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VARIANTAS  作者: 機動電介
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ACT1 初戦

 制御なき混沌は無秩序であり、制御された秩序はいずれ混沌を生む。

 真の秩序とは、“制御された混沌”なのである。








プロローグ

[西暦2186年3月24日0130時、火星赤道上臨時前線基地]

 火星の紅い大地に、荒涼とした風が吹きすさぶ。

 生命の息吹を感じない渇いた大地に赤い砂が舞い上がる中、その建造物はまるでバベルの塔の様に屹立していた。

 風速100kmを越える暴風にもびくりともしない、巨大な建造物。 強化コンクリート、そしてカーボンナノチューブワイヤーで補強されたセラミック装甲板で覆われた、巨大な“匣”。

 その匣の最奥部、一辺50m四方の巨大な格納庫。

 その格納庫の中で、彼は静かに息を吐いた。明かりは要所のみで薄暗く、空気は冷たい。

 顔を上げ、“それ”を見上げる。

 見上げるその先、そこに在ったのは巨大な人型兵器。黄金と純白の装甲。まるで貴婦人の肌のように滑らかな曲線と、鋭い戦闘用の剣のような鋭角さが折り重なった、人の形をした戦闘兵器。

 その姿はまるで、太古の神像如くオーラを解き放っている。

 男は、“神像”の足元に歩み寄り、そっと手で触れた。

 これが自分の新しい力――。

 之をもってして、新たな戦いに身を投ずれば、自分は生きる目的を見出だせるのだろうか。

 男は胸に手を当て、自分の心臓の音を聞く。

 とくり、とくりと、確実に刻む心音。それはかつて、何も持たずにあらゆる戦場を行き巡ってきた男にとって唯一の所有物。自分が生きている証明。

 男もかつては、隊を引き連れ戦った兵士だった。戦争という巨大な不条理に身を任せながら、幾つもの困難を仲間と切り抜けた、屈強な戦士。

 しかしそれは既に過去の事。

 仲間を死なせた。自分は仲間を救えなかった。戦友は命を失い、自分は心を失った。

 今自分が刻む心音は、戦友の心臓。散っていった者たちが刻むべき音に他ならない。

 ――明日にはこれに乗って飛ばなければならない。それなのに……

「少佐」

 突然、鈴の音のような透き通った声が、彼の心をノックした。

 彼は振り返り、そこに立っていた少女を見つめる。

 長い銀髪に、赤い瞳。白い肌。

 少女は銀髪を細くて白い指でかきあげ、彼に問う。

「お休みになられないのですか?」

 少女の問いに男は――

「不安なんだ」

 突然男の口から出た、あまりに意外な言葉。

 男の名はグラム=ミラーズ。職業は軍人。階級は少佐。

 大戦を生き抜いた猛者であり、彼の活躍はもはや伝説となり始めている。

 単機で機甲中隊を撃破すること数知れず。彼の率いる隊に至っては、単独で敵師団を突破することさえあった。

 いつしか付いた二つ名が“ヘルファイヤー・グラム”。

 それ程の彼が、不安を吐露する。

「不安なんだ。私はまた仲間を死なせてしまうのではないかって」

 救いたかった命。

 救えなかった命。

「……ふふ」

 突然、くすりと笑う彼女。予想外の反応に、思わず面食らう。

「エステル……?」

 “エステル”と言う名のその少女は、グラムに言う。

「恐いのですか?」

 グラムは答える。

「恐れを感じた事は無い。だがその分だけ、私は自分の存在を真に感じた事も無い。いつか私を知る者が誰ひとり居なくなったら、私は一体どうやって……」

 突然、エステルはグラムの胸に手を置く。

「ならば護って下さい。貴方を知る人々を。貴方の手で。この鼓動の続く限り」

 そう言って微笑むエステルを、グラムは見つめ続ける。


 翌日25日1700時、コードネーム“D”と呼ばれる一機の人型兵器が火星の空に飛び立った。

 その六分後の1706時、“D”が火星軌道上に到達。

 1707時、第三艦隊が離脱を開始。同時、“D”が敵艦隊中央へ突入。

 1715時、“D”が敵艦隊中央で重力波兵器を使用。同時刻、敵艦隊壊滅。




***************




 かつて戦争があった。

 いや、争いは幾度となく繰り返されてきた。

 西暦2080年、世界各地で発生した局地的戦闘は、やがて第四次世界大戦へと発展し、その戦火は地球圏全域から火星圏にまで拡大。

 特に、主戦場となった地球圏では、人命と資源をすり潰す全面的な物量戦が展開され、それによって発生する大量のインフレーションは国家の存続を不可能な物とし、崩壊した国家の残滓と企業が資源と利権を奪い合う経済戦争へと成り果てていった。    


 西暦2184年、誰が、何の為にかは分らない。突如、全戦線に謎の無人人型機動兵器群が出現し、全戦線を瞬く間に制圧。

 同年9月、約100年続いた大戦は終わりを見せ、それと共に機動兵器群も消滅。人類は、世界政府“統合体”の樹立を宣言。

 西暦2186年3月25日、約100年間続いた第四次世界大戦を制圧し、世界に終戦を齎した謎の機動兵器群、通称“ヴァリアンタス”。その、姿を消した筈のヴァリアンタスが、地球・火星間に出現。地球に向け再び侵攻を開始。後に言う“セカンドムーブ”が発生する。

 その事態に対し、統合体直下の特務機関サンヘドリンは、対ヴァリアンタス軍を組織し、それに対抗。最新鋭の機動兵器“ディカイオス・エイレーネ”を、戦線に投入。セカンドムーブを鎮圧する。

