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白いページの中に-3


 「俺は違うって言ったんだ。そんなことしてない、できる訳ないじゃないか。なのに、あいつら、今度は急に、怒鳴り始めたんだ。おまえたちが殺ったんだ、おまえたちが犯人だろう、って」

「……そんな」

「あいつら、ヤクザよりタチ悪い」

だって、机バンバン叩いて、おまえが殺ったんだろう、金目当てで忍び込んで見つかったから殺したんだろう、って怒鳴るんだ。それで、違う、って言い返したら、今度は床に正座させられて、上から見下すように言いやがったんだ。おまえが、学校サボってふらふらしてたことは、わかってるんだ。狭間東や美国の駅前で遊んでたこともわかってるんだ。家から持ち出した金使い果して、遊ぶ金が欲しかったんだろう、それで盗みに入ったんだろう。年寄りの家だから、見つかっても大丈夫だって思ったんだろう、って、…あいつら、勝手に決めつけて、足で、靴のままで俺の足を蹴りやがったんだ。

「そんなこと……」

「夜遅くまでずっと正座させられて、それでやっと帰してもらったんだ」

「それっきりなの?」

「そうじゃないよ。次の日も家に帰ったら警察が待ってて、また連れて行かれたんだ」

近藤のやつもそうだって。学校で話したんだ。いきなり、警察に連れて行かれて、おまえたちが殺ったんだなって迫られたって。俺たち知らねえんだ。二人で思い出したんだ。その日は昼から学校サボって抜け出したよ。でも、白梅町の公園にいたんだ。だって、夕雲町のマンションの前の公園なんて、俺んちのすぐ近くだぜ。そんなとこにいたら知ってる人に見られるじゃないか。だから、絶対、そんなとこに行かない、行ったことなんかないんだ。でも、ダメだった。そう言っても、警察のやつら信用してくれないんだ。

「でも、警察って、正義の味方じゃない?」

「俺だって、そう思ってたよ。だけど、違うんだ。あいつら、どうあっても、俺たちを犯人にしたいんだ」

昨日の日曜なんて、朝から迎えに来たんだぜ。それで、夜遅くまで取り調べ。飯もまともに食わせてくれないんだ。トイレも行かせてくれって頼んでもなかなか聞いてくれないんだ。拷問だぜ……。

「そんなの変よ」

「変だよ……。変なんだ、どっかおかしいんだ……。でも、それが現実なんだ」

家でも冷たい目で見られるし…、親父なんか、お前は何したんだって怒鳴るんだ。何にもしてないよって言っても聞いてくれない……。それより、こんなこと学校に知れたら、退学になっちゃうよ。俺たち、もう耐えられない……。逃げ出したいけど、そしたら、犯人だってことになっちまう。いつか、学校にバレちまう。でも、帰りたくないんだ。どうせ今日もあいつら待ち伏せてるんだ……。


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