ぼくの家族 2年3組 ふじ田ひそか
最終回です〜ここまで読んでくれた皆さんありがとうございます。番外編はノクターンズの方でエチエチなのあげますよ〜
この店はパパ活に丁度良い…と思う。
新宿三丁目。紀伊国屋書店の近く。客単価はおよそ4000 円。カフェにしては高い。だが老舗のブランド力と人気商品のカレーのお陰で、店外の待合席から客が消えることはない。そのため現代の新宿を象徴するような若者はこの店にはあまり来ない。
だからこそ、この店はパパ活に丁度良い。と思う。
周りの客も店員も常識と良識を持ち合わせている。「見て、あれパパ活だよ」と声を出すことも無ければ、怪訝な目でパパ活カップルを見ることもない。周囲から変な目で見られず、値段も安すぎず高すぎず、パパ活最初の顔合わせをするにはこの店は丁度良いのだろう。
そう考えながら良識も常識もない私は店の人達をジロジロと見ていた。パパ活ペアを探している訳じゃない。
私が探しているのは藤田という高校時代の友人だ。
藤田はアメリカに風俗出稼ぎをすると言ってから3年間連絡が無かった。そうたった一度も。私は藤田がアメリカの風俗で何をしているのか全く知らなかった。
そんな藤田から急に連絡が来た。3年振りに。
せっかく会えると思ってワクワクしていたのに、待ち合わせの時間に全く来ない。
本当にこいつはムカつく奴だ。
帰ろうかとインドティーを飲み干した時に「おまたせー!」と声が聞こえた。
私はカップを顔からゆっくり離した。すると、私の目の前には杖をついた金髪ロングヘアの女がいた。
「あれなんか冬梅、垢抜けた?!」
「別に…」
「うそぉ!あの芋陰キャの冬梅桜はどこに行ったの!」
「うるさいなぁ」
そうこれが私の友人、藤田だ。
藤田は平成のギャルを体現したような見た目になっていた。なんか退化した…?あ、でも3年前につけていた大量のピアスは外れている。
足はあの時の火事…いやそれについて考えるのはやめよう。
20代の3年という月日はとても長い。私もこの3年で色々あった。お互い話すことは沢山ありそうだ。
藤田は席についてレモンティーのホットを注文した。ついでに私もインドティーのおかわりを注文した。
そしてお互い無言で見つめあった。それはとてもとても有意義な時間だった。今日この店で流れている曲はジムノペティ。最高だ。
無言でも…いや、やっぱり気まずいな。
私達はちょっとした手違いで本来見せる予定じゃなかったカードをお互い見せてしまった。それ故の気まずさだ。忘れることなんて出来ない。それでも忘れたことにしたい。なんだかこそばゆい気持ちだなコレは。
「ねぇ冬梅」と藤田は真剣な眼差しで私の方を見た。
胸がドキリとした。こいつ全部話すのか。自分に今まで何があったのか、ナベシマに何をされたか、ついに私に話すのか。私は体全身に力が入って、前のめりになった。大事なのは傾聴。傾聴だぞ冬梅と言い聞かせた。
「ん?どうしたの?」と私は平然を装った。
「それ飲んだらラブホ行こっか!」
「は?」
そうだ忘れていた。
私の目の前にいる人は最強で最悪で最高のバカで、私が最高に大好きな人だ。
藤田は、私の奪われて来た人生の中で対等を教えてくれた人。見下されて来た人生の中で対等を教えてくれた人。
「うん!」と私は藤田の手を握った。そしてお茶を一気飲みして会計を済ませ店を出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぼくの家族。2年3組。ふじたひそか。
ぼくの家族はふつうじゃありません。お母さんはいます。でもお父さんはいません。でも家族は3人います。あ、ぼくとお母さんをいれたら5人です。
お母さんは夜にお仕事にいっています。お母さんは夜になるととってもキレイです。そう言ったら昼はキレイじゃないの?と言われておこられました。ぼくは昼のお母さんはきらいです。
桜は心をけん究する博士です。大学にいってます。毎日夏休みの自由けん究をしていると言ってました。ぼくはポケモンが好きなので早くオーキド博士になってほしいです。やさしいので桜が一ばんすきです。
りんたろうは弁ご士です。毎日、電話がかかるとすぐに出ていきます。そしたらぼくは、りんたろうのお皿に野菜をおいています。
イイダさんは分かりません。男の日もあります。女の日もあります。家にずっといる時も、家からずっといない時もあります。ただ「イイダさんとよべ」と言うからこわいです。でも、ぼくが小さいときに育ててくれたのはイイダさんです。
こんなかんじでぼくの家族はとってもふつうじゃありません。でも、みんなぼくのことが大好きです。ぼくもみんなのことが大好きです。
でも、みんなぼくより桜のことが好きです。でもぼくも桜のことが大好きです。ねるまえは、だれが桜とねるかジャンケンします。ぼくもします。
このジャンケンはぼくの楽しみです。みんな本気でやるから、なんだかぼくも楽しい気持ちになりました。
ぼくの家族はふつうじゃありません。だけどとてもたのしい家族です。
「おわり」
「あ、あんたコレ学校で読んだの?」
「うん!こんどは東京のえらい人の前で読むよ!たよーせいの何とかで!ぼくの1番だった!!」
「やだぁ!流石わたしの息子優秀!!」」
「うん!おかーさん!大好き」
はい…死んだ。倫太郎くんもイダも顔面が真っ青になっている。
2人とも安心して。それよりも顔面真っ青な人が隣にいるから。
「ぎゃははははは!!!姉様〜ど淫乱!やーい!やーい!」
「あら素敵。今度わたしも混ざらせてもらおうかしら。イイダさんと3人でしましょうよサクラ。」
遊びに来ていたマシロと瀬戸夏美は作文を読んで大爆笑していた。瀬戸さんが笑いすぎて崩れ落ちているところを初めて見た。恐るべし子供の作文。
あぁー全く、多様性も幸せも時には人に隠したいものだ。
欲張りな私が世間にバレる。
まぁこれも良い思い出だと笑える日がいつか来るのかな。
そんな微笑む私を横目に「良いのか桜?」とイダは眉をひそめて言った。
「ダメに決まっているでしょ」
そう言ってヒソカの作文を1から書き直させた。申し訳ないから今度ポケモン買ってあげよう。
だって、この物語は私たちだけのものなんだから。
本編完結です〜!
こんな処女作でいつエタるか分からない作品にブクマをつけて読んでくれた79名の皆さん本当にありがとうございます。とっても、とっても嬉しいです。今からでもブクマとポイント、感想、レビューもお待ちしています。でも無理はしないでください。
最初に具体的な嬉しい感想をつけてアドバイスをくれた“よなぷー”さん
ブクマが減ってエタらせようと思っていた時に、私を前向きにさせてくれる嬉しい感想をくれた“shunaruna”さん!
そして作品の感想に加えて私の交通事故を心配してくれた“クレスケンス”さん“彩姫”さん
カクヨムの方だけど、藤田ファン笑?の“ウルハ”さん
感想をくれた皆さんのお陰で走り切ることができました!心の底から感謝です!ありがとうございます。
それだけじゃないですね。わざわざ貴重な時間を削って私の作品を読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました。
番外編はノクターンズノベルの方でエッチエッチなのを公開します。抵抗がない人はぜひ読んでください。
ではでは!!
地極ミミ




