国道2号 この先十字路〜出会い頭は出会いの場〜
『…………』
百井明は環境自然学科の学生が集まった大教室を見渡した。
だいたい60人ぐらい?うん、資料通り。
教授か助教か講師か院生かは知らないけど、黒板を白くしながら、だらだらと説明は続く。貰った資料に全部書いてあるんですけど…。
髪の毛をボールペンで丸めながら、窓から見える遠い海をぼーっと見る、ずっと見てる。
「あの……」
不意に背後から声をかけられる。
ん?なに?
振り向くと……
「…っ、は、あわわ、初さん???」
「……んわー!覚えててくれてたんですか-!!」
少しだけ茶の入ったセミロング。
はっきりとした大きな目。魂を見抜かされてそうな瞳。長い睫毛。キリッとした眉毛。
すらりとした、高校ではスポーツ系だったかなと推測できる肉付き。高身長だからバスケかバレーか。
…そして、緑縁で細いフレームのメガネ。一発で覚えられる特徴。
「初さんじゃないー!よく覚えててくれたねー!」
「百井さん分かりやすいもん。こんなロングヘア、試験にいなかったよー」
ふと明は周りを見渡す。
ほとんど男子。ぼさぼさ男子。中には醤油顔の、高校時代は何人の女子高生や年上女性を泣かせてきただろうかと思うような雰囲気だけを持った男子も…そういう風に世間が思うであろう、世間が思うであろう(大事なことなので2度思いました!)
今更だけど、私の裸眼0.5なんだよね。普段はメガネをかけてない。運転用メガネを所持してるタイプ。
恋人は道路。浮気相手は道路地図。なんちゃって。
「……百井さん、百井さん?」
「…んは?」
「なんか考え事でも?」
「いやややや。寝不足でねー」わざとらしいあくび(あながち嘘ではない。4時半起きだし)
「うふふ。百井さんってなんか……面白い人ですね」
「ありがとう。昔から言われる!…あと、明でいいよ」
「んじゃ、明さんの隣空いてます?」
とっくに自由時間になっていた。
「どーぞどーぞ!ひとりじゃ寂しいもん」
初が鞄の中から何かを取り出そうとしているときだった。
またまた不意に。しかも女性の声。
「あ、1人……2人もいるよー!」
とても甲高いのと少し低い2つの揃ったハーモニー。マナカナかよっ!(当然思っただけ)
そこにいた海と星と、もちろん明も含めて、後々の運命共同体になるとはこの時思うはずもなかった…女子とは仲良くなるとは思ったけど。思っただけ…ではなくこれは確信というか、希望だったの!