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三面鏡

夏の終わりに、片道5時間掛かる祖母の家へと、母から頼まれたお使いに一泊予定で行く事になった水城歩。(みずきあゆむ)


 美容室バイトと専門学校が、三日続けて休みが重なった日に、母が祖母の元へ行くのなら、前々から欲しがっていた新作ゲーム機を買ってくれると約束してくれた為、喜び出掛けた歩。


…………たった一泊のつもりだったのに、こんな事になるなんて。と、思う事は今は未だ知らない…………




「久々に来ても、やっぱどこ見ても山山山山! 駅からバスで2時間はまだ良いよ。普通に歩いても暑いのに、山登り並みの道を40分も歩いてるよ〜


 もう嫌だー! こんなんだったけぇ! あり得ないよ。未だ着かないのかよ〜 ばあちゃんこんな所住んでると、まじ死ぬぞ」



文句を言いつつも、休む事なく足を一歩一歩進めている歩だ。



「あっあったぁ~ 見えたぁぁばあちゃん家みっけたぁ~ 疲れたよぉ~ 」



遠目だが、家の形が見えてきた。だんだん歩も足早になり、畑や井戸等細かい部分が見え出し、とうとう目の前に久し振りに見る懐かしい昔ながらの大きな日本家屋が現れた。


 

「着いたよぉばあちゃん! ばあちゃんいる? あれ、居ないのかなぁ聞こえないのかな? まさか寝てんのか? まぁ良いお邪魔します」



歩は、鍵のかかっていない網戸仕様になっている玄関の扉を開き、土間に足を踏み入れた。



「おお~ 懐かしい! ばーちゃん家の匂いだ。入って直ぐのこの広い空間って昔怖かったんだよな。何でこんな空間あんだろう? 後でばあちゃんに聞いてみよ。あー 足痛え! 邪魔するよー ばーちゃん」



歩は、土間で靴を脱ぎ、部屋へ入り襖を開けて行きながら祖母を探した。



「ばーちゃん! ばーちゃん! あれ?居ないな。あれ? なんだこれ、部屋のど真ん中に何かあるぞ? あっこれ! 三面鏡だ。確か昔、誰か使っていたような記憶がある! 誰だったかなあ? 」



歩は三面鏡に近寄り、両手で扉をそっと開け広げた。中にはやはり三枚の鏡があった。



「確か小さく開いて、顔入れて閉めて1つ1つ顔を見ていくと、1つだけ、表情の違う顔があるんだったけぇ? 誰に聞いたんだろう? 確かずーっとずーっと昔に、目の前で誰かも顔入れてた様な気が……」



歩は言いながら興味本位に、三面鏡の中に顔を入れて閉めてみた。


 思った通り自分の顔が沢山並んでいた。それをざっと眺めていたら、何故か1つの顔に違和感が……ジッと見つめていると、その顔だけがニヤリと笑んだ。





 

 その瞬間、歩の姿はかき消えた。

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