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6-1 邂逅は突然に(その1)

第2部 第34話です。

久々の彼女登場。宜しくお願いします。


<<登場人物>>

キーリ:本作主人公。転生後、鬼人族の両親に拾われるも英雄達に村を滅ぼされた。

    魔法の才能は無いが独自の理論で多少は使えるようになった。冒険者ランクはC。

フィア:キーリ達パーティのリーダー。正義感が強いが、重度のショタコン。

アリエス:帝国出身貴族で金髪縦ロール。剣、魔法、指揮能力と多彩な才能を発揮する。筋肉ラブ。

シオン:小柄な狼人族でパーティの回復役。攻撃魔法が苦手だが、それを補うため最近は指揮能力も鍛え始めた。フィアの被害者。

レイス:パーティの斥候役で、フィアをお嬢様と慕う眼鏡メイドさん。お嬢様ラブさはパない。

ギース:パーティの斥候役。スラム出身。舌打ちが癖でいつも不機嫌そうな顔をしている。

カレン:弓が得意な猫人族。パーティの年少組でアリエスと仲が良い。スイーツ以外の料理は壊滅的。

イーシュ:パーティのムードメーカー。鳥頭。よく彼女を作ってはフラれている。

ユキ:キーリと共にスフォンにやってきた少女。性に奔放だがキーリ達と行動を共にすることは少なく、その生活実態は不明。

ユーフェ:猫人族の血を引く貧民街の少女。表情に乏しいが、最近は少しずつ豊かになった気がする。

エーベル:ユーフェの兄代わりだった少年。貧民街で殺害された。







 キーリ達が温泉で身を休めた翌日。

 微睡みから自らの意識が浮上していくのをフィアは感じ取った。


「ん……」


 吐息に交じる微かな声。眼を開ければ、戸の隙間から光が部屋へと漏れ入っていた。

 布団から身を起こし、背伸びをするとパキリと関節が小気味いい音を立て、血が全身を巡り始めたような心地よさを覚える。大きく深呼吸をすればぼんやりとした意識が覚醒し、自然と頭の中がスッキリしていく。


「夢は……見なかったな」


 この一ヶ月もの間、フィアを悩ませていた悪夢。いつも夜中に跳ね起きていたが、今日は途中で目覚めた記憶はない。久々の熟睡感を得られたのはきっと、いや、間違いなく自分の中の全てに一応のケリが着いたからだろう。

 ホッと一息を吐き、首を回して凝りを解しながら部屋を見回した。

 そして彼女の動きが止まった。

 部屋の中には誰も居なかった。布団は全て片付けられて、丁寧に部屋の隅に重ねられている。フィアの呼吸だけが部屋の空気を揺らし、家の中が静まり返っていた。


「……っ」


 フィアは急いで布団から跳ね起きた。薄地のシャツ一枚の姿で戸を勢いよく開いて飛び出す。

 向かいの男性部屋の戸も開かれていた。しかしそこにも誰一人居なかった。台所や食台にも仲間の姿は無い。

 まさか全てが解決したと思ったのは夢だったのだろうか。そんな不安がフィアの中で過る。何一つ解決などしておらず、情けない自分に嫌気が差した仲間たちは私を捨てて何処かに行ってしまったのではないだろうか。

 そんなはずはない、と頭で考えても不安は募る。気持ちが揺らぐ。胸の内でぽっかりと穴が空いてしまったような感覚を覚え、素足のままフィアは家の外に飛び出した。その瞬間、フィアの眼は眩んだ。

 空から夏の強い日差しが瞼を焼く。空は晴れ渡り、底抜けに青い。そこに吸い込まれていきそうな錯覚に、フィアは立ち尽くした。


「お? やっとお目覚めか」


 だがそれも聞き慣れた声で解放された。振り向けば、タオルを首に、そしてその頭上にユーフェを乗せたキーリが立っていた。更に向こうからはアリエスやカレンといった面々も歩いてきている。彼女たちはフィアを認めると笑顔で手を振ってくる。ユーフェがキーリの肩に座ったまま「……おはよう」と声を掛けてくれる。それを見てフィアは、昨夜の出来事が実際にあったのだとようやく確信が持て、脱力した。


