0.卒業の日
春が近づいてきている感はあるがまだまだ寒い日が続く三月の初め、とある郊外の街にある高校で卒業式が行われた。式は終わり、学校の校庭には友人や後輩と共に写真を撮る卒業生や別れに涙する卒業生であふれかえっていた。
そんな騒がしさから離れた一室に二人の卒業生がいた。彼女たちは三年間世話になった部室を訪れていたのだった。
「やっぱココがなくなると思うと寂しいなあ…」
平均的な身長の少女が声を発した。
彼女は寺本秋。名前だけみると秋生まれであると思うだろうが彼女はれっきとした『夏・八月』生まれである。その理由は部室にいるもう一人の卒業生も知らない。
「でもしょうがないじゃん。後輩がいないんだし…」
秋の友人の柚川雪菜は悲しげに言った。
ちなみに彼女は友人と違い、ちゃんとした『雪』の降る冬生まれである。
「でもさ、雪ちゃん…理不尽だと思わない?」
「何が?」
雪菜がいぶかしげに首をかしげていたが急に何か思い立ったのか首を元の位置へと戻した。その顔は秋と同じように不機嫌に見えた。
「もしかして廃部決定の理由のこと?」
肯定を表すために秋が首を縦に振った。
「だって理由が新校長の『オカルト嫌い』だよ…本当にありえなくない?」
「……まあ、世の中にはそんなこと山ほどあるんだよ。きっと…」
彼女たちが所属していたのは「オカルト研究会」であった。
「お二人さん!!卒業おめでとう!」
そんなしおらしい雰囲気の中、陽気な声が響いた。その声の持ち主は「オカルト研究会」の顧問であった。
顧問は研究会最後の部員である二人に祝いの言葉をかけるために探し、此処へ辿り着いたらしい。
「「先生!!」」
「せっかくの卒業の日なのにどうしたんだい?あっ、僕と別れるのがつらいんだね!!」
ちなみにこの顧問…いい人ではあるが、いい教師ではないというのが卒業生二人の心証である。
「そんなことないです…このテンションから離れることができて嬉しいくらい…」
「何か言ったかい?」
「いいえ、特に何も…気にしないでください」
秋があきれたようにため息をついたが顧問が気付いた様子はなかった。そんな二人を見てか雪菜も声を発した。
「二人とも相変わらずだねー。『オカルト研究会』の廃部理由で秋ちゃんは怒っていただけです。先生はどう思いますか?」
「そうだね…校長がオカルト嫌いなのはしょうがないけどね…あれっ?」
窓が震えてキシキシと音があがった。不思議に思った三人は外の光景を見て驚嘆した。
なんか、思いついて書き始めましたがラストが全く決まっていないという…精霊ちゃんと出せるかな…不安です。