 以来、堰を切ったように地球圏へヴァリアントが飛来。統合体政府は非常事態宣言を発令。対ヴァリアンタス戦争の開始を宣言する。


 そして西暦2188年――




Captur 1

[2188年10月14日、0430時、オーストラリア大陸サンヘドリン陸軍訓練基地]

 身長12mの鋼鉄の巨人が、瓦礫の山に身を隠している。

 周囲は絡み付くような闇。その中に輪郭だけを浮き立たせる破壊された廃墟は、まるで叢生した乱杭歯のように見える。

 無線封止から5分。先行した部隊は今だ戻らず、こちらも孤立無援。ECM濃度が高く、レーダー・センサー類に敵を捕らえる事も出来ない。

 息を吐き、物影に隠れる僚機にメインカメラを向ける。レーザー通信でコンタクト。

『こちらレイズ、どうするスタイナー?』

 同じく物影に隠れている僚機のスタイナーから返信。

『どうもこうも敵位置が分からん』

 機体の腕で“お手上げ”のジェスチャーを取るスタイナー。

 レイズはため息をつき――

『いつもの手で行くか……』

 待ってました、と言わんばかりにスタイナーは、90㎜軽機関砲を遮蔽物の物影から覗かせる。

 レイズは自機の装備するM90・90㎜アサルトライフルの残弾数を確認し、スタイナーに“準備完了”のサインを送信。ライフルのグリップをしっかりと保持し、カウントダウンを開始。機体の指を三本立て、フィンガーサイン。

『3カウント! 3、2、1……!』

 次の瞬間、スタイナー機の90㎜軽機関砲が火球のようなマズルファイヤーを咲かせ、同時にレイズの乗ったHMAが遮蔽物の陰から跳躍。総重量60tの機体は、たった一回の背面スラスター噴射で軽く数十メートルの高さまで舞い上がり、一陣の砂埃を地面に置き去る。

 “HMA”とは、重力制御機関を搭載した汎用人型機動兵器の総称だ。正式には“HumanoidMobilityArmor(人型機動装甲)”と言う名称だが、面倒だから略称の“HMAハマー”と彼らは呼ぶ。

 彼等が乗るのは、ジェネシックインダストリー社製人型機動装甲“HMA‐h2B・ドーファン”。教練用の機体だが、基本性能は高い。

『撃ち返し来るぞ!』

 レイズの言葉と同時に、相対する正面の小高い丘で火砲の火点が散り、曳光弾が光線を描いた。

『見えた! 正面に火点5!』

 レイズは空中で機体を翻し、丘の火点へ応射。自機を着地させスタイナー機の移動を援護すべくスモーク弾を発射。発射されたスモーク弾は空中で破裂。可視光、電波、赤外線を遮断するハイブリットマテリアルの微細粒子の濃い煙幕が展開される。 敵機が火砲を乱射する中、スラスターを噴射して地面スレスレをホバーリング。 レイズは煙幕の闇の中スラスターの燐光を煌めかせ、丘に向かって真っ直ぐに突進してゆく。

 丘まであと500m。

 煙幕を抜ける。目標を光学で捕捉。ドーファン4機。丘の稜線に身を隠している。シグネチャロック。

 敵機ニ機が90㎜ライフルを発砲。サイドスラスターを噴射して射線を回避。弾丸が右肩を掠める。

 まだだ……、まだ撃たない。

『スタイナー!』

 レイズの声と同時に、煙幕の中からスタイナー機が飛び出した。

 軽機関砲を発砲。二機にヒット。蛍光塗料を充填したペイント弾が敵機をピンク色に染めあげる。

『レッド!』

 スタイナーの軽機関砲弾が切れる。

『グリーン!』

 軽機関砲からドラムマガジンを外しているスタイナー機を追い越し、レイズ機がアサルトライフルを発砲。一機にヒット。ライフル弾切れ。

 素早く、残った一機に接近。ライフルの砲身で敵機の火器を弾き、ストックで腹部を打撃。脚を払って引き倒す。

 その時だった。

『避けろ、レイズ!』

 スタイナーの声。同時に、軽い衝撃。

 機体胸部に直撃判定。

 ――撃たれた! どこから!?

 スタイナー機にもヒット。

 火線から射角を推定。見つけた。丘から北へ6kmの廃墟の陰。

 遠距離狙撃。丘の上に立った彼らは、スナイパーにとって格好の餌食だった。



 訓練が終わり、ハンガー内に一列に並ばされたレイズ達ら第五小隊は、訓練教官にみっちり絞られていた。

 第五小隊は四名。レイズ、スタイナー、お調子者のヤン、紅一点のミカ。

 模擬戦で最後まで残ったのはレイズとスタイナーの二人だが、相手側の半数を倒したのはヤンとミカの二人だ。

 戦力比10:4をひっくり返す大立ち回り。本来ならば二階級特進だが、教官は青筋を立てて激怒している。

 教官いわく、どんなに良く戦っても、最後に死んでは何の意味もない。

 そう、この訓練は、勝っても調子に乗るなと激怒され、負けてもしっかりしろと激怒される訓練なのだ。

 事実、最後の一機であるスナイパー役は、教官機であった。

 連隊責任として、第五小隊全員に腕立て400回を命じる教官。

 そのとき。

「あんなの無理だろ……」

 思わず、スタイナーがつぶやく。

 レイズがスタイナーの顔を二度見し、スタイナーもレイズと顔を見合わせて青ざめる。

 スキンヘッドで筋骨隆々の教官が、声を聞きつけて、腕を後ろに組んだままゆっくりと二人に歩み寄る。

 ――二名、腕立て300回追加。

 レイズとスタイナーは、苦痛の表情を浮かべながら、『サー』と返事をし、両手を地面に突いた。



 計700回の腕立てを終え、ずるずると脚を引きずりながらレイズとスタイナーは、談笑しながら食堂に向かっていた。

 訓練の間に挟まれる、短い食事休憩は訓練兵達の少ない楽しみだ。来る日も来る日も訓練に勤しむ彼らは、その日の献立に一喜一憂。多分に洩れず、レイズとスタイナーも今日の朝食ラインナップの話題で持ち切りだったが、レイズの心は次第にスタイナーへと向かっていた。

