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6-1 スフォンの夜にて(その1)

 第19話です。

 宜しくお願いします。


<<主要登場人物>>

 キーリ:本作主人公。冒険者養成学校に入学するため、スフォンへやってきた。めでたく養成学校の入学試験に合格した。

 フィア:赤い髪が特徴で、キーリと同じく養成学校の普通科に入学した少女。ショタコン。剣が得意。

 レイス:メイド服+眼鏡の無表情少女。フィアは友人だと思っているが、彼女はフィアを友と同時に仕えるべき相手と考えている。


 アリエス、カレンの二人と別れたキーリとフィアは、そのまま日が暮れるまで模擬戦を続けた。

 授業ではキーリの技術的な指導が主だったが今は違う。二人は本気で互いを攻撃し合った。力加減こそしてはいるがキーリもフィアも常に隙を探し、顔だろうが首だろうが構わず狙って攻撃をする。そして剣術だけでなくフェイントも体術もあり。魔法を禁止していることと手にしているのが木剣であること、それとキーリが人にしては有り余る膂力を抑えている事以外は実戦的な訓練だった。


「やるな、フィア!」

「そういうキーリこそ! ここまで当たらないなど初めてだ!」


 フィアの言葉通り、どちらも攻撃がクリーンヒットすることは無かった。技術的に劣るキーリの動きには、フィアからみれば隙が多い。昼間に指導された事を頭に置いていてもまだ体に染み付くはずもなく、そこを狙ってフィアが攻撃するもキーリは並外れた反応速度で直撃を回避する。一方でキーリの攻撃もフィアには当たらない。攻撃の予備動作や動きの癖、それと本能ともいうべき直感を頼りにキーリの攻撃をかわしていく。

 目まぐるしく攻防が入れ替わり、二人だけの地下訓練場で剣が交差する音と二人の鋭い呼吸音が響く。そして一際鋭い動きで二人の振るった剣がぶつかり合い、舌打ちと共に距離を取ったところでどちらからともなく構えを解いた。


「ふぅ……今日はこの辺りで切り上げよう」

「そうだな。まったく、まさかフィアがここまで強いとは思わなかったぜ。結構本気でやったのに全然攻撃が当たんねぇ」

「私に言わせればキーリの方がデタラメだ。何だあの動きは? 一見隙だらけで当たると思ったらあっさり回避して。色んな方に師事してきたが今日ほど自分の剣の腕に疑問を持った事は無いぞ」


 持って来ていたタオルで汗を拭いながらフィアが呆れてみせる。驚きの感情をフィアは露わにしているが、キーリもまた彼女の強さに驚嘆していた。

 別に女性を蔑視するわけではないが、どうしても女性の方が男性よりも筋力に劣る部分がある。それは単なる攻撃力だけでなく瞬発力にも関わり、咄嗟の動きに影響を与える。そしてそれは実戦では致命的になりかねない。しかしフィアはそんなキーリの思い込みを尽く一蹴してみせた。

 キーリの動きについてくるほどの素早さと反応速度。加えて女性らしい柔軟性も失っていない。これで魔法を使っていないのだから、そもそもの成り立ちが「反則」である自分とは違って彼女はとんでもない逸材なのかもしれない。大きな怪我なく鍛錬を続けて経験を詰めばランクCはもちろん、ランクBやそれ以上にも届くかもしれない。

 もしかして、この世界では男性と女性の生物学的な差はそれほど存在していないのだろうか。多種多様な種族が共存しているのだからそういうこともあり得るかもしれない。エルやユーミル、アリエスと身近な女性たちの姿を浮かべながらそう思った。


「ところでフィアも寮生だったよな? 晩飯はどうする?」

「別に。普通に寮の食堂で食べるつもりだったが、キーリは違うのか?」

「たまにゃ街の飯屋で食べたいと思ってな。どうだ? 一緒に食いに行かないか? もちろんレイスも誘って」

「ふむ、そうだな……偶にはそれもいいかもしれないな。寮食は安くて量が多いのは嬉しいが、如何せんメニューのレパートリーが少なすぎる。まだ一月程度だというのに少々食べ飽きてきたところだ。

