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9-10 迷宮探索試験にて(その10)

 第36話です。

 宜しくお願いします。


<<主要登場人物>>

 キーリ:本作主人公。冒険者養成学校一回生。社交性はそこそこながらも他人への関心は薄い。が、一旦「身内」と認識すると自分の身よりも仲間の安全を優先する。目付きの悪さをイジられる事が多い。

 フィア:燃えるような赤い髪が特徴のクラスメイト。ショタコンで可愛い男の子に悶える癖がある。現在のお気に入りはシオン。抱きかかえて膝の上に置くのがたまらない。

 ユキ:スフォンに来る前からキーリと一緒に居る女の子。魔法科所属。可愛い見た目に関わらず男女問わずつまみ食いするビッチ。

 ゲリー:エルゲン伯爵家の坊っちゃん。キーリとは養成学校の同級だが、入学試験で絡まれて以来、トラブルが絶えない。キーリ相手以外にもトラブルを起こしている。




「……ふぅ、やっと終わりましたわ」

「疲れましたですぅ……」

「アリエスさん、カレンさん」


 そうしていると、アリエスが疲れを癒やすように肩の筋肉を揉み解しながら、その後ろに続いてカレンも戻ってくる。氷の壁を見れば、すでにもう乗り越えてくるモンスターの姿はなく、蠢くような足音やゴブリン達の奇声も聞こえなくなっていた。


「もう倒してしまったんですか?」

「あのレベルのモンスターくらい何てことないですわ。フィアが相当倒してしまってましたし、ちょっと後片付けした程度ですもの」

「……そんな事言えるのアリエス様くらいですよぉ」


 ちょっと疲れた、といった様子のアリエスとは違いカレンは心底疲弊したといった感じである。幾ら弱いモンスターとはいえ、あれだけのモンスターを前にしてのプレッシャーは相当だ。だが一時とはいっても一人で押し留めていた彼女の実力も学生としては破格なんだろうなぁ、とシオンは思った。


「あら、カレンも中々立派に戦えてましてよ? 弓と剣をあのレベルで扱える生徒はそう居ないとワタクシは思ってるのですけれども」

「だけど私じゃアリエス様みたいになれないですよぅ……」

「ならもっと鍛錬なさいな。ワタクシだって生まれた時から剣や魔法を使えた訳ではないのですもの。安心なさいな。カレンには弓の才能がありますもの。そこはワタクシが保証して差し上げますわ」

「うぅ……努力します」


 カレンもアリエスに対して劣等感を抱いてしまっているようだ。彼女は彼女で大変だな、とシオンは溜息を吐いた。


「そっちも終わったみてぇだな」

「キーリ。そちらも恙無く倒して終えたみたいですわね……貴方は一人でとんでもない相手と戦ってましたけれども」


 背後から戦闘を終えたキーリが声を掛ける。シンとギースの二人も、返り血を浴びていたり擦り傷を負ったりしてはいるが大きな怪我は無く、キーリの後ろでいつも通り軽く言い争いをしながら戻ってきていた。


