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「引渡しの事だけど、何か安全対策的な事は考えている?」
気が早いが、ついでにここで決めておいた方が良いだろう。
「いえ、各方面での打ち合わせが済んでいませんので、手を付けていません。」
慎重に話を進めている弊害かぁ・・・。
「すいません、お茶をも一杯。では、損失した時の対処法も?」
此処での損失は、他国や国内の貴族に奪ばれた時の事を言っている。
新たにカップにお茶が注がれる。
「そのあたりの警備は厳重にしていますが、心配事でも?」
「ええ、施設や船は物が物だけに大きいのでそれでいいかもしれませんが、さすがに小さい物の警備はどうなっているのか、心配ですね。」
現に盗まれている物が有る。
「心当たりが?」
ハルストモリアさんの目の奥が光っていた。
ワザと両肩を上下に動かし、
「飛天結晶は一つで国家的に影響力が跳ね上がるはずです。そこで生み出す際に認識番号を振っても?」
これ以上の質問は無理だと思ったか、話に合わせて来た。
「認識番号で済む話だとは思いませんが?」
「その認識番号で動かせるようにすれば良いのです。無論、この番号は私と王家と魔導会のみっと言う事で。」
再び考え込み、
「解りました。それでお願いします。各所の話し合いは王家の方から致します。」
ん?
「待った!この話は貴方がしてください。貴方だからこその話と思っていただきたい。」
「・・・解りました。私から致しましょう。」
*
ハルストモリアさんとの話し合いは終わり、ハルストモリアさんは姿を消さずにそのままドアから部屋を出ていった。
程よい温度に成っているお茶を静かに飲み、喉に通す。
「流石王の影、一筋縄ではいかないな。」
カチカチに固まったメイドさんに目線を向ける。
お茶請けのお菓子を指し、
「この、お茶請け王宮の人が作ったのですか?」
少しオドオドしながら、
「えっと・・・その・・・私が作りました!」
「ほぉ・・・なかなか美味しいですよ。市場に出してもお金が取れるぐらいだ。」
少し顔が赤くなり
「あ!ありがとうございます!」
と言って、顔を下げた。
それから、王都での話をしながら、謁見での時間を潰した。
*
「長らく待たせてしまったな、許されよ。」
「いえ、この度の交渉がお互いのためになると思っていますので、何時までもお待ちします。」
朝に呼ばれてもう夕方だぞ!
幾ら待つと言いても限度があるだろうが!!
謁見の間に入って正面に、武人と言っても良い無骨な王
その両脇両脇には政治司る宰相と軍事を司る将軍の二人の貴族
右手前方の方には公爵家、左手前方には他国の代表者
王の前に膝を付き礼を示している俺の後ろには、多くの貴族が参列していた。
この貴族の中には主人の代理の人もおり、この謁見がどれだけ注目されているのかを示していた。
「この場では、偽名ではなく正当な名で呼ぶことに成っているが、正当な名は何という?」
「わが身は、産み落とされた親より捨てられた身、よってその偽名が我が身のよりどころ、不敬と言うのであれが陛下が御自由に示していただければ結構です。」
若干貴族の間でざわついた。
名を持たぬ者、つまり奴隷以下の存在なのだ。
物でもないのだ。
そのため、高潔な存在としている王家と話をするだけでも禁忌とされている。
「静まれ!」
陛下の一喝で貴族たちは静まる。
「ネイトの名を正当な名として認めよう、また家名を記す事も赦そう、候補は有るか?」
「有難き幸せ、突然の事より今は思いつきません。」
おいおい、何もなしから、平民かよぶっ飛び過ぎないか?
「では、メレデンスはどうだ?」
何故それになる!
「陛下、理由を聞いても宜しいでしょうか?」
「むぅ、我が息子ルビナアドが、貴公が所有している例の物がメレデンスに似ていると言ったのでな。」
何て安直な!!
「いや。」
「む?」
「失礼、わが身が陛下の様に年齢を迎えた時にその家名を呼ばれた時にわが心が悲鳴を挙げるのが確実なので・・・その・・・。」
「嫌か・・・。」
「はい。」
再び貴族たちが声を上げる・・・。
年老いたオッサンに白鳥卿とか言われてみろよ!悲しくなるぞ!!
「むぅ・・・少々、至らなかったようだ・・・。」
どこが少々なんだ!凄く困るぞ!!末代の恥にするつもりか!!
「では・・・。」
「陛下、先に本題に移った方が・・・。」
おっと!宰相が助け舟を出してくれた!
感謝します!宰相閣下!!