 しかし……そうなると少々急いだ方がいいな」

「なんでだ? 確かに結構遅くなっちまったけど、まだ慌てる程の時間じゃないだろ?」


 まだ宵の口を過ぎた頃で、この後すぐに街に繰り出せば閉まるのが早いこの世界でも閉店までは余裕だろう。そう思っての言葉だったがフィアはそんなキーリに呆れた眼を向けた。


「まさかとは思うが……この汗塗れのまま店に行くつもりか? せめて汗くらいは流させてほしい。こう見えても私も女性なのでな。さすがに汗臭い格好で人前に出るのは勘弁してくれ」


 フィアの主張に確かにな、と納得して自分の体の臭いを嗅いだ。その臭さに自分の体臭にもかかわらずキーリは閉口し、その様子にフィアは笑ってタオルを首に掛けた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 この世界は魔法が存在する事もあって機械技術は前世に比べてそれほど発展していない。それ故に世界の大部分では前世の歴史で言う所の中世から近世に近い生活様式であった。ただし、魔法を応用した魔道具はそれなりの発展を遂げていて、大量生産に至っていないために世界中に広まってはいないものの、有るところには有る。

 例えばこのスフォンであれば街の城壁内であれば上下水道が張り巡らされていて、公衆衛生は現代と比べても遜色ないレベルだ。何処の家庭や店にもふんだんに蛇口が有るわけではないが、さすがは貴族も通う養成学校というところか、キーリたちが住む寮では各部屋に水道やシャワーが完備されているし、照明もスイッチ一つで点くように整備されている。

 一度部屋に戻ってシャワーを浴びて汗を流し、私服である白いシンプルなワイシャツと黒いズボンに着替えたキーリは寮の玄関口でフィアとレイスを待っていた。

 寮はあちこちの部屋で明かりが灯っていて明るいが、街の方に視線を巡らせれば薄暗い。

 養成学校の裏手は貴族街で華やかな魔道具の照明が灯っていて明るいが、門は平民街の方を向いていてそちらはポツリポツリとしか明かりが無い。日が暮れたら寝て日が昇れば活動を始める。そんな生活をする者も多く、平民であれば昔ながらのロウソクを照明としている家庭も多いため、まだ夜の七つ鐘(≒午後七時)が鳴って程ない時間だが人気は少なくなっていた。


「こりゃ間に合うかな?」


 人気が少なければ当然店も閉まる。この世界では決まった時間になれば閉店する、という営業形態ではなく、客がいなくなればその日は終い、という店が殆どだ。寮食も八つ鐘が鳴る頃には閉まってしまうし、そうなれば今晩は飯なしという事態になってしまう。それは辛い。一晩空腹で眠れないなど、キーリにとって地獄だ。


「すまない、準備に思ったよりも手間取ってしまった。待たせたな」


 キーリがいよいよ判断を迷い始めた頃、ようやくフィアとレイスが姿を現した。

 レイスはすでにお決まりのメイド服とカチューシャで、レンズ越しに無機質な視線でキーリの方を見ている。

 対するフィアは、トップスとして白を貴重としたブラウス、濃いめの紅いズボンという出で立ちだ。シンプルな出で立ちは彼女のさっぱりした気質を表しているようだが、胸元のフリルとリボンが女性っぽさを表現していた。

