猛獣退治③ー女は殺す気で戦わなきゃ男に勝てないー
鮎川さん強くて大好きなんですよ
「はぁっ!!!!」と佐々木刑事は唾液を溢しながら後ろに引き下がった。鮎川の蹴りがみぞおちにしっかり入ってしまった。
「佐々木さん!」
「おや、まだ立てるのか」と鮎川は笑った。
ふっふっ…と佐々木刑事は軽く息を整え、鮎川に向かった。佐々木刑事は鮎川の胸襟と袖を掴み技を仕掛けようとしたが、ガタイの大きい鮎川はびくともしない。
諦めた佐々木さんは警棒を取り出し、鮎川に向かって降るった。腕や肩を狙っている。鮎川は簡単にそれを躱したり手で払ったりした。鮎川は佐々木さんの必死な姿を見てニヤニヤしていた。
「君が男だったら、筋肉量が俺と同等だったろうに…」と鮎川は言った。
「うるさい…女でも男でも関係ない!技術は誰にだって身につけられる!!」
「ははは、それでも結局力では勝てないんだよ。女は。」と鮎川は言った。1番聞きたくない人からその言葉を聞いた。
「レイプされて大事な未来を奪われた人達のために私は戦ってるの!貴方は何をしている!?奪った奴を殺したって何も手に入らないわよ!!!」
佐々木刑事は叫んだ。そして鮎川は今の佐々木刑事の発言に酷くムカついたようだ。
「俺だって戦っているよ。桜と愛美のために。」
「そんなの天国の2人は望んでいない!」と言って佐々木刑事は鮎川の右手を狙って警棒を振るった。ガチンと思いっきり音が鳴った。鮎川の右手に警棒はしっかり当たった。が全く効いていなかった。
「お前は桜と愛美の何を知っているんだ」
さっき鮎川が言った不合格の意味が分かる。このままじゃマズイ。
見かねたマシロちゃんが左手に持っていた金属バットを右手に持ち替え、鮎川の頭を殴ろうと振りかぶった。
だが鮎川はバッドを掴み、糸も容易くマシロごとぶん投げた。
「マシロちゃん!!!」
「ダメだよマシロ。まだお前の相手はしない」
「うっ」とマシロは口を拭った。右の唇が出血していた。
「おい女」と鮎川は言った。ここでの女は佐々木刑事のことを指す。
「…なに?」
「今の見て分かっただろ?どうしてお前が不合格なのか」と言って鮎川は佐々木刑事は再び飛びかかった。
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「はぁーあ情けないねぇ俺たち」と秋口刑事はタバコを吸いながら言った。
俺も「女性陣はたくましいですね」と秋口刑事に同調した。
後ろの座席にいる中尾圭一さんは口をぽっかり開けて眠っている。一瞬死んでると思って中尾さんの口元に手を置いてみた。しっかり息をしていた。良かった生きてる。
「冬梅さん…怪我してるから無理しないと良いんですが…」
「はぁー…あの女は大丈夫だろ。それよりもウチの佐々木の方が心配だ」
「どうしてですか?柔道の日本チャンピョンでしょ?」と俺は声が裏返りながら言った。それくらい秋口刑事の言うことがあまりにも受け入れ難かった。
「アイツは勝つために戦う、容疑者を捕まえるために戦う。今回は違うだろ。」
今回は…
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「殺す気で来て戦わなきゃダメなんだよ」
鮎川は佐々木刑事の右腕を掴みまっすぐピンと引っ張った。そして佐々木刑事の肘の部分を目掛けて蹴り上げた。
「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
佐々木刑事の悲鳴と共に骨が潰れる音がした。折れたどころじゃない。
「君は女で俺は男だ。圧倒的な力の差があるのに君は何故殺す気で来ない?女は殺す気で物事に挑まなきゃ一生勝てないんだよ男に。」
佐々木刑事は痛みで鮎川の言葉は全く聞こえてない。私は恐怖で身体が動かなかった。そうだ。初めて見た。イイダさんが…女の人に暴力を振るっているのを。
鮎川は同じ要領で佐々木刑事の左肘も折りあげた。気絶しそうな佐々木刑事の顔に最後は蹴りを入れて吹き飛ばした。
佐々木刑事は口から泡を吹いて失神していた。良かった生きてる。でも早く治療しなきゃマズイ。
「よし、これで邪魔者は消えたな」と言って鮎川は腕を組みストレッチをした。
「何で女はレイプされる生き物なんだろうな。」と鮎川は呟いた。彼は別に答えを求めて聞いている訳ではなかった。自分に問うていたのだ。
「殴る蹴るの暴力だけじゃなくて、なんで尊厳を奪われるんだろうな。力が弱いから?社会的立場が低いから?社会がレイプを許しているから?」
鮎川の怒気がこもった低音が倉庫に響き渡る。
そして地面に横たわる久保ヒカルを踏みつけた。久保は「うっ」と小さく声を挙げた。
「コイツはね…私の愛する娘と妻をレイプして殺したんだ」
「…うん」
「桜はまだ2歳だった。とても素直でイヤイヤ期がない子だった。痛かったろうな。レイプされて内臓はぐちゃぐちゃになっていたんだ」
「…うん」
「あの時愛美は2人目が欲しいなって言ってたな。愛美は何度もレイプされて最後はナイフで子宮を滅多刺しにされたんだ」
「…うん」
何だか私は泣きそうになった。彼から初めて聞く前の家族の話。事件の話。鮎川は笑いながら事件の話をした。それがとても辛かった。
「コイツは生きてるべきじゃないと思うだろ」
「…うん」
「だったらさ…」と鮎川は顔を上げて私の方をしっかり見て言った。
「一緒にコイツを殺そうよ。冬梅。」と満面の笑みで言った。
その顔は何度も見てきたイダの顔だった。
本編終わったら、番外編としてノクターンズノベルの方でメチャメチャ百合エロ描きます。それが楽しみで楽しみで仕方がない。