「なんだよ、溜息なんか吐いて」

「いや……目が覚めたら誰も居なかったからな。私に愛想を尽かして出ていったのかと思っただけだ」

「バーカ。何倦怠期を迎えた夫婦みたいな事言ってんだ。昨日の今日でンな訳あるか。だいたい、そこにイーシュとカイトが転がってるだろうが」


 キーリに指さされて家の中をもう一度覗き込めば、ダイニングテーブルの後ろ側で二人が寝転がっているのが見えた。二人揃ってあちこちが煤けていて一向に起きる気配がない。一体何があったのだろうか、と首を傾げるが、そんなことはどうでも良いことだと捨て置くこととした。


「ああ、その通りだ。これにも気づかないとはな。まったく、馬鹿げてるな、私は」自らに呆れて溜息を吐く。「ところで朝から皆して何処に行ってたんだ? 私も起こしてくれたら良かったのに」


 結局のところ、皆に置いて行かれたのには変わりない。ジト目で非難がましくフィアはキーリを睨むが、返ってきたのは呆れたような視線。


「はぁ……何言ってんだ、フィア。朝っぱらでこんなにお天道さんが高く登ってるかっつうの」

「もうお昼、だよ……?」

「……は?」


 キーリとユーフェに相次いで指摘されて空をもう一度見上げれば、なるほど、確かに太陽は空高く昇りきろうとしていた。


「だいたいどんだけ起こしても起きなかったのはお前だっつうの。ま、レイスの話だと久々にうなされることもなく熟睡してたってことだったからな。ゆっくり寝かしといてやろうって事で、お前以外でカレンに村を案内してもらってたんだよ」

「そうだったのか。いや、すまない。気を遣わせたな」

「お前の寝不足も解消されたみたいだし、良いってことよ。

 ところでだな……」


 キーリはフィアから視線を外すと、気まずそうに頬を掻いた。


「どうかしたか?」

「あー、慌ててたのは分かるんだがな……その、外に出るんなら流石に何か羽織ったほうがいいんじゃないか、とか思うんだ、俺は。ほら、健康な男子にとっては眼の遣り場に困るだろ?」


 言われてフィアは自分の格好を見下ろした。

 急いで飛び出したから裸足だ。だがそれはまあいい。しかしそこからスラリと伸びる脚を覆うものは何一つ無く、昨夜の温泉のお陰かツルツルお肌がむき出しだ。更に言えば、少し長めのシャツが辛うじて下着を隠し、見えそうで見えない状況を作っている。一言で言えばあられもない格好だ。

 おまけに。


「ぁっ……!」


 シャツは寝汗で湿っていて、女性らしいきれいなアレが透けていた。


「――っ!」


 閑静な村に、切り裂くような悲鳴と鈍い音が響いたのだった。





 キーリはムスッとして乱暴に林檎に齧りついた。

 シャリシャリと小気味よい咀嚼音が鳴り、それを飲み込んでまた齧り付くと隣で体を小さくしているフィアを睨む。フィアはキーリから気まずそうに眼を逸らすと、手元の料理を突きながら何度目か分からない謝罪を口にした。


「その……すまない」

「お嬢様は悪くありません」

「そうですわ。悪いのはデリカシーのないこの男ですもの」

「はいそーですね。俺が悪ぅございましたよ」


 やさぐれた返事をするキーリの右鼻には布が詰め込まれ、頬からこめかみに掛けて足跡らしき跡が残っていた。全てはフィアによって放たれた渾身の一撃の賜物である。


「痛い……?」

「あー……まあこれくらい大したこたぁねぇよ」


 キーリの隣から首を斜めにしてユーフェが見上げてくる。その純粋な瞳で見つめられるとこれ以上意地を張ってふてくされているのも情けなくなり、キーリは小さく息を吐き出すと彼女の頭を撫でた。


