主人公ってもう少しお話してたような気がするんだけど
色々と考えたいことはあったが、まずは希望通りな転生に向けて天の声をどう上手く誘導していくかを考えなければならない。
誘導に失敗すると平凡に毛が生えた程度の能力で新しい世界に放り投げられてしまいかねないからだ。
何も疑問に思わず選択肢を提示された時点で安易に答えていたならば、今頃酷な2度目の人生を送っていただろうことは想像に容易い。
平均能力で高い結果を求められたら運が悪ければ即終了だってありえる。
僕を、僕たちをただの使い捨ての駒としか思っていないのかもしれない。
何度も使えるただの派遣と考えれば相応の判断なのかもしれないが……。
転生した世界での生活については一切触れられていないのがまた任務っぽい。
ただ、ぼくは転生してまで社畜の延長、みたいなことはしたくない。
どうにかして次の"生"を理想通りに生きなければ。
天の声が単にシステムだとすれば情に訴えかけるのは効果が無さそうである。
ならば合理的な理由を付けてシステム内で融通して貰うしかない。
システム内という見極めが難しいが、とりあえず希望を出して様子をみてみよう。
「過去起こった事象に関することは記憶しているとのことですので、それを乗り越えられるだけの力をつける事の出来る成長力をください。これなら力の扱いを徐々に覚えていく事が出来ると思いますし、どの程度の力が必要なのかもそちらで計算し易いのではないのでしょうか。」
とりあえずは力だ。どんな世界であろうと即死は嫌だ。
どの程度と表現するのはどんな世界に生まれるのかも決まっていないのもあって伝えるのは難しい。かと言ってどんな敵が来ても無双する~なんて伝えて「こいつ危険因子、無用」と判断されても困る。
与えられているのはただの権利。権利が与えられているからと言って、絶対的にそれが保証されているわけではない。大きな存在の前には覆される可能性だってある。
『わかりました。受理します。』
おや。
意外とすんなり受け入れられた。
この分なら案外要望全て通せるかもしれない。
「誕生先ですが、僕は魔法のある世界を希望します。お願い遂行のモチベーションを維持する為、生前より憧れていた世界で生を受けたいのです。」
これも妥当な理由ではないだろうか。原始時代のような文化で力が全て!みたいな世界に行った日にはお願いどころではない。もしかしたら自殺しかねない……。即リセット希望!!泣
『わかりました。こちらも受理可能です。』
よし! 心の中でガッツポーズを決める。わりと判断基準は緩めかもしれない。
とりあえず誕生目的に沿っていて、尚且つ世界の均衡を壊しかねない危険なものでなければ大体受理されそうだ。
「転生はその星の生命体との事でしたが、力の制御を覚えるには赤ん坊で生まれ幼少期から徐々に力に馴らしていったほうが良いのではないでしょうか。出来れば赤ん坊で生まれて、ある程度までは力の成長と制御・世界情勢の把握に努めたいと考えております。」
異世界で無双するには力をつける必要がある。小さい頃から魔力操作の練習をしておくのは定石だ。
それなりに使える身体に魂を定着させたとしても、それを扱えないうちにミッションが始まってしまっては死の可能性が高くなる。
『一理あります。ではそのように手配致します。伴いまして早急に対処の必要な世界ではなく、ある程度猶予のある世界の選定をさせて頂きます。』
よし!
これで成長幅が増えたぞ。しかも意図せず緩めな世界に転生出来そうだ。
この調子で理想の転生を果たしてやる。
……そう思った瞬間身体が薄く光り出した。
「え。僕の身体光ってますけど。もしかして……!?」
『はい、転生が成される兆候です。』
まだだ!まだお願いしたいことが残っている!
僕の思い描く異世界転生は力だけじゃ足りない!
なんて言ったって「なぜか主人公はモテモテハーレム♪ムフフな展開盛りだくさん!」は絶対に男なら叶えたい夢だろう。
例に漏れず僕もそうである。
前世では残念ながら完全なる"卒業"は叶わなかったが次の生では選び放題やり放題な人生を送りたい。
いや、贅沢は言わないから芸能人くらいにイケメンになってヒロイン複数人と……え、贅沢?
じゃあ平均でも……と、とりあえず周りから好かれそうな見た目がいい!そう!
勇者はいい見た目で好かれる存在でなくっちゃ!うんうん。
そろそろと言っていたからまだタイムアップではないはずだ。
身体が光り始めたってことはほぼほぼ転生が確定したようなものだろう。
この際思いつくことを思いつくだけ放っておくべきだと思い一気に吐き出した。
「まだお願いしたいことがあります!人間関係を円滑に進める為には良い見た目が必要だと思います!なので綺麗な二重に高めの鼻、歯並びはよく小顔で長身に育つようにどうにか調整をお願いします!最低限魔法を学べる状況家柄に生まれ落ちるようにお願いします!あ、でも家長とかは面倒なのでしがらみのない位置がいいです!あと!あと!僕一人では知略の長けた人にいいようにいいように使われかねないのでサポートしてくれる存在が欲しいです!丁度あなた方のように何でも知っていて僕の……」
そこで声は途切れた。
どこまで受理されたかは定かではない。
ただ、志真が居た白い空間には以後誰の魂も入ってくることはなかった。
うわ~、全然ストックないけど始めちゃった~~
10話くらいまで2~3日に1話、
その後は1週間に1~2話更新していければいいなぁ。
堅苦しいのは後回し、とにかく完結目指すぞ~!
完結しない物語ほど悲しいものは無いからね(;;)