始まりの罪
俺の生まれ育った村は小さな貧しい村だった。
活気はなく、人がいるか分からないくらい静かだった。
そんな死んだ村で俺は育った。
俺が10歳の時、くだらないことで親と喧嘩した。
わがままを言ってるのを知りながらなんどもせがんだために親に叱られた。
その時の夢は帝国に行くことだった。
そもそも最果ての村である場所から中心地の帝国までが遠すぎた。
移動費なんて貧民相手だから余計に高く要求されるだろう。
帝国にさえ行けばなんとでもなると思っていた俺は親に何度も同じことを言っていた…
そして遂に家を追い出された。
だからなんだ
追い出されたんならそのまま帝国に行ってやる。
そう思って歩き出した。
でも10歳の俺にはやはりそんなことは出来なかった。
途中で飢えて、親の愛情が欲しくて
走って村に帰った。
だが帰ってきた俺が見た光景はいつもとは明らかに違っていた。
燃えていく村、泣き叫ぶ声
そこにはいない俺。
運がいいのか悪いのか分からない、でもその時見た光景だけは目に焼きついて離れなかった。
慌てて俺は村に近づいた、そこには二人の騎士がいた。
「なんで…なんで動けないんだよ!」
1人が苦しそうな声を発した。
腰に刺している剣が動きを止めてるかのように光っていた。
「私が行く、お前はそこで待っていろ」
それを見ていたもう1人がそう言って火の中に入ってった。
なんでそんなことをするんだ。
死ぬかもしれないのに、あんたらは俺らみたいな庶民を蔑んで、見下して生きてるんだろ?
なのになんで助けようとするんだ?
幼い頃の俺は意味がわからなかった。
ただ、自分がこんな所にいる事を悔やむしかなかった。
あんな事で家出なんてしなきゃ良かった。
母さんも父さんも村の中にいたはず、もしかしたらもう会えないかもしれない。
なんで、なんで…
その時ひどい寒気を感じた。
誰かが詠唱してるみたいだった。
禍々しい魔力、呪いのような言葉
聞いているだけで、そこにいるだけで吐き気がした。
「ぐ、あ、あああ!!」
火の中に入った騎士がうめき声の様な叫び声の様な声を発した、気持ち悪い感覚はいつの間にか消えていた。
その時変な紋章が見えたんだ。
ライオンの様な紋章だったけど、あれはなんなのだろう。
そこに手を伸ばそうとして、俺の意識は遠のいた。
次に目を覚ました時には何も無かった。
「古の失われし魔法に打ち勝つは古には無い新たな力のみ…」