「まあな。

 ワリィな。せっかく試験終えたのにまた迷宮に連れ戻しちまって」

「気にする必要はありませんわ。友宜を結んだ友の、まして冒険者見習いとはいえ守るべき平民の危機に駆け付けない様な、腐った人間ではないつもりですもの。

 べ、別にキーリを友達と言ってる訳じゃありませんわよっ! フィアやシオンの事を言ってるだけですわ!」

「大丈夫、分かってる分かってる」

「きーっ! その眼は絶対分かってないですわ!」


 突然慌てて否定し始めたアリエスを生暖かい眼でキーリは見つめながら、ポンポンと彼女の頭を叩き即座にアリエスによって叩き落とされる。

 そんな二人の様子を暖かく見守っていたシオンだったが――


「――ってキーリさんものすごい血塗れじゃないですかっ!」

「ん? ああ、そりゃな。ゴーレムに思いっきり殴られたからな」

「大事じゃないですかっ! 普通なら死んでますよっ!?」

「いやぁ、さすがに壁に叩きつけられた時は死ぬかと思ったぜ。なーに、これくらいかすり傷かすり傷」

「シオン、早く治療した方が宜しいですわ。無茶苦茶な事を口走ってますもの。きっと殴られた拍子に頭がおかしくなったに違いありませんわ」


 死にそうな攻撃を受けたのにかすり傷だと軽い調子で言い切ってしまうキーリに、シオンはため息を禁じ得なかった。


(この人ももう少し自分を大事にしたらいいのに……)


 やりたいことがあるだろうに自分の時間を削ってシオンの訓練に付き合ってくれたり。普通一人では敵わないような強敵に立ち向かったり。大怪我しても不安にさせないように何でもない事みたいに笑い飛ばしたり。

 そしてシオンが泣きそうな時に頭を撫でてくれたり。

 フィアもそうだが、キーリも利己的に見えて何気に自分よりも誰かのために何かをしようとする。


(きっとそういっても否定するんだろうなぁ……)


 巡り巡って自分自身の為になるから気を回すんだって。フィアは笑いながら、キーリはシオンに訝しそうな眼を向けて。そんな二人の様子が自然にシオンの頭に浮かんだ。


「シオン?」

「動かないでくださいね」


 シオンはキーリをしゃがませて頭部に手を当てて回復魔法を唱えた。仄かな光が傷口を包み込み、傷があるであろう場所を癒していく。


「おいおい。別に大した怪我じゃねーって言ったろ? 残り少ねー魔力を無駄遣い……」

「黙っててください」


 ピシャリとシオンは強い口調でそう言った。珍しいシオンのその声にキーリも思わず面食らった。


「……確かに魔力がもう余り無いので第五級魔法くらいしか使えませんけど、気休めにはなると思います」

「……もしかしなくても怒ってんのか?」

「もしかしなくても怒ってます。だけどそれはキーリさんに対してじゃありません。たぶん、自分の不甲斐なさに腹が立ってるんだと思います。怪我をちょっと治したり心配するくらいしか出来ませんから……」

「そっか」シオンに言われた通り頭を動かさずに眼だけを伏せた。「悪いな。まさか俺もゴーレムなんてもんが出てくるとは思っても無かったからさ」

「いえ、良いんです。八つ当たりして僕の方こそすみません」

「いいんだ。心配させたのは俺だしな。

 ところでフィアは……大丈夫なのか?」


 レイスの膝で眠るフィアの姿を認めて尋ねると、シオンは魔法を掛けながら頷いた。


「ええ。目立った怪我はないようです。今は魔力切れで眠ってます」

「そっか。無事なら良かったぜ……アイツにもかなり無茶させちまったからな。俺が――」


 もっと魔法を使えたら。自分の右腕に視線を落とし、キーリは拳とともにその言葉を握りつぶした。

 せめて第四級魔法くらいまで炎神や水神魔法を使えたらもっと楽に敵を倒せただろう。あの程度の雑魚モンスターなど例え四方八方を囲まれたとしても魔法なら対処できた。この身に宿る膂力は、ただの人間からは並外れたものがあるが所詮人間だ。体は一つしかない。離れた場所に同時に攻撃も出来なければ離れた場所にいる仲間を助けることもできない。自分が焚き付けたとはいえ、気を失うほどにフィアに無茶をさせてしまった。それが歯がゆい。

 ――俺は、弱い。

 拳が怒りで震える。奥歯からガリ、と削れる音がする。

 まともな魔法が使えないのはもうどうしようもない。この世界に生まれ落ちた瞬間に決まってしまったのだ。代わって別の特別な魔法を使うことはできるが、それはまだ十分に制御できていない危険な代物だ。だがそれを使わずとも仲間を守るくらい容易くできなければ、英雄(奴ら)には届かない。


