+8〚パズル〛
依が公揺党へ行き、俺達はRIRIERUへと戻った。
ネオンがまばらに散る街並みを二階の自室から見下ろしながら、先程あの病院前で起きた出来事を振り返る。
言葉や声は聞こえなかったのに、あの受診機から放たれる異様な重い気配が俺を手招きしている様子が頭に鮮明に浮かぶ。
〈俺の仲間をバカにしに来ただけならとっとと失せろ、この野郎〉
《おいおい、そんなすぐキレんなって、惣一。あ、そうか。俺の言葉は九条には届いてないのか。
んじゃあ誰か、スマホの文字起こしソフトを使ってくれ。ま、届いてなくてもいいがな。
……俺は九条の事貶してるわけじゃねぇ。何なら逆だ》
〈逆?〉
《そう。俺は、九条蓮が欲しい》
〈っ……!〉
《お前らだって気づいてんだろ?九条蓮はあっち側の人間じゃなく、俺と同じこっち側の人間だと言うことに……》
〈……!九条くんは、あなたとは違う〉
《おー、おー、威勢がいいな、二年生。今日の……GRALの連中を一撃で投げ倒した所。
それを見て俺はビビッと来たんだよ。あぁ、こいつは同じだって。
魁漆座の中では障害があろうとなかろうと、普通の高校生だって装ってはいるけどよ、抱えてんだろ?
九条蓮も。怪物みたいに抑えられない暴力性をよ。魁漆座にいる内は良いよな。
暴力を街を守る力に変えられるんだから。なら、そこから卒業したらどうなる?》
〈……何が言いたい?〉
《何って……。俺ずっと言ってんじゃん。九条が欲しいって》
〈九条は物じゃない。俺らがどうぞってあげられる物じゃないんだよ〉
《……そっか、そっか。そりゃそうだよな。なら、言い方を変えよう。
九条には俺達と来てほしい。これなら、ただの勧誘になるだろ?》
〈ふざけた事を……!〉
《……さっきから思ってたんだけどお前ら、自分の事ばかりで九条の意見聞いてないよな?》
〈……!?〉
《俺の声が聞こえてないから聞いてないだけなのか、聞かせたくないから守ってるのか》
〈っ……〉
《おーい、九条れーん!!聞こえるかー!?》
〈……〉
《……ふっ。まぁ良い。魁漆座とのピースは集まった。後は、パズルの型に嵌めていくだけ。
今度は直接。来たるべき日にまた会おう、九条―――》
―――そんなやり取りがあったなんて、俺は知る由もなかった。




