guy meets girl
殷賑たる様子をみせるサルトゥスのメインストリートである中央通りをアキラはトボトボと歩きながら愚痴をこぼす。
「今日は無駄足だったなー。まぁ自分が悪いんだけど。危うく勘違いで情報屋をミンチにするところだったからな〜。気付いただけマシだったと思うか」
と情報屋が聞いたら背筋が寒くなるような事を言いながら雑踏の間をすり抜けて行く。
街往く人々に目を移すと獣の耳を生やした者や尻尾が生えた者。額から角が生えた者など獣人やドワーフやエルフといった妖精族、様々な種族の者が行き交っている。
これは北に2日ほど行った場所にある王都サンタマリカと南にある港街を結ぶ位置に存在するこの交易都市サルトゥスの特色である。
この街は上から見るとまるで葉っぱの様な形をしていて真ん中に一本街を貫き通すように1本道が通っていてそこから葉脈のようにいくつも道が分かれている。
そんな中央の通りから1回曲がり露店通りと呼ばれる通りに入りその先にある宿屋に向かおうとする。
すると何やら前方の方で人の怒鳴り声と何か硬質な物の割れるような音が聞こえてくる。
ふと視線を上げて歩いてる人間の頭上越しに先を見てみると、ぽっかりと円形に人の波が途切れてるところがあり、その周りに人垣ができているようである。
アキラも人垣の方に近付いていき野次馬根性丸出ししてみると、どうやら露天の店主と思われる男と小さな子供がどうやら言い合いになってるようだ。
「これ、わたしが持ってきた虹水晶じゃない」
「なにぃ!!ワシがニセモンとスリ替えたって言いたいのか!?」
「わたしが持ってきたのはもっと透明で色も6色じゃなく7色入った物だった。」
「そんなもの!お嬢ちゃんの見間違いに決まっておるじゃろ!!」
話を聴いてると、どうやら子供が持ってきた虹水晶ってアイテムを店主がすり替えた云々でもめてるらしいな。てかこの子供、女の子だったのか。フードかぶってるから気付かなかった。とアキラが心の中で考えている間も二人の応酬は続く。
「あなたが鑑定すると言って後ろの大きな箱の中にある鑑定の道具を取り出す時に一度置くのが見えた。その時にすり替えた」
「そう言うんなら自分の眼で確かめて見ろ!!ただし!!もし中に虹水晶が入ってなかってなかったら営業妨害として奴隷の身分に落として店の小間使いにしてやるからな!!」
「ん。わかった。それでいい」
と言い少女は店主の後ろに置いてある大きな金属の箱に近寄っていく。
なんかこの女の子やたら度胸があるなー。淡々と喋ってるし嘘を言ってるようには見えないな。
それに引き換え店主の方は怒鳴り散らしてケムに巻こうとしてる気がするんだよなーと思い店主の方を見てみると何か懐にてをいれごそごそしている。そして、絶対の自信があるかのようにニヤニヤと笑っている。
ふむ。あの箱に何か仕掛けがしてあるってところか
少女の方に視線を戻すと少女が箱に近づき重そうな蓋を開けているところだった。
「どうだ!?嬢ちゃんのいう7色の虹水晶はあったのか!!?」
と威嚇するように店主が怒鳴り散らす。
「ない」
と表情はあまり変わらないが、少しだけくやしそうな声音で否定の言葉を口にする少女。
「ハーッ、ハッハッハッ!!それ見たことか!!約束通り、お前は奴隷堕ちだ!一生こき使ってやるからな!」と店主が下卑た顔で高笑いをはじめる。
「仕方ない」
少女が諦めて箱から離れ野次馬達もその場から解散しようかという時、
「ちょっと待ちな」
と人垣を左右に押しのけてアキラは少女に近づいていく。
「なんだお前は? 」
そう聞く店主の言葉を無視し少女の瞳を真っ直ぐ見据えて尋ねる。
「お前がさっき言ってた事は本当か?」
「ん。嘘じゃない」
やはり嘘を言ってる態度じゃないな。となると・・・
箱の底をジーっと凝視する。すると底に繋ぎ目のようなものがうっすらと見える。
そして触れてみるとやはり違和感がある。
内側を黒くしてあり、影との相乗効果で分かりづらくしてあるが触れてみるとよく分かるな
「下か」
そう呟くと目に見えて店主が狼狽えだす。
「なっ、何を言ってるんだ。箱の下になんか隠しとらんぞ!
第一こんな重たい金属の箱、一人で動かす事ができるわけないじゃろ!」
「ふん。どうせスイッチで底が開閉する仕組みなんだろ?」
「んな!?なっ何をいってるやら分からんな」
分かりやすく慌て出す店主。
「まぁ動かせばわかるさ」
と言い箱に近寄り箱の横に手をかけるアキラ。
「ふふん、無駄じゃわい。その箱は大の男10人ががりでないと動かんわい」
「それはどうかな?ぬんっ!」
みるみるアキラの上腕二等筋が膨れ上がり血管も隆起する。そして少しづつ箱が持ち上がる。
「ぬおりゃ!!」
掛け声とともに箱を店主の目の前に投げ飛ばした。
「ひぃ、ばっ、ばかな!?」
目の前に重厚な箱を投げ飛ばされ店主は腰を抜かす。
「どっちが嘘を言ってたか一目瞭然だな」と言い顎で箱の下を指す。
箱が置いてあった場所の下には大量の貴金属が有り一番上に少女が言っていた7色の虹水晶がちょこんと乗っている。
「んじゃ俺はこれで。後始末は長くなりそうだから後は誰かやってくれ。」
そのままその場から離れようとするアキラ。
しかし、何かに引っ張られるように足が動かなくなる。
後ろを振り向くと先程のフードをかぶった少女が足元で服を引っ張っているようだ。