悲しい鎖
逃げようと思っていた。
昔は逃げたくてしょうがなかった。
怖くて怖くて、たくさん泣いた。
泣いたら心配して貴方はどうしたの?と聞いてくる。
そんな貴方に怒りを覚えた。
貴方なんていなければいいと思った。
いなくなってほしい、消えてほしいと何度も願った。
でも、それはもう遠い昔で。
今が何日なのか、何時なのかもうわからなくなっていた。
わかるのはだいぶ年月がたっていること。
でも、そんなこと最近は気にならなくなっていた。
ジャラジャラと鎖が鳴るたびに、貴方は満足気に、けれど悲しい顔をしてこっちを見る。
こんな鎖はもういらないのに。
貴方は知らないから。
何も信じないから。
この鎖はずっとこのまま。