「そういえば、式を挙げるのいつだっけ? お前」

 スタイナーに、レイズがそう問う。

「来月の半ば」

 彼の薬指にはシルバーのリング。

 レイズはそれを見て、羨ましそうにぼやいた。

「スタイナー、お前はいいよなぁ……、婚約者がいて。羨ましいよ、まったく」

 にやけた表情のスタイナー。

「あいつの料理は最高に美味いんだ。今度お前も家に招待するよ」

「はいはい、わかったわかった! 不味かったら殴るからな」

 軽いジャブでスタイナーにシャドウパンチをするレイズ。

 そのとき、食堂へ向かう二人の正面から、女性の一団が歩いてきた。一団は二人と目を合わせることなくすれ違い、通り過ぎる。

 だが、レイズは一人の少女と目が合い、離せなくなった。

 長い黒髪に、大きな瞳。小柄だが均等の取れたプロポーションは、控え目に膨らんだ胸のラインとタイトなスーツに浮き出るくびれの絶妙さが為せる技。

 彼女も、レイズのことを見つめながらゆっくりと通り過ぎていく。

 「お、“イクサミコ”じゃん。最近増えてるよな。やっぱり“奴ら”のせい……?」

 スタイナーはそう言いながら、レイズの肩に腕を乗せる。

「僕達もそろそろ卒業だしな。訓練が終わったら機体と一緒に支給されるんだっけ?」

「ああ。でも貰っても、なんかうれしくはないな。そのときは実戦に出る時なんだから」

 そう言うスタイナーは、不安そうな表情を、作った笑顔で隠していた。



***************



[同10月14日地球時間0500時・火星方面軍第三機動艦隊・火星暗礁宙域]

 空間に浮かぶその艦体は、漆黒の背景に貼り付けたようにぽっかりと浮き出ていた。

 戦艦、駆逐艦、巡洋艦、空母。その全てが全長数百メートルを超える、巨大な艦群。火星方面軍第三機動艦隊は、三個空母戦闘団を保有、火星軌道に待機し、火星圏から向こうを常に監視している艦隊だ。

 その中に、一際巨大な艦が一隻。全長9.5kmの超巨大艦。第三軌道艦隊旗艦・アレキサンダー級三番艦・ストロバルトは退役寸前の老朽艦だか、数多の戦闘を闘いぬいた誇り高い艦。その艦は、艦隊の中央に位置しながら、艦隊全ての指揮を一手に請け負う司令官であり、その内部には、グレートウォール級航空母艦二隻を収容するドックを持つ、正に動く艦隊司令部だ。

 その動く司令部の第一艦橋のから、男は宇宙を、どこか憂鬱な表情で見ていた。

「今日は晴れているな」

 ストロバルト艦長クロサキ司令長官の小さな呟きに、副長のコイズミ大佐が、キレよく応える。

「ガスとデブリが珍しく切れています。英霊達の援護に感謝……ですな」

 唸るような肯定の返事と共に深く頷くクロサキ。

 火星暗礁宙域――それはセカンドムーブが宇宙に残した爪痕だ。

 セカンドムーブ戦に参加した地球艦隊艦船は345隻。その消耗率は40%以上。裕に130隻もの艦船が失われ、その残骸は未だに火星軌道を漂っている。

 今回、その暗礁宙域内に未確認の物体が、火星オリュンポス天文台によって発見されたのだ。

「艦長」

 オペレーターが二人の会話に割り込む。

「目標を光学で確認。距離10万」

 軍帽を正し、コイズミがオペレーターに問う。

「敵勢力は?」

「キャリヤー1、カノーネ2、アサルター2、クルーザー3。一個空母戦闘団です」

 戦略3Dマップに、8つのカーソルが表示され、敵を表す赤い円で囲まれて固定される。

 ウインドウが分割し、光学映像を表示。投影スクリーンに出された高解像度映像には、幾つもの巨大な緑色の物体が映っていた。その姿はまるで海獣――かつて地球の海を支配した鯨や、太古の奇怪な生物を彷彿とさせる有機的デザイン。巨大な物体の正体はヴァリアント。悪魔の兵器。ヴァリアントは、その出自を全くの謎とする機動兵器体系であり、その形式は多岐に及ぶ。それはまるで、生物の多様性に例えられ、個々の役割を持った複数の種によって一個の兵器体系、“ヴァリアンタス”を形成する。スクリーンに映っているのは、その中でも“艦体種”と呼称されている超大型種だ。