「まぁ俺の事は置いといて、だ。昼からはどうする?」

「今回の旅行は骨休みなんだろ? のんびりゴロゴロしてても良いんじゃねぇの? 俺はそうするけど」

「そうですね。僕も今日は持ってきた本でもゆっくり読もうと思います」

「なら昼からはそれぞれ自由行動ということで宜しいですわね?」


 アリエスの確認に全員が頷く。


「ユーフェちゃんはどうする? 何かしたいことある?」

「……美味しいもの食べたい」

「なら私と一緒にスイーツでも作ろっか」


 カレンの提案にユーフェは小さくコクン、と頷いた。周りのメンバーはカレンの料理という暴挙を止めようと動きかけたが、よく考えればデザートの類はまともだったと思い出す。


「……カレン。テメェ、絶対甘いモン以外作るんじゃねぇぞ」

「分かってるよ」カレンは口を尖らせた。「自分の料理の腕前は知ってるもん。あ、でもやっぱり料理も上手になりたいし、練習しようかな。誰か味見役――そうだ、イーシュくん、暇なんだよね? 当然付き合ってくれるよね?」

「え? あ、いや、俺は」

「そうそう、そういえば昨夜のばくは――」

「わ、分かった! 付き合う! 付き合ってやるから!」

「付き合って『やる』?」

「ぜひカレン様の手料理を味わわせてくださいっ!」


 昨夜の事を暴露されて社会的に死ぬか、それともカレンの料理で物理的に死ぬか。苦渋の決断だった。


「……ちくしょう。なんで俺ばっかこんな目に」

「自業自得だろうが」


 ギースの指摘にイーシュはぐうの音も出なかった。

 カレン以外の女性陣はイーシュの行動に首を傾げるも、とりあえず何かしら弱みを握られているのだろうという事は理解し、何も無かったように話題を変えた。


「ところで、村の近くに迷宮があると前に言ってたな?」

「うん。とは言ってもスフォンとは比べ物にならないくらい小さいけどね。モンスターも弱いからあんまり旨味も無くて冒険者も殆ど来ないようなものだけど」

「感覚を維持する程度ならそれくらいでちょうどいいんじゃねぇか?」

「そうですわね。骨休めとは言っても、まったく怠けてると街に戻った時に不安ですし」

「よし、であればそうだな……明日までゆっくりして、明後日に向かってみるとしよう」

「異議なし」


 フィアの言葉に全員が同意し、新たな迷宮に挑戦する事が決まった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「……あれか」


 木々の隙間から除く洞窟の入口を見つけ、ギースは呟いた。山肌が途切れて突然空いた空洞。遠目から見た感覚では入口はそれほど大きくは無い。辛うじて人が二人並んで入れる程度だろうか。


「近くって言ったのは何だったんだよ……」

「別に遠くという程ではないでしょうに。男のくせに情けないですわね」


 イーシュも迷宮の入口を確認し、やっとたどり着いたとばかりにぼやいた。それを聞いたアリエスが腰に手を当てて呆れた視線を彼に送る。

 カレンからは「村の近く」とキーリ達は聞いていたが、彼女とイーシュでは感覚の齟齬があったらしい。村からは里山をグルリと回ったくらいの距離であり、時間にしておよそ二時間半程か。ひたすらに山道を歩き続けてようやく一行は辿り着いたのだった。それでも早朝、日の出とともに出発したのでまだまだ陽は昇りきっていない。

 足元に気をつけながら入口前まで到着し、中を覗き込む。内部は入口ほど狭くは無いようで、スフォンの迷宮には及ばないものの、それなりに広い。だがカレンの言葉通り、余り冒険者も来ないのだろう。壁には殆ど照明魔法具がなく、仄かに壁が発光しているものの自前の照明が必要そうだった。


