火酉堅固の人生集 12歳 夏の日の出来事 8
ものすご~~~く間が空いてしまいました。
申し訳ありません。いや、本当にすみません。
今回、内容の方は、ちょっとまとめな感じです。
こんないつ投稿するかわからないお話に興味を抱いていただければ、幸いです。
では・・・。
火酉堅固の人生集 12歳 夏の日の出来事 8
非常にくどくなるのだけど、僕自信がまだ状況をよくのみこめていないので、黒猫の話した内容を今一度整理してみたいと思う。
まず、昼間。
僕が学校からの帰り道に見かけた瞳の色よりも黒い猫は、なんと人語を解する猫だった。
その猫は妙な模様をしたお札に、体をすり付けるように密着していた。
それを見て僕は・・・まあ、気のせいかもしれないけれど、猫が涼んでいると感じた。
そして実際に触れてみると、猫は氷の様に冷たかった。
「その言い方じゃと、ワシが死体のように冷たくなっとるじゃろうが」
「どうだっていいだろ」
猫は、炎天下の中で憎たらしいほどに涼しかった。
ところが、こともあろうにその猫は僕の顔を爪でひっかいてきた。
攻撃された僕は・・・。
「ああ、長い長い。もっと要点だけ述べんか小僧」
「・・・ぐ、わかったよ。それじゃあ」
黒猫が使っていたお札を拾った僕は、そのお札で神社にいた大猫様とやらの孫猫の熱中症を直したのだ。
単に冷やしただけだけど・・・。
そしたら、僕は孫猫の婿候補になってしまった・・・と。
「うむ。おおむねその通りじゃ。そしてワシはお前の守猫の役を大猫様に頼まれたのじゃ」
「自分で言ってて、耳を疑う話だよな」
「なるほど、そうでござったか」
「・・・はあ。もう、この犬は面倒くさいなぁ・・・」
「放っておけばよかろう」
「そういえば、お札を拾ったときにいた女の子。あれはお前の知り合いか?」
「まあ、知り合いと言えば、知り合いじゃ」
「その子とも、喋ってるのか?」
「もちろんじゃとも・・・なにせ、ワシが初めて人間と話したのはあの娘じゃからな」
「なら、その子に言ってくれ、君の作ったお札で僕は大変な目に遭ってるってさ」
できれば、孫猫を助けたのもその子のおかげにすれば、僕はこの現状から抜け出せるんじゃないだろうか。
「なあ、黒猫・・・」
そう言えば、僕はこいつの名前を知らないままだ。どっかで耳にした気もするけど、ここは改めて聞いてみるか。
「あ~・・・いい加減、黒猫って言うのもなんだな。なんか名前はないの?」
「名前か・・・。人に名乗らせるときは、まず自分からと言うのが人間の礼儀ではないのか?」
「むっ・・・」
この黒猫といい。忍者モドキの犬といい。やけに人間くさい言動が多くて戸惑う。
サイズ的に無理があるけど、本当は毛皮をかぶった人間なんじゃないかと思いたくなる。
・・・猫だけに。
「そうだな。僕の名前は」
「ああ、いい、いい。小僧は小僧で十分じゃ。人間の子供の見分け方なんぞ知らんが、匂いと気配で区別はつくからの・・・となればこそ、嗅覚の発達していない人間にワシと他の黒毛の猫を見分けることはできんじゃろうからな。そんな小僧には特別にワシのことをクロと呼ばせてやろう」
・・・・・・。
「あ、ありがとうクロ」
「様を付けろ。ワシは守猫じゃぞ」
「く、クロ様。あ、ありがとうございます」
「うむ。ようやく礼儀とやらをわきまえたか小僧よ」
・・・いっそ、なでまわして、骨抜きにしてやりたい。
「拙者のことは、コジローと呼ぶでござる」
「お前は駄犬で十分だ」
「お前は駄犬で十分じゃ」
「あ、愛護団体に訴えるでござる~~~!」
「・・・そこはお上じゃろ」