 ――あの時はよくもやってくれたな……。

 クロサキの脳裏に蘇る、悪夢。圧倒的敗北。百数十の艦を屠り、迫るヴァリアントの艦隊を退けたのは、たった一機の機動兵器。

 軍人としての、敵に対する敗北。そして何より、“宇宙うみの男“としてのプライドを傷つけられた闘い。

 だが、クロサキ艦長は冷静だ。彼の心に去来する一つの決意。

 ――一隻でも、あの時の借りは必ず返す。たとえそれが負け戦でも。

「全艦、第1級戦闘配置、長距離対艦戦闘用意。レーザー砲塔撃鉄起こせ。同時、全実体弾砲装填。弾種、3号弾。合図と共に全艦右舷水平噴射、敵射線に対し1ミル」

 過去の敗北を噛み締めながら、クロサキは打って出る。

 敵艦がもし艦首5000mm陽電子主砲を撃つとすれば――いや必ず撃つだろうが――宇宙空間での有効射程は5万kmだから、その着弾まで約30秒。艦隊は敵射線に対して毎秒0.2ミルの水平回避が可能だ。だから、5秒で1ミル。敵射線より最大500km離れる事になる。

 だが、この宇宙で500kmという距離は目と鼻の先に等しい。敵が第ニ弾と三弾を撃ってくれば、避けられる保証は無い。

 しかし、クロサキには策がある。奴らは必ず……

 突然、観測のオペレーターが叫んだ。

「敵船団、軌道より離脱。突貫してきます」

 火星軌道を外れた敵船団が加速を開始。異常なほどの超高速移動による青方偏移で観測映像では青みを帯びた色に見えるヴァリアントを一瞥し、クロサキのは不敵な笑みを浮かべる。

 ――やはり動いたか……!

 彼はこの瞬間を待っていた。敵船団の目的は地球進攻。艦隊の撃破ではない。だから船団は艦隊を無視して、何が何でも地球に向かおうとするだろう。つまりチャンスは一瞬。船団と邂逅するその時。

 出来る事はある。まずはγ線レーザーの全力射。このレーザーの出力は、たとえ艦体種でも無視出来ないダメージを与える。このままレーザーを浴びせ続ければ、敵は防御にエネルギーを取られ、主砲のチャージを少しでも遅く出来るし、敵艦体種の装甲外殻内を蒸し焼く事も出来る。それからレールカノンと偏向荷電粒子砲の直接照準射撃。その後は、お互い横っ腹を曝しながら至近距離で艦砲を撃ち合う事になるが、その時は、砲艦の極限重原子核ビーム砲と、艦隊が保有する50発の指向性熱核弾頭全てを撃ち込んでやる。

 たとえヴァリアントでも、9000G電子ボルトの重原子核ビーム砲と500Mt級指向性熱核弾頭50発の破壊力に耐える事は不可能だ。

 観測艦のデータによれば、船団の速度は秒速20km。勝負の瞬間まで、あと4850秒。



 その瞬間、船団の中で幾つもの閃光が煌めいた。

 それはまるで、天に輝く無数の星々が一斉に瞬いているような綺麗な光景。だが60秒後には、その閃光は雨のようなビームの矢……、破壊の嵐となって艦隊に降り注いだ。

 艦隊全艦はグラビティシールドを展開。シールド表面で潰れたビームは、その巨大なエネルギーを解放して光の環を形作る。

 刹那、艦隊艦艇から照射された数百条もの6000Gwクラス逆コンプトンγ線レーザーは、真空中で殆ど減衰することなく船団に着弾。

 艦体種の装甲外殻表面でプラズマの閃光が散り、赤外線と電磁波が放出された正にその時――

「敵船団より高エネルギー反応!」

 船団の中で、陽電子の煌めきが灯った。距離5万。ついに、その時が来た。

「全艦レーザーを全力射! レーザー砲が蒸発しても構わん! 全開でぶん回せ!」

 砲雷管制のオペレーターが、レーザー砲塔への入力電力を最大値にきりかえると、レーザー砲は唸りを上げながらγ線レーザーを搾り出した。

 空気の無い宇宙では、その様子を目で見る事は出来ないが、レーザー砲身は自らが発する莫大な熱量を周囲に放っている。だが、レーザーは確実に敵船団、強いては敵各艦を捉えている。

 その間に、艦隊全艦は、その巨体を横滑りさせて水平回避運動。砲艦は右へ90度転針し、艦首原子核ビーム砲を敵船団の通過コースへ向ける。

 その時、規定以上の大電力を投入されたレーザー砲がついに蒸発。同時、敵船団から発せられた数本の巨大なビームが、五万kmの真空をほとばしった。

 艦隊はグラビティシールドを全力展開。陽電子ビーム着弾。艦隊後方、オルート級ミサイル巡洋艦・アタエンシク被弾。ビームはシールドを破り、艦首を抉る。

 だが、クロサキは動じない。

 勝負は一瞬! お互いが横っ腹を曝しあうその瞬間!

 ――今!

 擦過の瞬間、敵船団は1立方メートル当たりに1発もの割合でビームが存在する程の密度で砲撃してきた。

 対する艦隊も黙っていない。対空レールカノンを発砲。各艦に搭載された127mm60口径長レールカノンから発射されるペネトレーターは200MJのエネルギーで敵に着弾。敵艦装甲外殻にめり込んだペネトレーターは、その運動エネルギーにより高温の金属粒子衝撃波となって爆散。同時に発射された偏向荷電粒子砲の重イオンビームは、敵砲艦を捉え、装甲の一部を高エネルギープラズマに変換してえぐり取る。

 攻撃はまだ止まない。

 荷電粒子砲の次に来たのは、9000G電子ボルトの出力を誇る極限重原子核ビームだ。ビームは動きの鈍った砲艦の装甲と内部を一瞬で原子レベルまで分解し、ニ隻の砲艦を貫通。