「あの、キーリさん」

「ん? ああ、もう終わったのか。サンキュな。シオンが仲間で良かったぜ」

「いえ……それよりもお願いがあるんですけど」


 神妙な面持ちでシオンはキーリを見上げた。


「何だ? 急に改まって」

「その、試験が終わった後も僕を鍛えてくれませんか?」キーリの眼を真っ直ぐに見つめる。「これまでみたいな体力づくりじゃなくて、戦うための術を教えてほしいんです」

「……つまり、剣とか弓とかを教えてほしいって事か?」

「そこまでできれば良いんですけど、まずは最低限身を守る術を学びたいです。敵に接近されても何とか防いで、勝てなくても負けない戦い方を身に着けたいと思ってます」


 それは自分の現実を見据えた選択だ。体力も腕力も足りないシオンに、剣やら弓やら持たせても物にするには時間がかかる。しかしシオンが負けないならばキーリ達も安心して他の敵と戦う事ができる。そんな考えが伝わったのかは分からないが、キーリはシオンの言葉に考えこむ素振りを見せる。

 感じる不安を押し殺し、シオンはキーリの返事を待たずもう一つの要望を口にした。


「それと――キーリさんの魔法知識を僕に伝授して欲しいんです」

「それは……」

「さっき穴を掘る時にアドバイスをくれましたよね? その通りにしたらすごく魔法の効率が良かったんです。イメージ通りの制御は難しかったですけど、イメージの方法一つであそこまで魔法の効果が変わるなんて思ってませんでした」

「……あれは魔法の知識なんて大層なもんじゃねーよ。たまたまああいう風に掘れば良いって知ってただけだ」

「それだけじゃありません。キーリさんって魔法の適性がどの属性も低いんですよね? 本来なら魔法の発動さえ覚束ないはずなのにどの属性の魔法も使えるし、ゴーレムと戦ってる時だって攻撃する瞬間に魔法を使ってましたよね?」


 見られてたのか。キーリは苦虫を噛み潰した様に眉根を寄せた。


「だからキーリさんの魔法の構成を覚えれば僕ももっと上手く魔法を使えると思うんです。そうすれば――もっとみんなに頼ってもらえる」

「シオン……」

「僕は悔しいんです。二人に守られてるだけなのが。今の僕はみんなの脚を引っ張ってるだけなのが嫌なんです」


 そんな事はない。シオンの言葉を否定しようとキーリは口を開きかけるが、シオンはそれよりも先に首を横に振った。


「皆さん『そんな事はない』って言ってくれます。だからこれは僕の我侭なんです。僕が胸を張って皆さんの仲間だって言い切れるように、キーリさんやフィアさん、レイスさんが困った時に僕を心の底から頼りにしてくれるようになりたいんです。

 だから……お願いします!」


 キーリの眼を見て、シオンは必死に懇願した。そんなシオンに、キーリは返答に困り顔を顰めて目を逸らした。

 シオンがやる気になってくれたのはキーリとしても嬉しい。元々一緒に鍛えるのは試験までの約束ではあったが、シオンが望むのであれば引き続き一緒に鍛錬に励もうというのはフィアとの共通した意見であった。

 しかし魔法に話が及ぶと話は別だ。シェニアに頼まれても断ってきたのだ。科学が発達していないこの世界において、そしてこの世界の真理(・・)に触れたキーリの魔法理論はおいそれと話す訳にはいかない。だからこそ以前に話を振られた時も誤魔化したのだ。

 だが真摯にキーリに頼み込むシオンに対して、友に対してその姿勢を無碍にするのはためらわれた。本気で強くなりたいと願っているのがヒシヒシと伝わってくるし、それが自分やフィアといった誰かの為だから尚更断るのは辛い。


「鍛えてあげれば宜しいのじゃなくて?」

「アリエス」


 悩むキーリにアリエスが加勢する。


「ワタクシたちを呼びに来てここに戻ってくるまで、ずっと悩んでるみたいでしてよ? もし本当にキーリがシオンを仲間だと思っているのであれば力になってあげるべきだとワタクシは思いますわ」

