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僕はぬいぐるみ

目を覚ますとゴミ捨て場にいた... 


詳しく説明すると 数年前に子供に購入された等身大ぬいぐるみ(160cm程度)なんだけど... 子供が高校に入学するからっていうことでゴミに出されちゃったんだよな... よいしょっ 起き上がる 男の子が丁寧に扱ってくれていたから体のほつれやわたの飛び出しなんては無かった 体もあんま汚れていない 路地にあるゴミ捨て場から脱出した僕は 道に出た


初めて見るものが多い 道を走る車なり 行き交う人がいっぱいいる 「うーんどうしよう」 声を出した… 案外喋れるもんだな... 町中を歩いてみると周りの人がヒソヒソ何かを話している 「なにあれ」 「歩いてるよ」 「着ぐるみじゃないの」 「わーかわいい」 取りあえず僕は男の子に会うべく家に向かっていってみた... まあ捨てられるまで見てたから...場所はわかるけどね さすがに家の中に入るのはやめておこうかな... 


芝刈りとかそんなことをしないで草がボーボーに生えている庭...正直見てて嫌... 奥から犬の吠える声が聞こえた 「わうわう」 近くに行ってみると飼い犬のなおが吠えていた... 「なお 僕だよ」喋った声を聞いたなおは尻尾をぶんぶん振っている 楽しそうだ 


窓から中を覗いてみると男の子が学校に行く準備をしているのが見えた カバンには僕のキーフォルダーが付いている お母さんが色々指示している あの厳しいお母さん僕嫌い... 男の子が学校に行くような感じなので玄関の近くまで来てみた 走って行ったのを見た お母さんが庭にやってきたので倉庫の裏に隠れた 「誰かいるのかな?」 これはまずい... お母さんが近付いてくる 捨てたはずのぬいぐるみが庭にいたら失神ものだから 反対側のフェンスを越えて逃げた 「これはまずい」僕の体の中は綿が詰まっているから お腹はすかない 


マズイことに出てきた道が男の子の通学路でありまして... はい 遭遇してしまいました... 「え!!! えええええ???!!! えええええ???!!!」 びっくりしている そのまま走って行ってしまった まあいい 見つかったのもあれだし 追いかけてみよう... 「まってー」 「きゃーしゃべったー!!」 走っていく男の子 何で捨てたのかは聞かない 当然のことだ... 


駅 

「僕はこれから学校行くんで ついてこないでください ぼくのぬいぐるみ」そんなこと言われちゃあれだな って言っても駅でこうやって立ってると駅員が不審そうに見ている... 僕の中には誰もいないんだよなぁ...割と 


えー警察が来ました... 警察です はい 不審者なので身分証明ができるものを出せと その着ぐるみを脱げと... 「え...」男の子に話してもらおうと思ったけど男の子が居ないので僕は一目散に走った... 「僕の中にはだれもいないし身分証明書なんて持ってないよ!!」


森の入口... 森の中に僕は向かっていく そうすればヘリコプターから逃げることができる... 森の中に入って行った


整備された登山道的な物を歩いていく 「あの そんな恰好で山登ったら倒れちゃいますよ?」 周りの人に制止される 「あの僕 中身ないんで...綿しかつまってないんで 僕ぬいぐるみ」 そんな人も要るよねって言われた 急に開けた所に出た 奥まで進んでみるといい景色が見える  あいかわらずヘリは飛んでいた... ぶるるるる... 


「僕今後どうしよう...」ベンチに座って考え込む... 


突然肩を叩かれる 「あの お聞きしたいことがあります...」 その人を上から下まで見ると 僕みたいなぬいぐるみが好きな人のようだ... 「もしよければ...」色々話を聞く どうしよう...悪い人だったら嫌だな... でも警察から逃げるにはこれしかない... 「お願いします」 僕はその人についていくことにした


山を降りると自動車に乗った 「シートベルトはこうやって締めてね」色々教えてくれる 「ありがと」 ちょうど登山してたら僕を見かけたっていうことだった... 一軒家の家に到着した


「さあ入って」 家の中に入る 


表札の下には着ぐるみ研究所と描かれていた... 目の前には紅茶が出される 「僕ぬいぐるみだから飲んだら綿が汚れちゃうかな...」そんなことはないよって言われる 初めて物を飲むっていう行動をした  いろいろな感情が巡ってくる あつい あまい いろいろ頭の中をめぐる 


