8話:スライム討伐
ステータス
名前:紅林マサヤ
強さ:レベル3
肩書き:三つ星の冒険者
武器:トリガー[ルビー]
防具:皮の服[あちこち痛んでいるが母さんの手作りで愛情のこもった一品]
能力:召喚
レベル1、飛行型、イビルアイ
レベル2、小人型、ゴブリン
レベル3、???
翌朝宿屋で目を覚ます。
野宿にはすっかり馴れたマサヤであったが、やはり室内、そしてなによりベッドで寝られるというのよいものだ。
受付に挨拶をして地図を受けとる、北の炭坑までは街を出て道なりに迷うような行程ではないそうだ。
スライム討伐についての詳しい話は炭坑の詰所にて、依頼主の炭坑夫の親方に聞くようにと、受付嬢は淡々と説明を済ませた。
出発前に装備を整えようとも思ったが急ぎとのこと、対象もスライムなのでこのままでなんとでもなるだろう。
昼前には炭坑の入口前に丸太で建てられた詰所に到着した。
「すいません、ギルドから派遣されてきた者です」
戸を開け挨拶をすると炭坑夫達の視線が一斉に注がれる
奥にいた一際体格のよい男、彼が親方だろうか
「あんたがギルドの応援かい?おいおい、なんだか頼りない兄ちゃんが来たな、大丈夫か?」
他の炭坑夫達もざわざわと騒ぎ、からかいの言葉を投げ掛けて来る、とりあえずライセンスを出してみる。
「あの、僕はこうゆうものなんですが……」
「おお、血の魔術師、しかも三つ星か、すまなかった、だったら歳は関係ないよな、さっそくだが頼むよ、このままだと仕事が滞っていけねぇ」
「わかりました、場所はどちらですか?」
「坑道の最深部なんだがどうやら巣穴を打ち抜いちまったみたいでな、そこからワラワラとよ」
「わかりました、案内してください」
親方に案内してもらい坑道を進む、道中気になっていたことを聞いてみる。
「毎日つるはしを振るって居るだけあってあなた達も充分腕っぷしが強そうですが、スライムとはそんなに強い個体なんですか?」
「いや、もちろん強さだけ見るとなんてことないが、やつらの消化液はつるはしを腐らせちまう、駆除はしたが商売道具がダメになりましたじゃ話にならん、結果ギルドに依頼した方が安上がりなのさ、ただまさか三つ星の兄ちゃんが来るなんてな」
なるほど、そうゆうことか、特注品らしいので錆びることはないと思うがトリガーは使わない方が良さそうだ。
坑道の最深部、そこにはスライムが五体ゆらゆらと半透明の体をくねらせている。
(害がないのならこれはこれでなかなか綺麗だな、おしゃれなインテリアなんかによさそうだ……)
「それでは始めます、親方さんは下がっていてください」
トリガーで手のひらを切りつけると召喚の儀式に入る
「レベル2、ゴブリン召喚!」
マサヤの血が染み込んだ地面からはゴブリンが五体ゆっくりと涌き出てきた。
ソエルの元で修行をする前は二体が限度だったが、今回は五体ほど召喚できた。
更にゴブリン達は身の丈に似合わぬ木でできた巨大な棍棒を握りしめている、これもマサヤのレベルが上がった成果なのだろう。
「よし、標的はそこのスライムだ」
マサヤが命令するとゴブリン達はなんなく棍棒でスライムを叩き潰す、全て叩き潰したのを確認すると満足げな表情を浮かべゴブリン達は土に戻っていった。
「はい、終わりましたよ」
親方に話しかけると呆然とした表情でこちらを見つめていた。
親方はこちらに気づくと軽く咳払いをして。
「血の魔術師ってのは凄いもんだな……正直ここまでとは思わなかったよ、助かったぜ、ギルドには迅速に対応してくれたと最高評価で報告しておくからな」
「ありがとうございます!」
おそらくギルドの評判を落とさないためにクライアントに仕事ぶりを採点してもらい冒険者を再評価する制度があるようだ。
苦戦してクライアントを危険に晒し次から頼みたくないと思われるような仕事ぶりでは低評価となってしまうのだろう。
マサヤは昨日受付嬢が仕事を割り振るには信用が、と受付嬢が言っていた理由がわかるような気がした。
地上に戻ると外がなにやら騒がしい、何事かと駆け出すと詰所が狼の群れに襲われている。
「あれは、この辺の山に住む魔獣、食べ物が少なくなって麓に降りてきたのか、おい!ヤバいぞ!しかもあれを率いてるのは黒狼だ!」
「黒狼!?」
「やつは狼型の魔獣の中でも特殊個体だ、大きさもそうだが、身体能力、凶暴性なんかも桁違いで、バウンティーモンスターに指定されてる、まあ賞金首ってやつだな」
「僕がなんとかしてみます、親方はみんなと回りの雑魚の相手を」
「わかった! くれぐれも無理するんじゃねーぞ」
マサヤは黒狼の前に駆け出した、幸い襲撃からまだ間もないようで炭坑夫達に重傷者は出ていないようだ。
黒狼はこちらを標的と定めたのか、猛然と駆け出し一瞬で距離を詰め喉元に食らいついてくる。
寸前のところでかわすが、とても知性のない野性動物とは思えない動き、賞金首というのも伊達ではない。
修行前の自分では今の一撃でやられていただろう…。
血の魔術師は自らの血液に含まれる魔力により、効率よく全身に酸素や栄養を行き渡らせることで、常人の数倍の身体能力を発揮することができる。
また、脳内物質を血液中で何倍にも増幅し知覚速度や集中力を高め、極めると脳内麻薬により戦闘中の痛覚を無効化し自在に感情をコントロールすることもできる。
というのは修行の時にソエルに教わった言葉だ。
マサヤは息を吐き呼吸を整える。
「慎重に、ミスは許されない、気を抜くと死ぬんだ」
この時マサヤは依頼の前に街で装備を整えて来なかったことを初めて後悔したが時すでに遅し。
今この状況でできることをやるしかないのだ。
トリガーを構え使い魔を召喚する。
「レベル1、イビルアイ、黒狼の足止めだ、行け!」
黒狼の動きの早さからゴブリンでは追いきれないと判断し飛行型のイビルアイを召喚するが、黒狼は信じられない跳躍力で空中のイビルアイを正確に補足し、爪で引き裂き、その鋭い牙でもってことごとく砕いていく。
「ダメか、ぶっつけ本番になるがしょうがない……。レベル3出ろ!」
マサヤは少し多目の血液を使い、まだ見たことのない紋章を刻みレベル3の使い魔を召喚する。
これまでにない大きな輝きを放ち、地面からゆっくりと白き魔物が現れた。
この魔物の召喚が今後の運命を左右するものであることをマサヤはまだ知らない……。
ステータスは不定期で更新していきたいと思います。