 ズボンの色より鮮やかな真紅の髪はまだ湿っていて急いでやってきた事が分かる。白い頬もシャワーのせいか今は赤みを帯びていてしっとりしていた。


「いんや、それほど待ってねぇよ。むしろもうちょっと時間が掛かるもんだと思ってた」

「そうか? なら良かった。急いで来た甲斐があったよ」

「私としましては甚だ不満ではありますが……丁寧に拭きとって乾かさなければせっかくの美しい髪が傷んでしまいます」

「冒険者として生きていくのだ。多少髪が痛むくらいどうということは無い。レイスは相変わらず神経質だな」

「女性としての最低限の嗜みです。あと、旅装では無いのですからTシャツとズボンで外に出るのも控えてください」

「分かった分かった。だからレイスの言うことを聞いてちゃんと着替えただろう?」

「あ、その服はレイスがコーディネートしたんだ? うん、よく似合ってるぜ」


 キーリが褒め、フィアは少し嬉しそうにはにかんだ。だがレイスは不満そうだ。


「……本当はもう少し時間を掛けてお嬢様に似合う衣装をご準備したかったのですが、お時間が無いとのことですので妥協した結果です」

「たかが飯を食べに行くだけだ。レイスは気にしすぎる」

「お嬢様が無頓着すぎるのです」

「まあまあ」二人の口論にキーリが割って入って宥めた。「それじゃ行こうぜ。早くしねーと店が全部閉まっちまう」

「そうだな……」

「失礼致しました」

「謝る必要はねぇよ。ならとりあえず適当に大通りの方に向かうってことでいいか?」


 キーリの提案に異存は無いようで、二人も頷く。そうして三人は連れ立って平民街の方へと向かっていった。




 平民街へと繰り出していった三人だったが、予想していた通り大部分の店がすでに閉まっていた。

 まだ開いている店を探してキョロキョロとしながら貴族街に比べて明るさの乏しい道を歩いて行くが、見つけた飲食店の殆どがすでに看板を仕舞い、店員や店主がテーブルに座って一服している。今入っても、とてもまともに相手をしてくれるとは思えない。


「そういえば」店を探しながらフィアが話題を切り出した。「ユキも誘おうと思って部屋に行ったんだが居なくてな」

「ああ、だろうな」

「なんだ、知ってたのか?」

「いや、知らねーけど大方予想はついてたよ。夜はアイツは大概出歩いてるからな」


 出歩いているといっても今の三人の様に食事に出掛けているわけでも散歩しているわけでもない。恐らくは男のところに行っているのだろう。

 コースが違うために授業が同じになることは無いが、ユキとはたまに廊下で会うことがある。別段会話を交わすわけでもなく、ただ単に軽く挨拶でも交わす程度だが、声を掛けられた瞬間に方々の男どもからキーリに向かって随分と重たい視線の嵐を賜った。彼女の周りにはすでに何人か信者らしき取り巻きがいたからどうやら魔法科でも好き勝手やっているようである。

 それに、普通科の教室でも何人かからすでに彼女の気配・・を感じたからあの女の食指はキーリ達のクラスにも伸びている様だ。魔法科の生徒か、それとも普通科か。恐らくは今頃もその内の誰かの体に跨って腰を振っているに違いない。


「ふむ、そうなのか。となれば食事に誘うのであれば校内で声を掛けるのが良いか」

「止めとけ止めとけ。あの女に関わるとロクでもねー事に巻き込まれかねねーぞ」

「薄々と感じていたのだが」フィアは眉をひそめた。「ずいぶんとユキには冷たいんだな。彼女との間に何かあったか?」

「別にいつも通りだぞ? まあもうずいぶん長い付き合いだから接し方は淡白だが。

 ああ、今後ももし誘うつもりならキチッとアイツに『夜の』先約が無いか確認してからの方がいいぞ。下手に誘って約束をぶっちされたトチ狂った男どもに深夜に刺されそうになるのはゴメンだろ?」

「……? どういうことだ?」

「あー、つまりだな……」


 どうやらフィアはこちら・・・の話題には疎いようである。どう説明したものか。この世界にそんな概念があるのかは知らないが、夜の営み(ユキは昼間でもお構い無しだが)について女性に話そうものならセクハラものである。そうでなくても男の口からは話すのに躊躇われる内容だ。キーリはレイスに眼で助けを求めた。