 同時、艦隊の発射した大型砲弾50発が、船団内で炸裂した。

 だが、その火球は意外な程小さい。その代わりに火球は、細長い光の杭となって、砲弾の進行方向に延びている。

 砲弾に装填された弾頭は、中性子爆弾をイグナイターとする200Mt級熱核兵器であり、指向性熱核弾頭とはつまり、熱核兵器版成形炸薬弾なのだ。

 その核の洗礼を受け、砲艦二隻はその右舷横っ腹を大きく損失。

 構成質量の大半を失った敵砲艦は自身を構成するナノマシンの制御を失い死滅。黒曜石のように結晶化し、自らの運動モーメントにより粉々に砕け散った。

 だが、生き残った船団は、その間に艦隊を大きく引き離していく。

 モニターに映る船団。それは、先程とは逆の赤方偏移によって赤みを帯びていた。

「追撃しますか?」

 コイズミの問いにクロサキは溜息混じりで答える。

「いや、今の我々に追撃は不可能だ。後は地球の彼等に任せよう……」

 クロサキはそう言って、艦隊の戦闘態勢を解除した。



***************



[同日10月14日0530時、オーストラリア大陸サンヘドリン本部]

 早朝の高速道路。追い越し車線に進路を変え、前の車を追い抜きながら小型の通信イヤホンを耳に付け、スイッチを叩く。通信開始。

「状況を」

「コードレッド、全軍に対してデフコン1」

「何があった」

「1時間前、オリュンポス山天文台のPan‐STARRSが艦影を捕らえました。一個空母戦闘団です。敵空母戦闘団は火星方面軍第三機動艦隊を抜け、既に火星スイングバイ軌道への進入を開始」

「情報軍団からの回答は?」

「地球到達まで約120時間。地上への予想落着軌道は南アメリカ大陸北部、南米防空司令部」

 報告を聞き終え、グラムはアクセルペダルを更に踏み込んだ。

 車は主幹道路を離れ、地下へのトンネルへ入ってゆく。

 行き先はエアーズロック直下地下8000mジオフロント。天然の岩盤を巨大な装甲としたこの施設こそ、サンヘドリン対ヴァリアンタス軍本部だ。



***************



[同日、本部訓練所食堂]

「しっかし、食堂のカレーはまずいな」

 スタイナーのぼやきに、レイズが応えた。

「なら他のにすればいいじゃないか」

「これが一番マシなの!」

 二人の声に、食堂コックが咆える。

「聞こえてんぞ!」

 肩をすぼめる二人。

「彼女の料理に比べたらこんなの豚の餌だぜ、全く……」

「そんなにうまいのか?」

「なんたって、シティで店出してるからな」

「あー、納得」

 そのとき。

「お、やっと戻ってきたか!」

 空のトレーを持ったヤンが、レイズとスタイナーを冷やかす。その傍には同じくミカ。

「やめなよ、ヤン。先に死んだのは私たちじゃない」

「うぐ、確かに」

 ミカが、ヤンを制止。

「レイズとスタイナーはホントにいいバディだよね。私たちも見習わなきゃ。ねえ、ヤン」

「へいへい、努力しますよ」

「じゃあ、先に行ってるからね。ちゃんと噛んで食べなよ?」

 そう言って、レイズに微笑むミカ。

 レイズは、照れながら、うまくもないカレーをかき込み、「わかってるよ」か「余計なお世話」とか、そんな意味の言葉を二三言いい、立ち上がろうとしたその時、食堂に一人の男があわてた様子で入ってきた。

「おいみんな! 飯食ってる場合じゃないぞ!」

 男は切れた息を整えて、大声で言う。

「ヴァリアントが来る! 俺達にも出撃命令が出たんだよ!」



***************



[サンヘドリン中央指令室、0600時]

 地下8000m、厚さ6000mの天然岩盤と100層の特殊装甲板で護られた対ヴァリアンタス軍司令部が、騒然とする。

 敵団は火星スイングバイ軌道を離脱。最終加速に入った。目標の移動速度は、秒速10km以上。

 司令室正面には、赤い円で囲まれたカーソル8つが戦略マップにアウトプットされ、敵の動きをオペレーターが逐一報告する。

 そのオペレーターの報告を聞きながら、その将官は鋭い眼光でモニターを凝視していた。

 将官は、特務機関サンヘドリンの機関長ケスティウス=ガルス中将。サンヘドリン対ヴァリアンタス軍総司令官その人だ。

「目標の速力は?」

「目標は現在、N338宙域を重力波ベクトル推進で全速航行中。30時間後第一核機雷原に、60時間後には第二核機雷原に突入します」

 ガルスは髭を撫でながら、オペレーターに言う。

「核機雷をNフィールドに集中。縦深配置」

「了解」

「ミラーズは?」

「ただ今本部に到着」

 オペレーターの言葉を聞いたガルスは、吐き出すように大きくため息をついた。




Captur 2

 戦場に行く。

 そんな事は、軍に入った時から覚悟していた。

 人類の為に戦う。

 なんて名誉な事なんだろう!