「……分かってる」

「なら答えは一つしかないのではなくて? 何が難しいのかは分かりませんけども悩む必要もないと思いますわよ」

「色々あるんだよ、俺にもな」


 そう答えながらキーリは頭を掻いた。歯切れが悪いのは自分でも分かっているが、やはりおいそれと秘密を話すわけにはいかない。


「……シオンを鍛えるってのは俺も賛成だからな。お前の方からそう言ってくれるなら歓迎するぜ。その代わりシオンも俺に魔法陣だとかの知識を教えてくれよ。あまりそっち方面は詳しくないんでな」

「あ、ありがとうございます!」

「良かったですわね」

「はいっ!」

「ただ……魔法に関しては少し考えさせてくれ。もうちょっと悩みたい」

「そうですよね……魔法理論はよほど確かじゃないと公表できませんし、コアな部分は論文とかに記載せずに秘匿するのが普通ですし」

「悪いな」

「いえ、いいんです。でも、詳しい理論はいいので僕も攻撃魔法が使えるように差し支えのない部分でアドバイスをください。

 ……それもダメですか?」

「いや、それくらいなら構わねぇよ」


 棚上げなキーリの回答だったがシオンは嬉しそうに破顔してみせた。そんなシオンを見てキーリは申し訳無さを覚えるが、「はいはい」と手を叩いて注意を引いた。


「それでは話もまとまったところでそろそろ戻りますわよ。モンスターは居なくなったとはいえ、いつまた押し寄せてくるか分かったものじゃありませんもの」

「そうだな」

「シン、貴方はそこに転がってる生徒を抱えてくださるかしら?」

「了解です」


 アリエスに頼まれたシンが軽々と生徒二人を両肩に担ぐ。そして新たにできた坂道を軽い足取りで登って行くのを見てキーリは、「絶対アイツ、入学する科を間違えてんだろ」とつぶやいた。

 疲労で眠っているフィアはレイスが大事そうに背負い、下の階層に誰も残っていないのを確認すると全員で上の階層に戻る。すると、瓦礫の上に座って退屈そうにゲリーの顔にいたずらしていたユキが手をヒラヒラと振って出迎えてくれた。


「あ、みんなお帰り~」

「どうだ? こっちは変わりなかったか?」

「全然。レイス達が戻ってきた事以外な~んも無し」

「さよか」

「何も無いことは喜ばしいことですわ。さすがに上でもモンスターが湧いていたら手が回らなかったでしょうし」

「そうですね。ところで……この人達、どうしましょうか?」


 シオンが周りを見渡しながら誰ともなしに尋ねる。

 今キーリ達の周囲には、襲いかかってきた生徒や冒険者が二十人ほど意識を失って転がっている。当然、ここに放って置くわけにはいかないため運び出さないといけないのだが、とても一度で運び出せる人数ではない。


「どうする、と言っても手分けして背負っていくしか無いでしょうね。幸いにして入り口には比較的近い場所ですし、外に出たら助けを呼ぶか運び出した方々を任せて往復する必要がありますわね」