「装備の再確認を兼ねて、入る前に休憩するか」

「賛成っ! なぁ、キーリ。水出してくれよ。俺はもう喉カラカラだぜ」

「へいへい」


 フィアの提案にイーシュは真っ先に同意を示し、新鮮な水をねだる。その様子に皆苦笑を浮かべるものの、喉を潤す事に異論はない。荷物を下ろすとイーシュが真っ先にカップをキーリに突き出し、続いてそれぞれが僕も、私もとキーリに水を要求していく。


「いつも思うが、やはりキーリが居てくれると荷物が減って助かるな」

「あはは。お世話になります」

「おいおい、俺は水道じゃねぇんだぜ?」

「どうせ持て余してる魔力だろうが。ケチくせぇ事言ってんじゃねぇよ」

「とりゃ」


 掛け声と共にびしゃっ、とキーリの手からホースのように水が飛び出し、ギースの全身が水浸しになる。


「テメェ……」

「けっけっけ。気持ち良いだろ?」

「また器用な真似を……」


 アリエスが呆れる横で、キレたギースがキーリに殴り掛かるが、キーリは笑いながらヒラヒラと避けていく。楽しそうだな、とフィアは少しズレた感想を漏らしながらカップを傾け、今回の探索の、もう一つの目的をカレンに確認した。


「迷宮に異変が起きてないか、それを確認すれば良いんだったな?」

「うん。中を調べて、村長に報告すればいいって言ってたよ」


 昨日一日、フィアとカレンは村を回って迷宮の情報を集めていた。

 村人はもちろん、村に滞在していた冒険者や行商人にも話を伺い、噂レベルのものも含めて出来る限りの情報を手に入れようとしたのだが、結論から言えばめぼしいものは特に得られなかった。そもそも村の人間でなければ迷宮の存在自体を知らないし、ただの村人は迷宮には近寄らない。

 ギルドも無い村なので当然といえば当然なのだが、そんな中でカイトを世話してくれている隣家の老婆から、可能ならばという前書きで受けたのが迷宮内の調査であった。


「最近巨大なモンスターらしき影を見かけるという話でしたわよね?」

「ああ。はっきりと確認した者は居ないようだが、噂自体はどうやら村人の殆どが知っているみたいだ。それで不安に思っている者も多いと聞いている」

「盗賊団、とは違うんだよな? カイトがそれらしい事言ってたと思うんだが」


 ギースにチョークスリーパーを掛けられた状態でキーリが確認する。キーリは首元に回された腕を強引に引き剥がすとそのまま投げ飛ばし、ギースはイーシュを巻き込んで転がっていった。


「それも確認してみたんだが、盗賊団とはまた別らしい。いずれにしても直接の目撃者は居なかったが」

「……妙な話ですね。どちらも噂は村中に広がってるのに誰も実態を知らないなんて」

「どうせ元は外の人間が持ち込んだ話だろうよ」ギースが口に入った砂を吐き出し、濡れた髪を掻き上げながら会話に加わった。「どこぞの町で襲撃があっただの、何処の街道でモンスターと遭遇しただの、行商の連中が情報交換してた話に尾ひれが付いて広がっただけに決まってんだよ」

「うーん、確かにそれは有り得るかも」

「ま、何にしろ調査することには変わりありませんわ。何も無ければ何も無いで村の方々も安心するでしょうし」

「そうだな」


 フィア達が議論している横で、キーリはブラブラと暇そうにしているユキを手招きして呼び寄せる。そして彼らに背を向け、小声で確認する。


「……どうだ? 何か分かるか?」

「うーん、そうだね……」顎に指を当てて、ユキは考え込む仕草をする。「少し不安定になってる感じはするけど、迷宮が成長したりだとか迷宮からモンスターが外に湧き出したりとかそういうことはないと思うよ?」