 でも、現実は違っていた。

 一体何が起きるのか。

 何をすればいいのか。

 あまりにも突然で、理解する時間は与えられなくて……

 つい二日前までは本部で訓練をしていた筈なのに、今は16000キロも離れた前線基地にいる。



「星なんて久し振りに見るな……」

 二人は、派兵された北米大陸北部の陸軍基地宿舎屋上で空を見上げていた。

 雲一つ無い星空。空気はガラスのように透き通り、月は真ん丸で、美女の横顔がよく見えた。

「なぁ、スタイナー。この戦争が終わったら、お前何をする?」

「俺か? 俺は軍を辞めて彼女と店をやる。上手い飯で、みんなを笑顔にする」

 レイズが微笑んだ。

「なんかお前らしくないな」

「ちょっとクサかったか……。お前は?」

「僕は決めてないよ……。将来の事なんて…決められない。なあ、スタイナー。お前は怖くないか?」

「怖いさ。でも、戦わずに殺される方がもっと怖い。それにこっちには、ミラーズ大佐がついてる」

「ああ。 大佐みたいに戦えたら、どんなに良いものだろうな……」

 レイズがそう言った瞬間、空の彼方に幾つもの閃光が煌めいた。ヴァリアントの船団が、第二核機雷原に突入したのだ。

 確実に近付いている危機。彼等も、40時間後にはここビヤビセンシオ陸軍基地から落着予測地域へ出発する。





***************





[10月16日1800時、サンヘドリン本部中央指令室 船団落着まで60時間]

「船団、第二核機雷原に突入。起爆数70」

「第七防宙連隊より入電。敵巡洋艦三隻の撃沈を確認」

 メインモニターに、防宙部隊の撮影した映像が映し出された。そこに写っていたのは、艦腹から真っ二つに折れた敵巡洋艦の姿。

 それを確認したガルスが、オペレーターに問う。

「敵船団は?」

「機雷原を抜け、月軌道へ侵入。48時間後、地球軌道艦隊と接触します」

 ガルスは髭をさすり大きく深呼吸。

 その時、デスクの上に、さっ……と、ソーサーに乗ったコーヒーカップが差し出された。

 ガルスの少ない愉しみであるブラックコーヒー。それを知っているのはただ一人だけ。

「司令、コーヒーをお持ちしました」

 彼の横に立つ女性、司令官補佐のレイラだ。

「有り難い……」

 少し落ち着いた表情を見せるガルス。

 彼はコーヒーを一口。

「久々の休暇だったのに。急に呼び出して悪いことをしたな、レイラ君」

「いえ……。私は司令の秘書ですから。これも仕事です」

 そう言って優しく微笑む彼女に、ガルスは吐き出すように呟く。

「戦略行動を見せないカミカゼ的行動。突撃と突破の繰り返し。その目的は……」

「ここ、ですか?」

「奴らもここの防空システムとディカイオスを容易に抜けることなど出来ないとわかっているはずだ」

「防空システムに対する……強行偵察!?」

 目標の落着予測地点、南米防空司令部は、南米大陸北部の地下8000mに建設された軍用ジオフロントだ。

 ジオフロントは岩盤その物を装甲としている――サンヘドリン本部と同様である――が、大質量高速移動体の衝突には、当然非力だ。もし落着を許せば、司令部は周囲の岩盤ごと蒸発することになる。

「防空司令部への落着は、いきかけの駄賃。防空圏を抜ければ、奴らは自爆も厭わぬだろうな」

「質量数十万トン分の金属励起爆薬……。考えたくありませんわ」

「抜けられれば……だがな」

 ガルスはそう言って、不敵に微笑んだ。


 48時間後の10月18日2000時、地球第四軌道艦隊が船団と会敵。

 同2011時、船団より砲艦が先行。戦闘母艦が単独で大気圏突入シークエンスを開始。

 同2018時、砲艦二隻が艦隊へ主砲を発砲。被弾艦3、小破1、中破2。

 同2019時、艦隊応射開始。効力射多数。

 同2022時、砲艦二隻が軌道艦隊中央で自爆。大破4、中破多数。

 同2030時、敵戦闘母艦、大気圏突入コースへ進入。阻止限界点を突破。

 予想落着時刻まで、あと16時間。




Captur 3

[10月19日0200時、ビヤビセンシオ陸軍基地]

 ついにその時が来た。

 機体格納庫に各自集合。各々の配属部隊に従い、点呼。

 流れるような手順の中で、レイズは昨日のブリーフィングを思い出す。

 ――自分達は防空司令部の前方100㎞地点に降下。任務は各防空高射大隊の援護、及び残敵の足止め。掃討は航空隊と空軍が行う。

 ――それじゃあ、僕たちはただの壁……?

 気付けば、彼は自分の機体の前に立っていた。

 漆黒の重装甲に身を包んだ、陸戦の主力。対ヴァリアント用人型機動装甲、HMA‐h2C/M2A1・レザーウルフ。“皮を被った狼”を意味する、陸軍の主力。

 高出力・重装甲。装甲素材はメタニウムだ。

 メタニウムとは、チタン、タングステン等各種レアメタルを特殊な環境化で合金することによって生まれる、アモルファス金属だ。この特殊合金を用いた複合装甲の開発によって、サンヘドリン各軍全ての機体は世界最高クラスの装甲強度を持つに至り、ヴァリアントとの戦闘を可能にしている。

 しかもこの機体は、HMAでは初めて“イクサミコシステム”を搭載した機種だ。

 “イクサミコ”とは、バイオコンピューターを搭載した人型AIユニットの総称であり、不確定因子を用いることによっての外見的個体差は在るものの、殆ど十七~八歳にしか見えない容姿は、可憐であり非力だ。だが、その重要性を侮ってはいけない。

 ヴァリアントは、人より遥かに早く考え判断し、機動して攻撃する。だから人はヴァリアントと同等の判断と思考により、機動と攻撃を行う必要がある。

 それを可能にしているのが“イクサミコ”であり、パイロットの思考を読み取り、操作を最適化。重装備により複雑化した火器管制を高速処理する、対ヴァリアント戦闘の要だ。

 そのイクサミコも、機体と共に支給される。

 いわば官給品なのだが、レイズはそうは思えなかった。

 彼に支給されたイクサミコ。機体の横に立つその彼女は、レイズが訓練所で出会った、あの黒髪の――

「えっと……、じゃあ君が僕のイクサミコかい?」

「はい。本日から貴官の支援AIユニットとして支給された、戦闘支援AIユニットイクサミコヒューマノイドタイプバージョン1・88個体№8894‐27012です。よろしくお願いいたします」

