+4〚後輩と、オーナーと、みんなで〛
〈ただいまです……って、癒宮さん?〉
四月二十四日。
ネオンの光が激しくなってきた頃、俺達は探偵事務所・RIRIERUへと帰還した。
もちろん中には癒宮が―――いなかった。
いつもは透明なガラスに囲まれたカウンターに立っている彼女が忽然と姿を消していた。
店内を見渡したところ、置き手紙のようなものもない。
戈山と二人で店内を探しても、何も見つからない。
それどころか、依頼に行っていたはずの一さんもまだ戻ってきていないようだった。
俺や戈山のスマホにも連絡は来ていない。
心配そうに眉を下げた大和の隣にいた諏訪も、険しい表情を浮かべている。
この場にいる全員が違和感に気付き始めたその時。
扉が勢いよく開かれ、戈山や諏訪は振り返った。
〈ちょ……、水戸さん……!ゆっくり……〉
〈あ゙ぁ゙!?黙れ、藤堂!結局俺達はこの紙剥がしただけじゃねぇか!ったく、あいつら……俺が行く前に全部終わらしやがって……!〉
〈しょうがないじゃないッスか!九条さんと戈山さんが行ってたたらしいし、俺達どう考えても出遅れてましたよ……!〉
〈水戸くんと……藤堂くん……?〉
扉を雑に開けて入ってきたのは、弐ノ座に今月入ってきた新・一年生の座長と副座長だった。
反応から読み取ると、声を荒げているらしい同じ制服を来た一年生は、座長の水戸雫。
彼は、間欠性爆発性障害と言う疾患を抱えている。
簡単に言うと感情の制御が難しい疾患だ。
対して、そんな水戸を何とか宥めているのが、副座長の藤堂零。
HSPである藤堂は、周囲の刺激や感情に人一倍敏感だ。
彼は水戸の怒りも、現場の不穏な空気も、文字通り「痛いほど」感じ取っている。
そんな凸凹一年生コンビが、何やら封筒を持って現れたようで。
〈あ。か、戈山さん、すみません……!水戸さん!少しは落ち着いてくださいよ……!ただでさえ、変な封筒に惑わされてるんスから!〉
〈……変な封筒?〉
〈あ、はい。ここの玄関にこの茶封筒が貼ってあって……。気味悪いですよね、って話してたんです〉
〈……中になにか入ってる……?〉
〈お、何だ、何だ!宝か!?〉
〈そうだったら良いんですけど……。!これ、紙だ〉
〈……てーみた(手紙か)〉
〈そうみたいだね。九条くん見る?〉
〈ん〉
そう言って戈山から手渡された白い紙を受け取り、開くと、中にはパソコンで打たれた文字が簡潔に並んでいた。
「声のトーン」や「感情」が一切排除された無機質な記号。
普段、俺は人の喉の震えや表情から「思い」を読み取るが、このパソコン打ちの文字からは何も読み取れない。
【4/24-21:00 /一癒宮を捕らえた。魁漆座、弐ノ座。界区2番街樟葉町、界総合医療研究センター前で待つ。GRAL代表:依】




