようになったみたいだけど・・・・。


一度 発病すると皮膚が黒くなったまま・・治らないみたい。

兄は…そんな人達の為に完璧に治せる薬の開発に携わってるって言ってたわ。


時々・・兄さんは、私や母さんの事を心配して、様子を見に来るのよね。



・・もどかしいわ。

私にも、何か出来る事が・・ある と良いのに。





 幼い時・・まだ、町に住んで居た頃・・・


近所の野原で友達と遊んでいたら、小さな生き物が、茂みから飛び出してきたの。それだけなら、かわいい動物とたわむれて・・って、言えるのだけど・・その時は違ってて。


少し変化して、頭の辺りにツノのような感じで、はえてる奇形化してた獣が襲ってきて・・・怖 か っ た 。


近くを通りかかった、旅人のお兄さんに助けてもらったから、ケガもしなかったけれど・・・。それから、野原で遊べなくなって・・・・。


本当に、悲しい姿になるの。苦しんでるようにも・・見えたわ。


私に治すちからが在れば・・・・でも、この病気は・・・どんな癒しの魔法でも・・・ 治 ら な い 。


 どうしてなのかしら?


他の病は、癒しの力で キレイ に 消えてなくなる のに・・・・。


きっと、兄さんが・・治療薬を作ってくれるわ・・・・。

   ・・・きっと・・・・。



朝、いつものように・・早朝の狩りへ出かけるロローを見送る。


 その後、村の出入り口でラーシクに、声をかける。

 ミーリ「ラーシク、今日も早いのね」

ラーシク「やぁ、ミーリ。おはよう」


 ラーシクは村長に頼まれて、よく近くの町まで買い物へ出かけるの。


なんで、こんなに早い時間か?と言えば

 『早く済ませてロローやダシュリ、みんなと過ごしたいから』

と、口癖のように言うの。


それに、ラーシクの目的は・・それだけじゃなくて・・・


 ミーリ「今日は良い出会いが、あると良いわね」

ラーシク「ありがとう、ミーリ。本当にね」


 ラーシクの妹、ダシュリは・・生まれた時から体が弱くて・・・

それを治す薬を…探しているの。


いつも、私のおばあちゃんが、いろんな治療を試して看病してくれてるけど・・まだ、体力も少ないから・・無理は、させられなくて。


でも、ここ最近・・・やっと、自力で歩けるようになったの!

