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七話 ディ・アンシュトレングング

初めてのトレーニングマッチが終わり、いつもの練習に戻っていたある日・・・。


「ミズホ、お前のいろんなボールテクニック見せて」

練習の合間にラルフが言ってきた。


ドリブルしながら片方の足をボールより前に出す。インサイドで立ち足の後ろを通して方向転換、逆足のアウトサイドでボールを持ち出すクライフターン。

片方のつま先足裏でボールを止めながら飛び越し、体を180度回転させすばやく同じ足のアウトサイドで持ち出すコンティ。

ボールの上を足裏で止めつつ体を反転し、反対の足裏でボールを後ろに引き、さらに体を反転し持ち出すマルセイユルーレット。

インサイドターンをしてすばやく反対の足で再度インサイドターンをしてボールを持ち出すダブルタッチ。

ロコモーション、スラップカット、ステップオン、シミー・・・。

片足のインサイドでドリブル。その前でドリブルしている反対側にすり抜ける様に斜めに持ち出したと同時に軸足をホップし、逆足のアウトサイドで持ち出すようにボールの後ろでステップしさらに反対の足のアウトサイドで持ち出すフェイクインサイド。

シザースにエラシコ・・・。


「もういい・・・おまえ、練習中もあまり派手なテクニック見せないから出来ないかと思った」

「ミズホは出来ないワザないんだろう?」

「多分・・・」

「「「はぁ」」」

周りに集まったメンバーのため息。


「一度見て、練習したら出来るようになると思う」

「「「・・・」」」

あ、しまった・・・。追い討ちをかけてしまったみたい。


「聞いた俺が馬鹿だったよ」

ラルフ以外のみんなも少しあきれた感じだった。


「で、何で使わないの?」

「使っているよ。特にダブルタッチなんて良く使っているけど」

なんか、地味なヤツって目で見られてます。


「おまえ、マサトシ(カツコ)の教え子だったんだよな。今までチャレンジした一番難しいのどんなヤツ?」

「ダイレクトでゴールポストやクロスバーにあてて落とさずに続けるヤツ」

「それ、フットボールテクニックじゃないから・・・。アクロバート(曲芸)だから・・・」

「・・・」

「おまえ、ロウナウジニョか?」


なんか、全力で呆れられています。


「試合中も使ったらいいのに」

マリウスのもっともな問いにみんながうなずく。


「使う必要を感じたことない」

もうぼくもやけくそ。単語の応酬だ!


「あのな~~~」

「どうしても1対1を抜けないといけないときどうするんだ?」


少し間が空いた。変な答え出来ないもんな・・・。


「視線と体重移動のフェイント」


もう、みんな諦めてましたね。

確かに気がついたら抜かれているのは実体験済み。

抜かれるの悔しいからつかんでくるけれど、バランス崩して倒れるのは自分たちだったからね。


「どうやったらミズホみたいなプレイができるんだ?」

「う~ん・・・。相手を良く見るかな?」

「・・・」

「意味わからん。ある意味ミズホは天才なんだよ」


「それは違うな」


カールコーチも話に入ってきた。

「マサトシからミズホのことを頼むと連絡受けたときに聞いたけれど、体大きくないし、スピードもない。一見ストロングポイントないプレイヤーに見えるけれど、”努力”がミズホのストロングポイントだとね」


微妙に言っていることが理解できる。

本当にカツコさん。何を吹き込んでいるんですか・・・どうせ努力と根性のひとですよ。


「「ディ・アンシュトレングング(努力か)・・・」」


念仏のように唱えながら練習に戻るチームメイトたち・・・。


ぼくってみんなにどう見られているんだろう。

少し気になる・・・。

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