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いつもの通りに木の実を取り、家に戻ろうとした時、魔人と魔物の戦う所に出くわした。
この魔人は魔導士タイプであった。
今まで、騎士タイプか冒険者タイプであったので、珍しかった。
接近戦が不得意かと思えば、それに補えるほどの戦いの経験を確認できた。
地の魔法の使い手で遠距離魔法は石つぶてを生み出し攻撃、接近では持っている杖を地の魔法で強化して殴っていた。
強い!
今まで一番、強い魔人だった。
!!
こっちを見た!
なるほど!感知も人一倍広いと言う事か!
すかさず場所を移動した。
さっきまでいた場所は石つぶてで攻撃された。
かつて、小石で魔人を倒した要領で投擲剣を展開して、二振りの剣を取り出し応戦をする事にした。
出し惜しみは無しだ!
っとか思ったら、いきなり大石を投げてくるとは!
飛天魔法を使って力比べをするつもりは無い!!
スピードで生かして、回避をする。
大石の影から出たら、石つぶてを大量に迫って来た。
投擲剣で体に当たる分だけ防ぐ、かつての反対の状態に成った。
こちらは向こうほど攻撃の種類が無い、距離を詰めるほかない!
ダッシュで詰寄るが、向こうも剣を振りかぶるタイミングを合わさないために向こうも近づいてきた!
いや!これは違う!!
後ろに飛び跳ねて回避したら、地面から土の壁が隆起した!
隆起した土の壁から大きめの石つぶてが放出される。
おいマジかよ!!
堪らず上空に逃げる。
上に逃げたら大技らしい、鋼の槍が飛んできた。
飛天魔法で体全体で回転してギリギリで回避した。
おいおい・・・飛天魔法が無かったらやられていたぜ・・・。
空中機動で一気に距離を詰め、投擲剣で牽制をして、一撃を与えたと思ったら、体を地の魔法でコーティングして刃を防いだ。
「チィ!」
二撃目は杖の攻撃で塞がれた。
地面に足がついてないと威力が落ちる!!
手から剣を離して、襟首を掴んで即接近戦で勝負を仕掛ける。
さすがのこの攻撃手段が無いのか反撃が無いみたいだな。
そのまま頭を地面に投げつけた。
そのまま投擲剣で地面に縫い付ける。
直ちに両手を切り裂き、新たなる魔法を使わせないようにした。
胸元に魔石が有ると思い胸の服を破り見たが、魔石は無かった。
そこで体中を視て見たら腰に在った。
魔石を引き抜き無力化した。
*
結構派手な戦闘だったので、周りの魔物がこっちに迫って来た。
急いで、使える物を回収して木の上に避難した。
肉の塊になったそれは、魔物たちの餌になった。
もう一戦したいが、さすがにあの戦いは疲れた。
あの魔人は三人分以上の実力者だった。
やれやれ・・・家に戻って一目眠りをするか・・・。
魔素を魔力に変換するのも無意識に出来るようになっている。
さて、魔力も回復したことで木々を伝って家に戻って行った。
すんなり家に入っても良かったが、昨日まで見られなかったテントを見つけた。
*
おいおい・・・大丈夫かよ・・・。
少しの間、様子を見ていたら、案の定魔物たちに囲まれ応戦していた。
なかなかのチームワークで問題なく撃退して、魔物を解体してテントの中に戻って行った。
「なかなかの冒険者だな。」
そう言ってテントの奴らに声を掛けた。
慌てて、テントから出てくる冒険者たち。
「人なのか!?」
「子供!?」
いろいろ聞きたい事があるような感じだが・・・。
「もうじき雨季が来る、ここでは死ぬぞ。」
「雨季?」
「そうだ、通常の五倍ぐらいの雨水が数日間集中的に降る。テントじゃ時期に破壊されるぞ。」
六人の冒険者たちはお互いの顔を見回した。
「問題は、その後だ。雨期が終わると本格的な冬が始まる。」
近くにある木に、ジャンプで飛び上がり短剣で一筋の傷を入れる。
「大体あの辺りまで雪が積もる。今のうちに如何にかする事だ。それと今の魔物は活発期だから気付けろよ。」
粗方忠告は言ったので、その場を離れようとしたら、
「良い避難場所は知らないか?」
っと聞いたので、
「木の上、ただし保証はしない。」
と言ってジャンプを繰り返して木の上に上がった。
六人の冒険者たちはポカーンとした顔で見上げていた。
そのままほっといて、木々を伝い、ようやく家に帰って来た。
それから二日後、雨季が始まった。