国道4号 対向車あり〜初は明を想う〜
4人が出会ったその夜。
季節はずれの寒気が四国地方になだれ込んだおかけで、布団にくるくるとなる初。
毛布は一旦岡山の実家に置いてきた。大失敗。
それにしても…明って不思議ちゃんかと思ったけど、瞳の奥が輝いてる気がする。とても面白い。言い換えると、興味が尽きない。
鳴南大学で1次試験を受けるため、岡山から徳島駅へ。そこから大学行きのバスに乗りこんだ。
小鳴門橋バス停(大学まであと数分)でほとんど客が降りたときだった。
「あのー…鳴南大学の試験受けるんですか?」
不意に声をかけられ、資料を落とす初。
「あ、はい…あなたも?」
「急にごめんなさい。やっぱりそうなんだ」
資料を拾いながら隣に座る。
試験だからだろう、高校の制服を着ていた女子生徒がいた。
黒いロングヘア。顔は少女の面影を残すものの、目が鋭い。目だけじゃない。全体的に鋭いものを感じる。
体は細め…かな?学生服の影響で見えるのかもしれないけど、なんか『隙がない』雰囲気。
『次は鳴南大学ー、鳴南大学ー』
機械音で明との会話はすぐに終わりを告げた。
「名前だけでも教えて!」
「はしおか はつ!初めての初!」
「私はももいめい!明るいの明!試験、受かってね!」
そういって、そそくさとバスを降りる明。
『西口バス停のほうが近いって書いてあるけど…』そんな言葉もかけられず。【隙がない】は撤回…待ち合わせしてるのかもだけど!
しかし初は、なんとなく感じてた。きっとあの人と仲良くなるんだろうな、と。