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国道0号 霧の向こうの基礎工事〜最初は計画からだけど!〜
霧で見えない。
ノロノロと、亀よりも遅く(少なくとも自分はそう思った)原付を走らせていく。
周りは木だらけ霧だらけ。こんなジョークにもなってないことを考えながら、峠の入口を探していく。
不意に、赤い鳥居が見えた。縦に長く奥に石階段がある。ここだ、きっとそうだ!
左に廃道がある。新人くんのようだ。
その道を霧だらけの中進んでいく。
メーターを見る。測定不能なぐらい遅い。むしろ遅く。
「おーいーーー」
微かだがはっきりとした、聞き覚えの声だ。
初の声だ。
徐々に、初の原付が見えてきた。目立つ緑(霧でなかったら林に隠れていただろう)。
『もう着いた!』
その瞬間、アクセルをふかしすぎて……