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移動日 侮れないジジィ

今回、区切りの問題で短いし特に盛り上がりがありません。

次回からドンパチします。



あぁ…もうすぐ再開だ。


イダ待っててね。


 私は助手席に座って、瀬戸夏美から受け取った紙を見ていた。


「中尾倉庫…久保と鮎川はここにいるんですか?」


「ええ、玉ねぎ倉庫。もうドンパチしてるわ」と瀬戸夏美は言った。


 ヒットマン達の方が一足早かった。当たり前だ。久保ヒカルの暗殺依頼は少なくとも3日前から始まっている。


「中尾倉庫の社長、中尾圭一さんが久保の身元引受人になったの。それで中尾さんが久保を車に乗せようとした瞬間に鮎川が突撃。ヒットマン達も続いたわ」


「え、じゃあ久保は?」


「まだ殺されてない。鮎川は久保を乗せてその倉庫に向かった。」


「あの!中尾圭一さんはご無事なんですか?」と二列目に座っていた佐々木刑事が運転席に身を乗り出して聞いた。


「刑事のくせに周りを見れないの。1番後ろの席にいるじゃない」と瀬戸は冷たく言った。


 瀬戸以外の全員が後ろを振り返った。そこには、白髪をハゲ散らかした小太りのおじさんが、ほのぼのした様子でこちらに手を上げた。あれが中尾圭一さん。


中尾圭一さんは「やっほ」と言った。


 それに対してマシロちゃんが「やっほー!」と返事をした。


中尾さんは「ふむ」と軽く頷いてニッコリ笑った。


 このジジィ…場慣れしている。そりゃそうか。殺人の罪を犯した奴の身元引受人になるくらいだもんな。



「中尾倉庫はもうドンパチしてる。皮肉にも鮎川が久保を守る形で」


「え?」と私は聞き返した。


「ヒットマン達を一掃してから、久保を殺ろうとしているのよ」


「そうですか…」


 頼むからもう誰一人とも犠牲者は出て欲しくない。


「あの…?警察は動かないんですか?」と黒瀬さんは刑事二人を横目に気まずそうに質問した。


 瀬戸夏美はさっきの佐々木刑事への対応とは打って変わって柔らかな物腰で


「残念ですが、ナベシマはその辺も抜かりなく用意していたみたいです。動きません警察は」と言った。


 瀬戸夏美が運転するハイエースはマニュアル車だった。瀬戸夏美のスペックの高さは本当に恐ろしい。左手で常にレバーをガチャガチャしてる。全く仕組みが分からない。


 私がそんな瀬戸夏美の手元を見つめていると、

「桜、作戦はあるの?」と聞いた。


「作戦…そんなの無いよ。まぁ強いて言うなら、もう誰も殺さないこと…かな。」


「それで十分。刑事さんアンタ達はどっちの方が強いの?」


「女の方です」と秋口刑事は即答した。


 「あっそぉ情けないのね。わかった。じゃあ車にはアンタが残りなさい。中尾さんと黒瀬弁護士の護衛よ。いざという時には撤退して」


「…わかった」と秋口刑事は言った。


「さぁもう着くわよ」と言って瀬戸夏美はハンドルを切って小道に入った。そして小道の先からは銃声が何発も聞こえた。


 私とマシロちゃんは顔を引き締めた。


 始まる。


 その時「何でこの子達…慣れてるのよ…」と佐々木刑事が小声で言った。その声に少し我に帰りそうになった。




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