4話:帰還
登場人物おさらい(日常編)
「紅林マサヤ」
この物語の主人公、転校生、クラスでは孤立気味
「立花ハルカ」
主人公の世話を焼く病弱な少女
気がつくとマサヤは椅子に腰掛けコントローラーを握りしめていた。
ゲームはタイトル画面のままである。
(あれ?戻ってきたのかな?)
服装は制服に戻り、腰から下げていたお守りも無くなっている。
慌ててポケットからスマホを出して時間を確かめる。
向こうでは朝起きてから次の日の朝の旅立ちまで、丸24時間ほど過ごしたはずが
まだあれからまだ一時間程度しか経っていないようだ。
「よかった、丸々一日過ぎてたらどうしようかと…」
画面を見るとタイトル画面には。
『Newgame』の下に
『continue』の文字
そしてその横に11:59と数字が並んでいる。
マサヤは『continue』を選んでみるがゲームが始まる様子はない。
眺めていると表示が11:58に変わる。
「これは時間か、なるほどこのゲームはライフ制なのか、12時間経たないと続きはプレイできないってことなんだろうな」
ライフ制とは最近主流になっているスマートフォンのゲームのシステムの一つで、特定の進行状況や回数までゲームをした後にインターバルを置かなければ継続してプレイできないという方式のゲームのことである。
スマホの場合は課金でライフを増やすことができるのだが。
こんなアナログなゲームがネットに繋がっているはずもなく、ただ純粋に指定した時間待たねばならないのだろう。
明日また来ればいいか、いいかげん追いかけてきてた不良も諦めただろう。
マサヤは家に帰ろうとして階段を降りてビルを眺める、なんの変哲もない三階建ての雑居ビルだ。
あれ?三階?僕が居たのは四階のはずなんだけど…。
もう一度ビルの中に入り階段を駆け上がるが確かに四階は存在していた。
これは…。
薄々感づいては居たけど、ただのゲームじゃないな…
家に帰ると外はすっかり暗くなっていて。
心配していた母親には、友達と遊んできた、と答えた。
母親は「あらもう友達ができたのね、そのお友達はかわいい女の子かしら?」
と立花ハルカに貰った可愛らしいキャラクターのバンソウコウが貼られた口元を指差し、ニヤニヤと上機嫌だった。
しまった、剥がすの忘れてた・・・
部屋に戻りあの世界はなんだったのかなと考える。
見たこともない外国の田舎の風景。
優しい母さん、面倒見のいい村長さん、そしてクラスメイトに似た幼なじみ。
更には山賊との命がけの戦い。
あの痛みは間違いなく本物だった…。
考えても答えは出なかった。
そのうちいつの間にか寝てしまったのか朝になった。
12時間か、多分もうゲームの続きがプレイできる時間なのではと思ったが、学校にはちゃんと行くことにした。
玄関で昨日の不良が待ち伏せしている。
「おい、昨日はどこに隠れやがったんだよ」
彼らが言うにはどうやらビルの中を一階から三階までくまなく探したようだか見つからなかったとのこと。
適当に窓から飛び降りたと誤魔化したが。
(四階には僕しか行けなかった・・・?)
そして押さえ付けられて何発か殴られる。
こんなの昨日の山賊との命の取り合いに比べればぬるま湯みたいなもんじゃないか。
(殺される覚悟もないくせに…。)
その証拠に気が済むとヘラヘラと笑いながら無防備に背中を向けて歩いていく。
こいつらは自分が絶対安全で反撃などされるはずがないと思い込んでいるんだ。
教室に行きいつも通りの退屈な授業を受ける、ほんと昨日のことが嘘みたいだなぁと思う。
今日は朝から登校してきている立花ハルカが、あれこれ話しかけてきて。
前の学校では勉強はどこまで進んでいたのか?
どこかわからないところはないか?
部活には入るのか?
などあれこれ聞いていたが、あまり彼女と会話をして巻き添えにしてしまうと申し訳ないので、全て手短に答えておいた。
やっぱりこの子ゲームの中のルリに似てるんだよなぁ。
一応紅林紅林こちらからもゲームは好き?と聞いてみたが。
「ゲーム?スマホとかのやつかな、わたしそうゆうのは詳しくなくてあまりやらないのよ…」
授業も終わり放課後、ビルに向かい誰にも見つからないように忍び込む。
元々田舎のシャッター街にあるビルなので人などほとんど歩いてはいないのだが、一応用心のためにである。
四階のゲームショップには昨日のままゲームが放置してあった。
なんだか秘密基地を手に入れたみたいでマサヤはとてもワクワクしていた。
『continue』を選択すると
『冒険の書1:マサヤ』
とあった。
スタートボタンを押すとマサヤの意識は再び抜け落ちていった…