歩けるようになった時の、ラーシクの顔・・今でも覚えてるわ。


 本当に、体を丈夫にする薬が見つかれば・・良いのに。


ラーシクを見送る頃に、今度はエシクが森へ向かって歩いてる所に、声をかける。


ミーリ「エシク、今から森へ?」

エシク「あぁミーリ。そうさ。・・早く父さんに追い付かないと・・じゃね!」と小走りにかけていく。


 これも、いつもの日常。


エシクは毎朝、ダシュリに声をかけてから 森へ向かうから、どうしても遅くなってしまうみたいだけど、エシクのお父さんは怒ったりしないの。


 エシクが言い訳する時は、静かに怒ってる時も ある けど。


私は、母さんの看病や、おばあちゃんの手伝いしたり・・・村の中で、みんなのお手伝いが、主な仕事かな。



私には、おばあちゃん直伝の回復魔法が使えるから…ケガした人は、魔法で治癒してる。でも・・おばあちゃんの作る薬の方が効果あるのに。


 祖母「私の薬は、材料が必要になるけど…ミーリの魔法は、ミーリの心に反応して出来る力だから、とても傷の治りが早いのよ」


 たしかに・・魔法の方が、早い・・・けど・・。


村では、魔法が使えるのは『 私 』だけ。

おばあちゃんは・・・昔は、使えたみたいだけど・・『歳かしらねぇ』なんて言って、今は、使えないみたい。


 だから、様々な素材を組み合わせて ” 薬 ” を作ってる。



昼頃には、エシク親子やロロー親子が村へ戻ってくる。

 いつもなら、この時間にラーシクも戻ってくるのだけど・・・・。



 あら?・・・今日ラーシクは・・・まだ、帰ってきてないみたい。





そうして、夕方・・・・笑顔で、帰って来たラーシク。


 ロロー「ラーシク、何 ウキ ウキ してるの?」

ラーシク「聞いてくれよ ロロー! 俺、遂に 見つけたかもしれないんだ!」

 ロロー「?・・何を?」

ラーシク「ダシュリの体を”強くする薬”だよ!」

 ロロー「えーー? また、ハズレじゃないの~?」


というやり取りが聞こえる。


今までも、それっぽいのを買ってきては、ダシュリに飲ませて・・お腹を痛めたり、病気になったり、ただのジュースだったり…とか、いろいろ あったから。


 ロロー「飲まされるダシュリも、いつも大変ね・・」

ラーシク「なんだよー。今度は本物かもしれないじゃんか!」

 ロロー「そうだね! きっと、今度は元気になるのだよ!」


 みんな、ダシュリに・・・元気になって欲しい…と・・願ってる。




その夜・・・ラーシクの家。


ラーシク「ダシュリ、今日 買って来た薬は、きっと本物だよ!飲んでみてくれ!」

ダシュリ「まぁ!兄さん、ありがとう・・」


 フタを取って、黒っぽい液体を一気に、ぐいっと・・飲み干す。

『こういうのは、味わったらダメなの』と、味も匂いも知らないが、兄の選んでくれた、水色の瓶の液体を飲み・・・眠る。


ラーシク『どうか、これで・・良くなってくれ!!』





翌日。

今日も今日とて、ロローやエシクを見送る。



昨日の薬、どうだったかしら?

あとで、ダシュリに聞いてみましょう。



そう思いながら村の道を歩いてると、勢いよく通り過ぎるラーシク!


ミーリ「え?!・・ラーシク?、どうし・・・」・・・もう、村から出て町の方へ走って行ってしまった。


どうしたのかしら?


・・・見送れなかったから、ダシュリの所へ寄る事にした。


 ミーリ「ダシュリ~?」

家の入口から、呼ぶけど・・・返事が無い。


 ミーリ「ダシュリ、上がるわよ‥」

ダシュリ「ミーリ?・・えっとその・・ちょっと、今日は体調が悪くて・・ごめんね・・出られなくて」

 ミーリ「あぁ、そうだったの?気にしないで。ゆっくり休んでね」

ダシュリ「ありがとう・・ミーリ・・」


 昨日の薬は・・・ハズレだったのね・・・。

あぁだから、その為の何か別の薬を買いに行ったのかしら?

それなら、私に言えばいいのに・・・。


私なら、すぐ治してあげるのに。


・・・それとも、何か違う用事だったのかな?



 そうかも。



そして、今日も・・・いつもの日常が続く。


 けど、今日は・・・ダシュリは居ない。


エシクは、ダシュリが心配だから・・・ラーシクが帰ってくるまで、ダシュリのそばに居ると言ってラーシクの家へ行ったわ。


・・と言っても、何かの病気なら・・エシクもかからないようにと、窓の外でダシュリを見守ってる。


ロローと二人で、村の中央にある教会の花畑で座っていた。


ロロー「ラーシクの買った薬っていう名の何か・・やっぱハズレか~」

ミーリ「ダシュリ、具合悪そうだったわ・・」

ロロー「今度は何の薬だったんだろ?」

ミーリ「聞く暇も無いくらい、急いでたわ・・」

ロロー「なかなか見つからないね~」

・・・他愛のない話で、夕方まで過ごして・・・・・・。



いつもなら、夕方には帰ってくるはずのラーシクが、戻ってこなくて・・・。

私のおじいちゃんが、入口の所で私の代わりにラーシクを待っててくれると言って出かけた。


・・・どうしたのかしら?何かあったの?