 レイスはそちら方面の知識も知っているようでキーリに頷き返し、フィアに耳打ちした。その直前に見えた口元はホンのわずかだけ歪まんでいて楽しそうだった。

 困った表情を浮かべるキーリに首を傾げていたフィアだが、レイスから話を聞くにつれてどんどん顔を赤くさせていく。何を具体的に話しているのかは知る由も無いが、彼女の話が終わる頃には見事な朱色に染まっていった。


「そ、そ、そういう事だったのか。か、彼女はその、随分とだな、その、す、進んでいるのだな……」

「進んでるっつうか何つうか、なぁ?」

「私に振られましても返答に困ります」

「し、しかし……男女の仲というのは奥深いのだな……まさか男性の方が女性から背後からせ、攻められる世界があるとは」

「何吹き込んでんの、レイスさん!?」

「以前に貴族の方から聞いた事がございまして」

「深淵を覗き込んだような気分だ……」

「キーリ様であれば違和感は無いかと」

「いっつも思うんだけど俺ってどういう評価されてんの?」


 とすっかり熟れたトマトみたいな顔をしたフィアと並んで街を歩いて行く。

 だが何処まで行っても閉店間近。そろそろ寮食に駆け込んだ方が良いか、と諦めかけた時、一軒の食堂らしき看板がまだ外に出されているのをキーリは認めた。

 駆け足で店に向かう三人。だがちょうど辿り着いたのと同時に中から店員らしき小柄な少年が出てきて看板をたたみ始めた。


「あーっと……もしかしてもう終わりか?」

「あ、はい。そのつもりでしたけど……あれ?」

「あ?」


 少年が振り返って顔を合わせる形になった直後、キーリと少年の両方から声が上がった。


「ひょっとしてお前……あの時の?」

「ああ! お兄さん、もしかして入学試験の時にぶつかっちゃった人ですか!?」少年は破顔し、そしてハッとして頭を下げた。「あの時はすみませんでした!」


 謝罪を口にして頭に巻いていた手ぬぐいを取ると、少年の犬耳が露わになる。にこやかに笑う垂れ下がった眦に小柄で細い体躯。キーリにも劣らない女の子の様な顔立ち。そして何より――


「……っ!!」

「堪えろよ、フィア」


 背後で鼻をおさえて煩悶としているフィア。間違いなく入学試験の時に中庭でぶつかった人狼族の少年だった。


「いや、こっちこそ悪かったな。それで……どうだった、試験は?」

「ちゃんと合格できましたよ。お兄さんの方はどうでした?」

「そっか、俺らも合格して今は寮住まいだよ」

「そうですか、良かったですね」

「お互いにな。で、今は寮住まいなわけだけど、いつも寮食だから偶には外で飯食おうと思って街に出てきたんだ。

 ああ、そういやまだ名乗って無かったな」キーリは少年に手を差し出した。「キーリ・アルカナだ。普通科に通ってる。んで、後ろで悶絶してるのがフィア・トリアニスで同じ普通科、もう一人眼鏡掛けてメイド服着てるのがレイス。不機嫌そうに見えるかもしんねーけどアレが平常運転だから気にすんな」

「レイスと申します。宜しくお願い致します」

「よろしく……頼むっ……」

「あっ、ご、ご丁寧にすみません! シオン・ユースターで、魔法科に所属してます! ……あの、大丈夫ですか?」

「だいっ、じょうぶ、だ……」


 息も絶え絶えといった様子でフィアはシオンと握手を交わす。その途端、鼻元を抑えた手の指の隙間から紅い情熱が溢れ出てボトボトと下に垂れていき、横からレイスが何処からか布を取り出し、何食わぬ顔で丁寧に拭き取っていく。シオンの顔が若干引きつっていた。


