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高瀬ユウナのその後

主人公出ません。でも大事な回です。

柊木にレイプされて…警察に行った被害者って


まさか…まさか冬梅じゃないよね。


そんな疑問が高瀬ユウナの頭によぎった。


 高瀬ユウナは3月にXテレビのインターンシップに参加、その後の打ち上げで柊木に薬を飲まされレイプされた。


 しかし高瀬は柊木逮捕のニュースを見たことで、柊木と同じXテレビの人事部長丸井にも自分はレイプされていたのではないかと思い始めた。



 警察に相談すれば動いてくれるのかな。


 でも、私は被害に遭ってから半年も過ぎてる。


 私の場合証拠なんて何もない…どうしよう。


 高瀬は何度もスマホで柊木事件に関する単語を打ち込んで検索をかけた。


 高瀬は自分の被害を親に話していない。自分と近しい人程話せなかった。唯一、お世話になった就職支援センター職員の林と友人の冬梅には話した。しかし林は、こちらで対応しますので…と言ったきり連絡が来ない。そして冬梅からも…。


 SNSで調べても、警察に行って被害を打ち明けることを後押しをする言葉はほとんど無い。と高瀬は思い込んでいる。何故なら高瀬の目には自分を中傷する言葉しか頭に入って来ないからだ。


“まんこ二毛作”、“ハニトラ”、“売春大学生”


 警察に行ったのは自分じゃないのに自分に言われているようで、不思議と涙がこぼれ落ちる。


 そして追い討ちをかけるように、かつての大学の友人からメッセージが何度も来る。


『最近、学校来てないけどどしたー?てかユウナXテレビのインターン受けたよね』


『ユウナ大丈夫ー?なんかあったら話聞くからね』


『ユウナ、学校にマスコミ来てたよ。なんか知ってる笑?』


 ユウナが被害に遭う前は、大して仲も良くなかった顔見知り程度の同級生からこのようなメッセージが報道後大量に来るようになった。


 大学の間では警察に行ったのが、レイプされたのが、自分だと思われているようだ。


「私じゃない!警察に行ったのは私じゃないのに!!」と高瀬は何度も嗚咽を交えながら部屋で1人泣き叫んだ。


 そんな高瀬のスマホから電話の着信音が鳴った。非通知じゃない…。高瀬はおそるおそる電話に出た。

 

「…もしもし」


「あ、もしもし!聞こえますでしょうか?」

 電話の声は、男だった。はつらつとしたビジネスマンのような声だ。


「は、はい聞こえます。」


「あ、私ですね23区警察署、刑事課のナベシマと申します。」


 刑事…?と高瀬は聞き返した。


「そうです。高瀬ユウナさんでお間違いないでしょうか?」


「はい。そうですが。」

 

「えと、実はですね。あ、いや柊木リョウゴが逮捕されたのはご存知ですか?」」

と男は声色を変えて話始めた。


 聞きたかったようで、聞きたくなかった名前。それでも警察から自分が被害者だと見つけてもらったのは嬉しい。被害を告発する負担が減った。


「はい知ってます…」


「そうですよね。あの単刀直入に申し上げて申し訳ないのですが」


「いえ分かってます。」


「そうですよね。我々警察がもっと早く動けていたら…すみません…」とナベシマ刑事はとても悲しく辛そうな声で高瀬に謝った。その謝罪の言葉を聞いた瞬間、高瀬の目から涙が溢れた。 


 これでやっと自分も救われた、見つけてくれたと思ったからだ。


 

 そしてその刑事は、今から高瀬の家に車で迎えに来るから署まで来てくださいと言った。高瀬はそれを快諾した。


 ちょうど家には両親がいない。高瀬はナベシマ刑事に自分の家の住所を教えた。


 ナベシマ刑事は「すぐに向かいます。もう僕たち警察がいるから安心ですよ」と言った。


 高瀬は堪えていた涙を抑えることが出来ず、再び涙がこぼれ落ちた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 1週間後、高瀬ユウナの母親は近所の警察署に向かった。


 娘が突然姿を消したからだ。


 『彼氏と駆け落ちします』


 そう書かれたメモ書きがリビングに残されていたことから警察は事件性が無いと判断した。


 母親は仕方なく娘の行方不明届けだけを提出した。

今回も読んでくれてありがとうございました。

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