「それは確かか?」

「うん。ここの周りで迷宮以外に濃密な魔素溜まりとかもないし、人間が言う高ランクモンスターは生まれてないかな? 将来のことまでは保証しないけど」

「いや、ならいい。お前がそういうんならそうだろうよ」


 迷宮の入口を確認する限り、それらしいモンスターの足跡も無ければ、ユキほど範囲は広くは無いがキーリも魔素溜まりを周囲で感じ取っていない。


「それよりも面白い人間が居るよ」

「あ?」


 念のために、と周囲の魔素の様子を探っていたキーリだったが、ユキが明後日の方を指差し、そちらを怪訝な様子で振り向いた。

 直後、キーリの眼が見開かれた。

 やがて口元が三日月状に歪んでいき、獰猛な笑みが浮かび上がっていく。

 そして徐にナイフを引き抜いた。


「……キーリ?」


 不穏な気配に気づいたフィアが名を呼ぶ。だがキーリは答えず、自身の気配を消して身を屈める。

 跳躍。

 山の中の静謐な空気を一気に斬り裂き、その隙間に気配を溶け込ませる。ただ風となってキーリは岩陰から現れた人物に襲いかかった。

 完全に不意をついた攻撃だ。しかし襲われた人物は自身目掛けて急降下してくるキーリを認めると自然な動作で握っていた短剣を奮った。

 二つの武器がぶつかり合う。耳障りな音が静寂を破り、そこで全員が異常に気づいた。


「キーリ! 貴方、何を――っ!?」


 アリエスの叫び声を遮って打撃音が轟く。キーリの体は大きく弾き飛ばされ、しかし彼は空中で姿勢を整えると綺麗に着地。すぐに横に飛び退く。と、そこに何か矢のようなものが突き刺さった。

 それは魔法で作られた光の矢だ。地面を深く抉るそれが何本も光を放っていて、いつまでも消える様子が無い。それは濃密な魔素で形作られた上級な魔法である事を明確に示していて、シオンは思わず息を飲んだ。

 光の矢を避けたキーリは、走りながら腕に魔素を強くまとわせる。そして一瞬立ち止まるとその腕を地面に叩きつけた。

 地面が爆ぜる。爆発音と共に巨大なクレーターが穿たれ、土が木々の枝と一緒に舞い上がった。瞬く間にそれはキーリの姿を覆い隠し、直後、キーリが腕を振るうとそれらが一斉に「彼女」に向かった。

 土や枝が一気に加速。対して彼女はほぼ無詠唱で風神魔法を行使し、荒れ狂う暴風でそれらを払い除けた。だがその先にキーリの姿は無かった。

 キーリは彼女の目の前にいた。ナイフを低い姿勢から喉元目掛けて突き出し、しかし目視しておらずともそこに居るのを察していた彼女は冷静に払いのける。

 短剣とナイフがもう一度ぶつかり、ナイフをキーリは手放す。ナイフは弾き飛ばされて傍の木に深く突き刺さり、それを確認するでもなくキーリは背負っていた大剣を滑らかな動作で振り下ろした。

 金属同士の音と、鈍い音が同時に鳴った。彼女は短剣と錫杖を交差させて大剣を受け止め、至近距離でキーリと向き合って笑みを浮かべ懐かしんだ。


「……久しぶりね。三年、いえ、四年ぶりかしら? あの時から腕を上げたみたい。見逃してあげた甲斐があったわ」

「ちっ、嫌味かよ。涼しい顔してよく言いやがる。せっかく不意打ちしたってのに、驚きもしねぇんだから嫌になるぜ」


 アンジェリカ・ワグナードマン――聖女と呼ばれる女性は、四年前と変わらぬ美貌を振りまき、誰もが見惚れる笑みを浮かべた。




お読み頂き、ありがとうございました。

気が向きましたら、ポイント評価、レビュー・ご感想等頂けると幸甚でございます<(_ _)>

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