「コイツの事は気にすんな。

 しかしそっか、もう店仕舞いか。……邪魔したな。んじゃまた学校ででも」

「待ってください、まだ大丈夫ですよ! さあ、どうぞ座ってください……ってああ! お客様なのに立たせたままでごめんなさい!」

「謝んなくっても大丈夫だよ。んじゃお邪魔させてもらうな。二人共ここで良いよな?」

「ええ、問題ありません」

「分かりました。他にお客さんも居ないんで好きな席にどうぞ。メニューはテーブルに準備してますから、そこから選んでください。

 母さーんっ、お客様三名です!」


 厨房の方に戻りながら奥に居るらしい母親に向かって声を張り上げるシオン。三人はテーブルのメニューを見て適当に注文をして、しばらくするとシオンが両手から腕まで使って全員分の食事の皿を乗せてやってきた。曲芸じみたその様子から、普段から彼がこうして店員をしていることが窺える。


「お待たせしましたっ! 他にお客様もいらっしゃらないんでゆっくりしていってくださいね」

「おう、来た来た。んじゃさっそく頂きます」


 一緒に頼んでいたエールの瓶を一気に傾けると、ナイフとフォークを手にキーリは温かい目の前の料理を口に運んでいく。味は普通――この街基準ではあるが――と言った感じだが、かなりの空腹だった事もあり普段以上に美味しく感じられる。他の二人も特に不満はなさそうだ。

 三人が美味しそうに食事を摂り始めたのをシオンは嬉しそうに見ていたが、このまま傍に居るのは邪魔だろうと奥へと戻ろうとする。だが、その後姿に向かって声が掛けられた。


「シオン、君も一緒にどうだ? せっかく同じ学校に通う者同士が出会ったんだ。他に客も居ないようだし、君さえ良ければ私達とぜひ交友を温めたいのだが」

「そ、そんなっ! 有り難いですけどお客様と一緒だなんてダメですよっ!」

「別に気にしなくてもいいんじゃね?」エールを喉に流し込み、口元を拭いながらキーリはシオンを見た。「どうせもうフィアがシオンの分まで頼んじまったし。あ、エールおかわりで」

「あ、はい……で、でも悪いですよ。皆さんが水入らずの所に僕なんかが入ったら……」

「むしろ私達が君と話したいんだ。それに君が居ないとせっかく作ってもらった料理が無駄になってしまう。

 ご婦人! 少しの間ご子息をお借りしても構わないだろうか!?」

「ええ、少しと言わず構いませんよ。シオンも、もう表の看板を仕舞っていいから。そうしたらゆっくりできるでしょう?」


 フィアが奥にいるシオンの母親に尋ねると快諾が返ってくる。


「だ、そうだ」

「疲れてるところワリィけど、良かったらフィアに付き合ってくれねぇか?」

「……はい! 分かりました。僕も皆さんと友達になれたらって思ってたんです! それじゃあちょっと待っててくださいね!」


 改めて誘われてシオンは嬉しそうにはにかむと、キーリにエールのおかわりを渡して表へと走っていく。そして急いで看板を店の奥へと片付けるとドアを閉め、入り口に掛けられていた木の板を「Closed」にひっくり返す。

 そのままトコトコ、と戻ってくると一度躊躇いつつもフィアとレイスの間の空いた席に座って恥ずかしそうに笑った。

 三人はそんなシオンの様子に小さく笑い、それぞれの前に置かれた瓶を手に持った。


「フィア」

「ああ。コホン……それでは新たな友宜を祝して」


 瓶を顔の前に持ち上げ、シオンを見る。その視線を受けてシオンも、いつの間にか自分の前に置かれていた瓶に気付き、慌てて持ち上げる。


「そしてこれからも皆で頑張っていこう――乾杯っ!!」

「「「乾杯!!」」」


 四人の声が重なり、瓶が打ち鳴らされた。

 キーリたちにとっても、シオンにとっても楽しい時間が始まった。




 2017/5/7 改稿


 お読みいただきありがとうございます。

 今後共宜しくお願い致します。



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