君には当研究所の看板としてこれから一緒に行動してもらいたいなっていうことだった 僕は警察から逃げることと悪いことしないならいいよという二言で了解した  


外が暗くなってきた 「これからご飯作るんだけど食べてみる?」 その前になんかお腹の下のほうがむずむずする... これはどういう感覚なんだろう 正直に伝えてみた 「それはトイレに行きたいんじゃないの?」ということだった トイレの使い方を教えてもらった


「手がかかる子だね...育て甲斐があるかも」 


夜ごはん パスタとか色々作ってみたよという 「あの僕は本当にお腹の中は綿だけしかないんですか?」聞いてみた こうやって喋れるし知能もある それにトイレも行ける... 「もしかしたらどこかのロボットなのかもしれないよ?」 えっ まあそういうこともあるよね... 夕食を食べた... おいしい 少しすると誰かが来た 警察か?!と思って身構えてしまった 「こんばんは~」 僕が立っていることに気付いて 「もう誰か来てたの?この子は見たことが無いけど...」研究所の人と僕は首を横に振る 「中にはだれもいないよ」 急に来た人が近付いてきた 体臭を嗅ぎ始めた... 「男の子の匂いがする...」 嫌がるからやめろっていうことで来た人は僕から引き離された 「僕の前の持ち主は男の子だったの そのせいじゃないかな?」 納得している二人


研究所主催のイベントに彼もスタッフとして参加するからその打ち合わせに来たら僕と遭遇したわけ... 「そういうことね」 ついでに野良おおかみ君の君も出てほしいということで僕が指名された... 「イベント会場に着く前に人前にでるのはあんまりよくないから箱に入ってもらいたい」という 箱の中暗いからあんま嫌だなっていう 「大丈夫車の中では一緒にいるよ 駐車場から会場までは箱に入っていてねっ」 


「寝たことはある?」と聞かれた シャワーを浴びてきた二人 一応そういうことはあるねと返事 


僕用に布団を敷いてもらい そこで目を閉じた... 「おやすみ」 


夢の中で 前の男の子が高校を卒業して大学 会社に就職していくのを夢見た 


朝 「うぅぅ」 朝7時 まだ二人は寝ている テレビのスイッチを入れた いろいろなニュースがやっている 情報を取り入れないと... 二、三時間後に彼らが起きた 朝から昼まで最終調整を実施した 「それにしても不思議だよね君」 おなかに顔を付けられる 「特に機械音や心臓の音はきこえないし 不思議」 おなかに顔を埋められる すーーはーーー 「なにしてるの?」 そんなことを2 3回された後に また明日イベントで ということで彼は帰って行った 



次の日イベントの日

予定通り箱と色々なものを詰めて車は会場に向かっていく 会場の駐車場に着いた 「じゃあ少しの間この箱に入って居てもらいたい.」 車の外で箱に入って行った ドアが確実にしまったことを確認して会場まで転がされる ゴロゴロごろ... 


受付などを済ませて広い部屋で解放された 「一日中ここにいるから何かあったら俺に言ってね」 会場の設営に取り掛かる彼 僕は窓から外を見る 結構高いところなんだな... 


一時間後イベントが始まった ぼちぼち人がやってくる 更衣室ということろに向かっていく人がちらほら 少しすると自分によく似た感じの物が出てきた... 「え?」 あの中には人が入っていることに気付く 


いろんな人が写真を撮ってもいいですか? なんかポーズをお願いしますと聞いてくるので応じる 「名前は何ですか?」と聞かれる 「え。。。」名前が分からない 「僕名前無いの」 じゃあオーナーはだあれと聞かれる オーナー... 「僕は独り身の孤独なおおかみだよ」と答える 混乱してく参加者と僕 「う うん?」


同じようなやり取りを一日中繰り返すと 閉会式で僕の名前を投票募集された 僕は体が青いということで 名前が 「あお」 になった あおとは山の中で出会った 中身は誰もいないんだよ これがイベント初めてだよ ということが言われた イベントの後に着ぐるみ合わせが行われた 「うわいっぱい」


僕はこの体に生まれて幸せになった


「僕を引き取ってくれてありがとう...」


こんな幸せな生活に嫌味を感じた僕


一人町を歩いていく 研究所長は今日は仕事でいない 僕はゴミ処理場に歩いていった


「僕は生まれそして消えていく...」 入り口に立った 


そのあと僕の姿を見た人はいない 


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