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第一小節

 もうダメだ。


-そんな事無い。-


 俺はもう・・・生きる価値は無い。


-君はまだ出来るよ。-


 今までの地位も名誉も、もう必要が無い。


-人に教える事が出来るじゃないか。-


 今まで溜めた知識も、技術も全て無駄になった。


-そんな事は絶対無い。だから生きて。-


 もう・・・・・・・・・・・・死のう。


-駄目だよ。死なないでよ。-


 薬は用意した。

 後は全部飲み干せばいい。

 眠るように死ねる。


-君の価値はそれだけじゃない。-


 両手を失ったピアニストになんか・・・。

 価値は無い・・・。

 来世にも、ピアノがあると良いな。


-君を失いたくない。君を君のまま、神に愛された演奏者として生まれ変わらせる。僕の力全てを使っても。-




 俺は・・・誰だ・・・?

 いや憶えている・・・、元ピアニストの橘宗谷だ。

 事故で両腕を・・・ピアノを引くための腕を失った愚かな人生負け組だ・・・。

 両腕はかろうじて日常生活に支障はないと言われたがピアノを引けない腕なんて価値はない・・・。

 そうだ・・・それに悲観して睡眠薬で眠るように死んだはずだ・・・。

 なのに、どこだここ・・・。

 助かってしまったのか・・・?

 知らない天上だ・・・。

 天上に手を伸ばして気づいた。

 俺の手じゃない?どういうことだ?だが体は動くのだが起きられない・・・。何が起こっているんだ?

 部屋をしばらくキョロキョロ見回していると、次第に状況が把握出来た。

 まずここは病院ではない。

 ヨーロッパ方面の中世辺りの様式だ。

 こういう雰囲気は嫌いじゃないが・・・、俺が自殺したのはアメリカでだぞ?

 睡眠薬の自殺程度でヨーロッパに送られるなんてことあるのか?

 まだ情報が足りない・・・。

 幸い近くで何か作業している女性が居る。

 服装は・・・アイヌ民族衣装か?

 この部屋の様式に合ってない様な気もするが・・・。

 とりあえず声をかけてみよう。


「あーうーあー。」


 声がでない・・・?

 というより赤ん坊か今の俺は?


「**、ソーマ*****。*********?」


 どこの言葉だ?12カ国語ほどピアノの為に学んでおいたが理解できなかったぞ?

 かろうじてソーマと呼んだのは分かったが・・・。

 違う、俺はソーマじゃない。宗谷だ。


「あー、そーあー」

「**!****************!?**********!」


 なにを言っているんだこの女は・・・。

 すごく嬉しそうだが・・・。

 それにデカイ・・・。

 いや、待て。俺が小さいのか?

 そうだ・・・。よく見ればこの腕、赤子じゃないか!!

 どういう事だ?

 俺は・・・生まれ変わったのか・・・!?

 もっと現状が知りたいのにあの女は部屋を出て行きやがった!!

 くそ・・・現状がわからない・・・。

 理解が追いつかない・・・。

 ここがどこの国であろうと構わないがピアノは近くにあるんだろうな・・・。

 ピアノが存在しない人生なんて俺には耐えられん!!

 それにこの体だ、何が起こって赤ん坊になったかわからないが小さい頃からピアノを弾かせてくれ!

 あぁ!誰でもいい!俺の質問に答えてくれ!!


-生まれ変わったんだよ。神に愛された演奏者。-


 誰だ!?

 ・・・。光の玉?なんだこれは・・・?


-僕の名前は『パッサカリア』。君をこの世界に生まれ変わらせた張本人さ。-


 パッサカリア・・・?

 確かポーランドのピアニスト、レオポルド・ゴドフスキーの作曲したピアノ独奏曲の名前・・・。


-そうさ!僕は音楽の使徒。僕ら使徒は僕らの神が恩恵を与えた人間の作りし曲の名前をもらっているのさ。-


 それで?その使徒様がなぜ俺を生まれ変わらせた?


-簡単な事さ。君は神の恩恵を受けずに、神に気に入られる曲をいくつも作った。僕の神は君を守護するために僕を君に付けたんだよ。-


 なのに俺は腕を失ったのか・・・。


-ごめんね・・・。僕等は君達の世界に物理干渉が出来ない・・・。どうしようも出来なかったんだ・・・。-


 それで死んで魂となった俺をこの世界に置いたのか?


-記憶もそのままにね。僕も君の曲を気に入っていた。いつか『神を射止める曲』を作れると信じていた。だからあそこで失うのは嫌だったんだ。-


 なるほど・・・。

 それでここはどこなんだ?

 見た感じヨーロッパの金持ちの家に見えるが・・・。


-そこもごめん・・・。ここは君が居た世界じゃないんだ。わかりやすく言うと異世界。君の魂と記憶をそのままに転生させるのに僕の力が不十分で、異世界に飛ばされてしまったんだ。-


 なるほど・・・な。

 ただ、この世界について聞きたい事があるんだが大丈夫か?


-なんだい。君が生まれるまでこの世界について色々見て回って調べたから、知り得た事なら答えれるよ。-


 この世界に・・・ピアノはあるか?


-言うと思ったよ。大丈夫。この世界の楽器は前の世界と変わらない。ただ、この世界の楽器は魔法を使うための補助という形が大きいんだ。質はそこまで良くないかもしれない。-


 ピアノがあるならそれでいい。

 俺はピアノに狂ったピアニストだ。ピアノが無い世界なら殺してくれと頼んでいたよ。

 大事な事が聴けてよかった・・・、赤ん坊だからな。そろそろ眠るとするよ・・・。


-うん、おやすみ。ただこの世界に音楽という概念はないんだ。君がこの世界に音楽を広めてくれると僕は嬉しい・・・・・・。-


 わかった・・・。必ず広めて・・・やるよ・・・。

 俺の・・・ピアノ・ソナタを・・・。

 異世界で戦闘する気のない主人公の開演です。

 ガチでノーミュージックノーライフです。

 音楽を奏でれないのなら死ぬしかないじゃない!!

 そんな主人公です。

 戦闘行為も演奏する為の腕を壊したらどうする!!でしません。

 多分しません。きっとしません。


 しないと思う・・・・。

 まぁまだノリで作り上げた物なので構成考えてませんが主題は音楽演奏となっております。

 どうか生暖かい目でピアニストを見守りください。


*の台詞

「あら、ソーマお坊ちゃま。目が覚めたのですか?」

「まぁ!もうご自分の名前が言えるのですか!?なんて賢いんでしょう!」



この話はしっかり書いてるわけではないので不定期更新になります

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