「そーするしかねーか」

「ギースさん? 貴方も運んで頂いても宜しいかしら?」


 シンに続いてアリエスがギースを指名するとギースは「あぁ?」とドスの聞いた声を上げた。


「ちっ、何で俺が貴族連中を助けてやんなきゃなんねーんだよ」

「あら、か弱い女性に重たい殿方を運ばせておいてご自身は悠々歩くつもりかしら? それにワタクシの手が塞がっていたらモンスターの襲撃にも対処できませんわよ?」

「モンスターを一人で蹴散らす女の何処がか弱い……いぃっって! 蹴んじゃねーよ馬鹿シンが!」

「すみませんね、アリエスさん。ほら、ギースも我侭言ってないでさっさと抱えなよ!」

「痛っってぇ! 分かったからテメェの馬鹿力で人のケツ蹴るんじゃねぇっ! ケツが二つに割れたらどうすんだ!?」

「これ以上割れることないから安心しなよ」


 更に蹴りを加える姿勢をシンが見せた事でギースも慌てて傍の生徒を肩に担ぐ。「何で俺が……」とブツブツ文句を口にしたところでもう一発シンの蹴りが炸裂し、「スパーンッ」と景気の良い音が響くとギースは逃げるように尻を抑えて走りだした。その後ろをアリエスが呆れたように肩を竦めて後に続く。


「あ、そこの豚少年は私達が運ぶから置いていってくれない?」

「別に構いませんけれど……」


 アリエスは歩きながらキーリを振り返る。キーリは隣のユキを一瞥すると、手をヒラヒラとアリエスに手を振った。


「ああ、俺が運ぶからアリエス達は他の連中を頼むわ」

「……毛嫌いしていたキーリに助けだされたと知ったら、ゲリーがどんな顔をするのか気になるところですわね」

「そう思うんなら黙っといてくれよ?」

「承知しましたわ。きっと百面相を見せてくれるのでしょうけれども、それよりも面倒事が起こりそうな気がしますから黙っておくことにしますわ」


 小さく含み笑いを見せつつも了解の意を伝え、アリエスは先を行くギース達を追いかけていく。そして彼女の姿が十分に離れたところで小声でユキに尋ねた。


「……で? 何が分かったんだ? 急にお前がンな事を言い出すってことは何かあったんだろ?」

「まーね。だけど……」


 チラリとユキはシオンとレイスを見遣った。二人は揃ってキーリ達の方を見て待っている。


「ワリィけど、二人は先に言っててくんねーか? ちょっちユキが話があるみてぇなんでな」

「あ、はい」


 キーリが二人を遠ざけようとしている事にまた除け者にされたと感じたのだろうか。シオンが少々悲しげな顔を一瞬浮かべたが、それを目ざとく見て取ったキーリはニヤァと口を嫌らしく歪めてみせた。


「おやおやぁ~? どうやらシオンは女の子のプライベートに興味津々のご様子です。まぁヤラし」

「え゛っ!?」


 シオンの顔がひきつった。


「あれ? シオンも私に興味あるの? いいわよ? 何ならこの後私の部屋に来て一緒に楽しいこと、する? 可愛い子は私も大好きよ?」

「シオン様もやはり男の子でしたのですね」

「え、いや、その……」


 ユキが途端に蠱惑的な笑みを浮かべてシオンを魅了する。レイスも追い打ちをかけ、シオンの顔が見る見る内に赤くなっていく。


「す、すみません! そんなつもりじゃなくって……」

「はいはい。分かってるって。だから、別にシオンを除けモンにするわけじゃねーから安心しな」


 そこでやっとシオンはからかわれた事に気づいた。むぅ、と口を尖らせるもすぐにキーリに自分の心情を見ぬかれた事にも気づき、気を遣われたのだと思い至って申し訳無さそうに少し落ち込んだ。


「はい……すみません、変な事考えちゃって」

「あんま思いつめすぎんなよ? 仲間だからって何でも話せるわけじゃねーし、内緒話だからって別に仲間はずれにしてるわけじゃねーんだからよ。

 てなわけで先に戻っててくれや。ゲリーはちゃんと俺が運ぶから、フィアを早くまともなベッドで寝かせてやってくれ」

「承知しました。それではお任せしますので。くれぐれもお気をつけて」


 レイスがフィアを背負っていても変わらない、いつもと同じ様に恭しく頭を下げる。先に行ったアリエス達を追いかけ、シオンもペコリとキーリとユキに一礼すると気恥ずかしさからか首元を指で掻きながらレイスと一緒に外へと向かった。

 そしてキーリとユキの二人が迷宮の中に残った。




 2017/5/7 改稿


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