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第8.5話 「閑話」

 

 ここは王立魔法学園。

 合格発表までの一週間、学園の教師陣は膨大な数の採点に追われていた。


 怒涛の一週間を過ごし、今日が最終日。

 明日に合格発表を控えていた。


 現在は学園の一室に教師陣が集まり、合格者を決め終わったところだった。


「やはり、首席はセンテカルド家令嬢、アリス・センテカルドでしたね。」


「ええ、とても優秀だと聞いてはいましたが、ここまでとは……ほぼ、満点近くの点数ですよ」


「しかも、既に中級魔法を使えるとか」


 教師陣は今年の入試首席者アリス・センテカルドについての話で盛り上がっていた。


 そんな時、ある教師が話題を変える。


「アリス・センテカルドもすごいですけど、次席のルクスという少年もすごいですよ。筆記は満点、実技試験ではアリス・センテカルドと互角の戦い。あと、一歩のところで負けてしまいましだが。」


「その話し私も聞きました!なんでも、造形魔法を使っていたとか」


「それは本当ですか!?」


「ええ、実技試験では氷剣を生成し、アリス・センテカルドの中級魔法をその氷剣で斬って防いでました。」


「なんと!?それは凄いですね……どこの家の子息ですか?」


「いえ、それが平民でして………」


「平民!? 平民でそんな少年がいたとは…………」


 教師陣の話題は一転、首席者アリスから次席者ルクスに切り替わっていた。


 センテカルド家令嬢アリス・センテカルドに迫った少年。

 それが教師陣のルクスへの認識だった。


「えっと……ガルディア大陸出身。ごくありふれた家族構成に特段珍しくもない一般的家系。ということは魔法は独学ですかね?」


 ある教師がルクスの書類を持ってきて、記載されている情報を読む。


「ええ、そうでしょうね。本当に今年は優秀な生徒が多いですね。」


「ええ、その二名以外にも優秀な者がたくさんいますからね。」


「この学園から優秀な生徒が数多く輩出できれば、この国も安泰というものです。あの組織の事もありますし…………」


 と最初は朗らかに言っていたが、徐々に不安そうな表情になっていった。


「災厄ですね………」


「ええ……あの化け物達が存在している限り、平穏は存在しないのですから」


 この場にいる全員にあの事件が脳裏によぎる。


 二年前に起きた事件。

 大陸中を震撼させ、恐怖に陥れた事件。

 すべての人が恐怖し、災厄を恐れた。


 まだ、すべての人が鮮明にあの事件について覚えている。

 いや、忘れるわけがない。

 この先ずっと語り継がれていくだろう。



 一人の教師が顔色を悪くしながら言う。


「………この話しは終わりにしましょう。」


「ええ、そうですね。少し話が脱線しすぎました。」


 さっきまでの室内の賑やかさはどこにいったのか、今は静けさしかない。


 彼ら、教師陣の会議はこのまま終わったのだった。



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