 綺麗な黒髪をさらさらと揺り動かしながら、ペコリとお辞儀するイクサミコ。

 なかなかかわいい。いざ、自分のイクサミコを持つとなおさら。

 かわいいが、あまりにも長い名前。

「君の事はなんて呼べばいいのかな?」

「ご自由にお呼びください」

「そう? じゃあ……」

 少し考えるレイズ。

「サラ……、サラがいいな」

「了解しました」

 そう言って微笑むイクサミコ――サラ。

 レイズは彼女と共に、HMAへ乗り込んだ。

 コックピットにはウインチで上がり、リアシートにパイロットが、フロントシートにイクサミコが座る。

 密閉ヘルメットを被り、気密・給排気チェック。異常なし。

 パイロットスーツをチェック。

 スキンスーツ、コネクト異常なし。

 マッスルスーツ、異常なし。

 防弾・防熱気密スーツ、異常なし。

 エマージェンシーキット等、忘れ物なし。

 気持ちを落ち着かせるために、大きく息をつく。

 自分の身を包む大げさなほどの乗員装備は、己自身を護る物。追加に追加を重ね、まるでフル装備の歩兵並みに肥大したパイロットスーツその他装備は、戦いの危険度を表している。

 決意し、セーフティーバーを下ろす。そしてコントロールレバーを握る。

 起動確認。アーミングチェック。

 両手に火器、両腕部にも一門ずつの火器。腕部だけでも四門もの火器を装備した重火力。

 だが裏を返せば、これ程でなければ生き残れないのだ。

「503レイズ機、起動完了」

「504スタイナー機、起動完了。いよいよだな、レイズ…」

「ああ、今日19日の1200時調度に、奴らは落ちてくる。必ず帰ろう」

「そうだ、生きて必ず帰ろう」

 そう言葉を交わす二人の機体は、非情なまでにスムーズに、大型輸送機のカーゴへ積み込まれていった。





******************





[10月19日1157時、サンヘドリン本部中央指令室 作戦開始]

「目標現在高度250000m。降下率毎時80000m、ターミナルフェイズ」

「目標大気圏突入……開始しました!」

「目標現在高度2100000、180000、150000! なお降下中!」

「第七、第八艦隊より入電。目標レーダーコンタクト。ネットワークアップロード」

「南部及び中部方面隊SOCより入電。目標レーダーコンタクト。ネットワークアップロード」

 ついに大気圏突入を開始した敵戦闘母艦を、各航空方面隊および艦隊防空レーダーが捕らえた。

 地球内のすべての空は、統合体中央空軍およびサンヘドリン空軍の管理する“統合防空ネットワーク”の監視下にある。ネットワークは、地上すべてのレーダーサイトのデータを合成、疑似的に合成開口レーダーを構築することによって、地球上すべての空を監視できるシステムだが、目標がネットワーク内に入るとはつまり、猛獣の縄張りに入る事に他ならない。

「第七、第八艦隊より入電。対空射撃開始しました。着弾まで60……」

 各艦隊巡洋艦のVLSから発射された長距離防空ミサイルが、白色のカーソルとしてメインモニターのレーダー画面に合成表、それに合わせ、光学撮影の映像が分割表示される。

 白煙を曳きながら空を駆け登るミサイル。

 刹那、戦闘母艦の表面で閃光が散った。その瞬間、防空ミサイルは艦に命中することなく爆散。ミサイルは全て、戦闘母艦の対空砲火に撃ち落された。

 それでも艦隊はミサイルを撃ち続ける。

 ミサイルごとき通常兵器で、ヴァリアントの艦体種は墜ちない。それでも、多数の飛翔体は艦体種の同時戦闘能力を大きく制限することが出来る。それこそが艦隊のミサイル攻撃の本懐だ。

 その時、 艦体種の周囲に、新しい反応が出現した。

「目標、艦載機を射出。数250」

 レーダーが、一瞬で紅い光点に埋め尽くされた。

 敵艦載機、ソルジャーの群れだ。




***************




[1158時、落着予想地域]

 高高度で編隊を組んで飛行する大型輸送機。

 外ではすさまじい轟音のプラズマジェットの爆音も、コクピットの中では不気味な……まるで葬列を送り出すレクイエムのように聞こえる。

 そう、これはまさしくレクイエムだ。

 ヴァリアントはHMAよりも遥かに堅く、遥かに高い火力を有している。装甲は鉄壁の高分子複合材。下級兵士でもその火力は重装甲のHMAを容易に撃破し、中級ともなれば集団で掛からなければまず勝ち目は無い。

