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断章→第3章
当時の貴史は一つ見落としていた。
抱きしめたあかりの表情に、喜びが無かったのだ。
あるのは諦観。
全てが終わってしまったかの様な絶望と後悔。
その意味に、夢を見る貴史も気づかない。
そして彼女は、誰にも聞こえないように言葉を紡ぐ。
「ごめんなさい」
旅館の客室。
あかりは、寝息をたてる貴史を愛おしく見つめて呟いた。
彼の手を握り締め、彼女自身も眠りにつく。
明日が革命の正念場。
もう引き返すことなんて許されない。
それほどの罪を、彼女は犯したのだから。
【あとがき】なので、読まなくていいです。
なろうでは、200字以上ないと投稿出来ないんですね。
元々は、「ごめんなさい」だけを一話ぶんとして投稿する予定でした。
タイトルでは、貴史の夢である断章から、事件の解決へと向かう第3章への繋ぎの話です。
あかりと貴史の話を書く上で、欠かせない重要な要素でもあるので、無理やり一話としてぶち込んでみました。
(蛇足)
断章での貴史の狂った手のひら返し。
序章での七夕祭を参考にしてみると、予想できることもあるのではないでしょうか。




