表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色彩の無い怪物は  作者: 深山 希
第一章 元色と熾紅
12/267

閑話 初恋にはまだ足りない

「むぅ。なかなか手ごわいですね、ウィル君は」


 皆が集まって来るであろう場所へと戻りながら、ちょっぴり頬を膨らませて独り言のように零す。子どもっぽい上に品もないと、母様にはいつも眉をひそめられるが、この癖はなかなか抜けない。


「あざとい」


 皆の姉さん、フォウナ姉さんにばっさり切って捨てられてしまった。

 むむぅ、と更に頬を膨らませれば、

「そういうアピールは、男ども相手でなきゃ意味ないよ、ルビア」

「素ですよ、失礼な。そもそも私は、男の子にちやほやされたいわけでもないですし」


「あぁ。まぁ、そうかもね。だってアンタ、村の連中のこと下に見てんでしょ」

 失礼を通り越して心外なことを言われた。


「そんなことないですよ? フォウナ姉さんのことはカッコいいと思ってますし」

「あぁ、言い方が悪かったね。言い直そう。

 アンタ、村の男どものこと下に見てるね」


 これは、すぐには否定できなかった。


「それは……そう、なるのかもしれませんね」

 ある意味では、その通りかもしれない。

「ま、アンタの生まれを考えるとしょうがないのかもしれないケドさ。ヤロウどものこと、ちょっとはちゃんと見てやんなよ」

「その『生まれ』というのを、もし血筋という意味で言っているのだとしたら、それはまったく関係ないですよ? 私は、ただ母様のような恋がしたいだけです。身も心も、総てをなげうつような激しい恋」胸の前で祈るように両手を組んで言い、それを下ろしつつため息一つ「――それにふさわしい人がまだ見つからないだけです。どちらかというと、生まれよりも育ちの方が問題ですかね」

「そんな相手そうそう……って、それでアイツか」

「アイツ、というのがウィル君のことなら、半分だけ正解です。今日のやり取りを見ていて、アル君にも興味を持ってますから」


 ――興味。それは、期待と言い換えても良い。或いは、彼らのような凡庸ならざる人が相手なら、母様のような恋ができるのではないか、と。


「アルムはともかく、ウィルの方はやめときな。手を伸ばす気がないヤツの手は取れないよ」

「何言ってるんですか。恋は障害が多い方が燃えるんですよ?」

 そうでないと攻略のしがいもない、と零せば、フォウナ姉さんは深々とため息をつく。

「そうだった、アンタもアイツらの同類だった」


 まぁ、とりあえず、さしあたっては。

「アル君が獲った魚は、私が届けますね」


 届けに行った先に、既にウィル君の姿はなく、がっかりすることになるのを、この時の私はまだ知らない。

ルビアちゃんは恋愛脳。相手はまだ確定していません。


実はハル君の攻略難易度はそんなに高くないです。

攻略後の「どうあがいても、絶望。」を覚悟さえできれば。


次はハル君に自身の内面について少し語ってもらいます。

次回「二者択一」ご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