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第16話 「不審」

短いです。

 

(ケイヒルと話してたら少し遅くなったな)


 人混みを綺麗に避けながら疾走する。

 この時間帯は人が多い。

 移動にも普段より多少時間がかかってしまう。


 強化魔法を発動し、屋根伝いに移動した方が何倍も早く移動できるだろうけど、それができたらとっくにしている。


 今、俺は学園指定の制服を着ている。

 見られたら、簡単に俺だと特定されてしまうだろう。


(アリス怒ってなければいいけど………)


 そこまでの遅刻ではないにしろ、あの性格だ。

 規律とか約束とかにすごく厳しそうだ。冗談とかも通じなさそうだし。


(急ぐか)


 弱めに強化魔法を自分に施し、草原地帯へと急いだ。



 数分後―――――――



(あれっ?)


 セントリアの門を通り、数分かけて草原地帯へと到着する。

 だが、そこには誰一人としていない。


 すぐに学園から出たから、もう来てるのかと思っていたけど。

 家にでも寄っているのだろうか。


(仕方ない。待つか………)


 アリスが来るまで、そこら辺にあった岩に腰掛けて待つことにする。


(眠い………)


 昨日遅くまで起きていたからな。

 決闘での戦略を練っていた。

 といっても、本気で戦うために戦略を練っていたのではなく、辛勝で勝つために戦略を練っていた。


 彼女と"俺との決闘での詳細は話さないこと"と約束は取り付けてあるけど、さすがに本気で戦うわけにはいかない。

 本気で戦ったら、一瞬で終わすこともできるだろう。だが、それはできない。


 俺は既に彼女に実力の一端を見せてしまっている(本当に一端でしかないけど)。

 これ以上、学生の範疇を超えた実力を見せてしまうと正体を勘ぐられる可能性もでてくる。


 故に今回の決闘で目指すのは辛勝だ。

 だからこそ、面倒くさい。


 俺は瞼が重くなるのを耐えて、押し寄せてくる睡魔に必死に抵抗しながら待つ。



 しかし―――――



(遅い………)


 既に数十分は経っただろう。

 だが、アリスが来る気配はまったくない。

 彼女の性格からして、遅刻は考えにくいし。

 何かあったのだろうか。


(ん?)


 その時だった。少しの違和感を感じたのは。


(これは………)


 魔力………?


 ほんの少しだが、空気中から微かな魔力が感じられる。

 俺としたことが、睡魔に耐えることに意識を割きすぎて気付かなかった。


 こんな場所で魔力を知覚できるということは誰かがこの草原地帯で魔法を使った証だ。


 一体、誰がなんのために?


 俺は意識を空気中へと向け、感覚を鋭くさせる。


(こっちか……)


 魔法が発動された場所を探るため、魔力がより濃く空気中に浮遊している方へと歩いていく。

 濃いといっても、常人からすれば知覚すらできないだろう。

 それほど薄い。

 小規模の魔法を使ったのか、それとも身体から少しの魔力が溢れたのか、検討はつかないが。


 歩くこと数十歩。一番魔力を感じられる場所に着いた。ここで、何があったのだろうか。

 別に調べる理由はないが、アリスが来るまで暇だし、眠気覚ましにはなるだろう。


 俺はその周辺を調べていると、ある事に気づく。


(足跡………)


 草に複数の足跡。


(魔物か?)


 そう考えるが、大きさ、形からして魔物はない。

 ここら辺に出現する人型の魔物のいえば、ゴブリン程度だ。

 あまりに足の大きさが違いすぎる。


 これは………、どちらかというと、魔物の足跡ではなく、人の…………。


(なんか探偵の気分になってきたな)


 少しだけテンションが上がってくる。

 さらに調べるため、強化魔法を発動。視力だけを強化する。

 周りに手がかりになるものは落ちていないか、周辺をくまなく見ていると、一瞬、光った何が見えた。


 俺は調べるため、そこに近づく。すると―――――


(これは………髪の毛?)


 金色の綺麗な髪の毛が落ちていた。これがさっき一瞬光ったものだろう。


 その瞬間、俺はある事が一瞬頭によぎる。


 いや、しかし、それはないだろう。


 彼女は自衛できるだけの力を持っている。そこら辺にいる奴らなんて相手にならないだろう。

 だが、彼女が四大貴族の公爵令嬢であることを考えるとその可能性も捨てきれない。


(まさか…………。………サーチ)


 念のため俺は探知系魔法、サーチを発動。

 頭の中に俺を中心とした半径十キロが浮かんでくる。


(っ!?)


 そこには草原地帯の南にある森の中を疾走する六人の人間の反応があった。

 かなりの速さで森の奥深くへと進んでいるようだ。

 こんな時間帯に森の奥へと行くなんて明らかにおかしい。そろそろ日が暮れる時間だ。


 その時には、俺はもう探偵気分ではなくなっていた。


 空気中に浮遊する魔力の残滓。

 いつまで経っても姿を現さないアリス。

 複数の人間の足跡。

 地面に落ちている金色の髪の毛。



 そして、怪しい人影―――――――



 これらのことからある仮説が導き出すことができる。


 いや、ほぼ確定か。



 その瞬間、俺は南に向かって走っていた。




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