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セイバー王国

「おい! おい! お前起きろよ! 俺の店の前で、寝てるなよ! 店開けれないだろうが?何処の餓鬼だよ、親は何処だ? こんなの下手に家に入れたら、俺が捕まるぞ。おーいおーい起きてくれよ」



自身の店の前に、座り込んで可愛く寝息を立てて寝ている歩をジャックは乱暴には起こせないでいた。



「何やってんのよ!隣で煩いわよ」



隣でパン屋の看板娘をやっているレイシが、あまりの煩さに扉から顔だけ出し注意した。



「この娘が何故か俺の店の前で寝てんだよ。知ってるかこの娘」



ジャックは、人差し指で寝ている子を指差した。



「あら? 可愛い子ね! 黒髪で肩にかかる感じの髪型? 珍しい髪型ね? 女の子にしては短過ぎないかしら。服も女の子って感じじゃないわよね?最近ズボン履く子は増えたけど、こんなごつい布の珍しい変な服は見た事無いわよ」


「男か? 俺は女に見えたが」



ジャックは寝ている子に近づいて顔をマジマジみている。すると、パチリッと目が開いた。綺麗な大きなクリッとした黒眼だった。



「カエル! カエルはどこ」



歩は起き上がるとキョロキョロ周りを見渡している。近くに居るジャックと目が合った。


「あのー此処は何処ですか?」


「セイバー王国だが」


「セイバー王国? えっと僕は……どう言えばいいんだろうか……あのカエル、何か教えて行けば良いのに! やっぱり地球には帰れなかったか」



ジャックは、目の前の可愛い娘がうな垂れながら独り言をぶつぶつ呟いているのを見て、心の中でかなり驚いていた。僕?僕って事は男なのか?顔つきや雰囲気が、女に見えたなと思ってはいたが口には出さなかった。


 ジャックとレイシは目を見合わせて無言でウンウン頷きあう。



「何故こんな場所で寝てるんだ。此処は俺の店の前なんだ。それに親は何処だ。未だ子供だろう。こんな所で寝てたら、襲われても文句は言えないからな」


「僕は子供ではないです。18歳ですから」


「18歳だと。身体の造りが華奢で、女か子供だと思っていた」



歩は普段から、周りにも小柄で顔の造形も女のアイドルに似ているからと言う事で、良く友人達から揶揄われていたのだ。本人はその事に触れられるのが一番嫌だった。



「男です! 」


「そうか。なら良いが……どうして此処で寝てるんだ? 服も何か違うし……」


「あのー 良ければ、この世界の事を教えて貰えませんか? 僕は信じてもらえないかもしれませんが……違う世界から来たんです」



歩は自分で言って……何だこれ? 僕は変人なのか? でも他に言いようもなくて自分で言って、項垂れていた。



「うーむ……嘘は言ってないんだろうな。まあ、一旦此処に入って話してみろよ。俺の店の前に居たのも、何かの縁かもだしな! まあ入れよ」



ジャックはサッサと、自分の店兼家に入って行った。歩は、どうしようかとキョロキョロ周りを見回してたら、レイシと目が合った。



「後でパン持って行ってあげるから、着いて行った方が良いかもよ」


「ありがとうございます」



歩はペコリと頭を下げて、ジャックの後に着いて行った。



「可愛いじゃない! 違う世界って~ 何だか楽しい事になったわね~ ウフフ」


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