夜になると、奇形化した獣とかに 襲われる事もあるから、村の男性たちが交代で村の出入り口を見張ってるの。


数分後、おじいちゃんが帰って来た。

ラーシク、無事に帰って来たって聞いて、ホッとした。


夜は、危ないから出歩かないようにって言われてるから、心の中で言うね。


 『おかえり、ラーシク・・・』




 私が、ぐっすりと眠ってる頃・・・・


 ラーシク の 家



寝ているダシュリを見下ろしながら・・何かを我慢するように涙を流し……


 「ダシュリ‥‥‥‥ごめんっ」

【女神・カリダーテ】(カリダーテ=ポルトガル語/慈悲(じひ))

この世界で浸透している女神様の名前。村や町などに必ず、カリダーテ様(短く白い羽と白いシンプルな服を着た女性の姿)の像がある。カリダーテ教会もある。世界に光をもたらした女神と伝えられている。


【奇病】この世界で、突然現れた病。皮膚が黒くなり、黒くなった皮膚からトゲのような鋭い尖ったものや、黒い大きな水疱(すいほう)などが出来る。これが全身を覆う頃には、錯乱して人を襲うようになる。現在は、教団による薬で進行を抑える薬を使う以外無いとされる。魔法による回復は不可。何か強い力に弾かれるような形になり、一切 効かない。


【サランの村】ミーリの住んでる、大陸北部、東の外れの海側に位置する村。穏やかな村長さん一家と、狩人や木こり、薬師などが居る。道具屋が細々と経営している。村の中央にカリダーテ教会と墓地がある。狩人や木こりは、近くの森へ行き・・今日も仕事をする。森を迂回して南下すると町がある。


<人物紹介>*主人公*

*ミーリ 16歳・女 金髪で肩を過ぎたくらいの長さ。

ミーリが10歳の頃に父を亡くし、母と共に祖父母の住む『サランの村』へ越して来た。争いごとは嫌いで、生き物が全て好き。奇病を治したいと思うが、魔法でどうにもならないと知っている。家族や村の人、友人たちをとても大切に思っている。

家族構成→祖父(農夫)・祖母(相談役・薬師)・母(農業手伝いなど)・兄(研究員)※ココには住んでない。


<人物紹介>*ミーリの大親友/ラーシクの彼女*

*ロロー 16歳・女 明るめな茶髪でツインテ

明るく、元気いっぱい。狩人の父に習って、自身も狩人見習いとして毎日稽古の一環で、父親と狩りへ・・毎朝行く。捕って来た獲物を加工して道具屋に卸すのは母の役目。ラーシクと恋人関係だが、妹・ダシュリばかり構ってるラーシクに度々ヤキモチを爆発させている。

家族構成→祖父(元・狩人/今・釣師)・父(狩人)・母(主婦&獲物の加工)・弟(農家の手伝いなど)


<人物紹介>*ダシュリの兄/ロローの彼氏*

*ラーシク 17歳・男 灰色がかった黒髪で短髪。

世渡り上手、口上手と評判。早くに両親を亡くし、病弱な妹と支え合って生きてきた。村長の(はか)らいで、町との取引や肉の加工品や工芸品を行商する仕事をしている。なので、よくダシュリの為にとアヤシイ薬を買って来る。妹が一番大事・・というと、ロローとダシュリに怒られる為、今は『みんな』と答えるか『ロロー』と言うようになった。

家族構成→妹・ダシュリ(病弱)


<人物紹介>*ラーシクの病弱な妹/エシクの彼女*

*ダシュリ 14歳・女 病弱なせいか、やや色が薄くなったグレーでセミロング。

元々、病弱で生まれ、両親が亡くなってからは、兄やエシクたちに支えられ、生きてきた。不自由な体を憂うより、友人やエシクとの人生を、心から楽しんでいる。時々兄の持ってくる謎の瓶に入ってる液体を味わう事無く飲み干しては、余計に体調不良を起こす事もしばしば。しかし、兄の優しさと信じ、文句は一度も言った事は無い。今の日々が幸せだと思っている。

家族構成→兄・ラーシク(行商人)


<人物紹介>*ダシュリの彼氏*

*エシク 16歳・男 黄緑に近い緑色でややうねってる髪で短髪。

木こりの父に習い、木こり見習いとして日々森へ入る。普通の少年。ややツンデレ。基本的には誰に対しても誠実で真面目。ラーシク以上にダシュリを想っていると自負している。友人たちやダシュリのお陰で日々、幸せだと感じている。

家族構成→父(木こり)


【教団】

奇病の進行を留める薬の開発に成功し、各地へ使節団を派遣し、奇病の治療にあたっている組織の総称。


次回・・悲しき別れと、旅立ち・・・。

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