 ――神様……

 この時レイズは、初めて神に祈った。

 縋れるモノには何にだって縋る。それがたとえ実体の無いものでも。

 刹那、コクピット内のコンソールが光り、サラが、兵器に似つかわしくない可愛らしい声で情報を伝える。

「目標地点到達」

 足元のハッチが開く。

「射出用意!」

 HMAの係留ロックを解除。次の瞬間、機体は輸送機のカーゴから空中に放り出された。

 思わず歯を噛み締める。即座にスラスターを吹かし、滑空飛行に移る。

 グラウンドスキャナー、ルックダウンレーダー作動。敵影なし。

 序々に高度を下げ、地面ギリギリのところでスラスターを一瞬だけ強く吹かす。

 砂煙が上がり、足が地面に、ずしりとめり込んだ。

 FCS作動。

 即座に戦闘態勢をとる。

 モニターに映し出される、武装の射撃視界。

 レイズはカメラであたりを見回した。辺りは不気味なほど静かで、風が吹きすさみ、砂埃が舞い上がっている。

 無線に通信。

「全部隊、降下完了」

 即座に布陣。IFFに反応。友軍機。しかしレーダーには反応無し。

 空軍のステルス空戦機、HMA-h2E/F・ディープフォレストだ。

 数十機ものディープフォレストは編隊を組み、地上部隊の頭上を過ぎてゆく。

 それに遅れて、巨大な何かが、轟音と共に翔けていった。

 レイズは一瞬、それが何か理解出来なかったが、結論はすぐに出た。

 金色と純白の装甲。全身に装備された特殊兵装。その巨体。

 セカンドムーブを鎮圧したあの――

「ディカイオスだ……」



***************




 雲のない空を飛ぶのは久しぶりだった。空は明るくて青く、平和に見える。

 感覚を研ぎ澄まし、これから起こることに意識を集中させる。

 自分を中心に、編隊を組んで飛行する空軍のディープフォレスト。

 本部航空戦闘軍団から第8戦術戦闘航空団第4戦闘飛行隊・クロンダイク及び第6戦闘飛行隊・ゲーリック。駐屯空軍から第140戦闘航空団第13戦闘飛行隊・スレッジハンマー。 計三個飛行隊、30機。

 全機が、強力な長距離対空ミサイルを搭載している。

 目的は制空権の確保。それが出来なければ、爆撃機が空域に侵入できない。

 雲を引きながら、巡航速度で飛行するディープフォレスト。

 それを見て、この中で一体何機が無事に帰還するだろうかと、彼は無意識に考えた。

 でも、彼はすぐに考えることをやめた。

 自分が、最大限の効力を発揮すれば。そうすれば、一機でも多くの味方を救うことが出来る。この機体を以てして。

「作戦空域到達」

 声に反応し、彼は大きく息をついた。高高度へ向け上昇するディカイオスのコックピット内で。

 彼の名はグラム=ミラーズ。階級は大佐。

 大戦の英雄であり、兵士。ディカイオスのパイロットであり、対ヴァリアント戦闘の前線指揮官。

 教本に載るほどの人物だが、その年齢は意外と若い。

 声の主は、彼のイクサミコ、エステルだ。

 彼は通信回線を開き、各機へ通達。

「ディカイオスよりスコードロン全機へ。各々展開後は、作戦空域の敵機を攻撃。殲滅後ポイントで合流する。行くぞ、ブレイク……ナウ!!」

 各スコードロンが、編隊を維持したままディカイオスの周囲へ散開。

 戦闘機動に入る。

 レーダーに敵編隊を捕捉。

 母艦は未だに、地平線の向こうに位置している。直接攻撃は出来ない。

「敵機捕捉、数250。敵は広範囲に散開しています」

 散開しているスコードロンが長距離空対空ミサイルを発射。ファーストストライク。弾着を確認した後、ソルジャーの群れとのドッグファイトに入る。そう、犬闘と喩えられる、死角の取り合いだ。

「エステル、母艦の撃破を最優先。先行する」

「了解」

 彼は機体のブースターをさらに吹かす。高度をさらに上げ、敵戦闘母艦へと向かっていった。





***************





 レイズは、爆炎の散る空を見上げたまま、空のかなたへ消えていくディカイオスを目で追っていた。

 対空レーダーに感。上空から敵機多数。

「来たぞ、スタイナー!」

「ああ、また後でな!」

 彼は操縦桿を握りしめて即座に戦闘態勢をとる。

「敵機接近」

 母艦から発進した艦載機――ソルジャーは、編隊を組んでレイズ達に肉薄してくる。

 “ソルジャー”は、ヴァリアント兵器体系の中で最も多く存在する、所謂量産下級兵士だ。

 たかが量産型、と侮ってはいけない。

 人の形でありながら、どこか甲虫を思わせるフォルムは、強靭な装甲の現れ。屈強な体躯は、それ自体が人工筋肉の塊であり、出鱈目な剛性とトルクを持つ。推進機関として搭載された慣性制御装置とフォトンドライブは、ニュートン力学を無視した機動を可能にし、その火力は重装HMAを裕に越える。

 ソルジャーは、それら“ヴァリアントとしての基本能力”を持った、ヴァリアンタスの尖兵だが、最も恐るべきは――

「敵艦載機出ました。レーダーコンタクト、数200。非常に多数」

 サラの声と同時に、レーダーが真っ赤になった。

「これが……全て敵……?」

 その物量だ。

「来るぞ、レイズ!」

 スタイナーの声で我に帰り、息を整える。

 火器を空に向けて構え、照準。

 上空20km、敵が高射大隊の射程内に侵入。次の瞬間、レイズ達陸戦部隊の後方に待機していた高射大隊が、地対空ミサイルを一斉発射。発射されたミサイルは空を真っすぐ上って行き、敵ビームカノンの有効射程外である敵機手前5kmで六基の子弾に分解。

 同時に、群れの中で無数の閃光が散った。

 敵機がビームカノンを一斉に発砲。一瞬、まるで指向性地雷の散弾の如く密度で放たれたビームの雨は、多弾頭ミサイルを容易に迎撃。金属ヘリウム製弾頭は、その小振りなサイズには見合わない巨大な火球を空に咲かせ、発生した衝撃波が大気を叩く。

 爆炎が晴れる。

 モニターに、空間を埋め尽くす敵機の群れが映った。

 ――撃ェ!!

 号令と同時に、レイズはトリガーを絞った。

 瞬間、両手の火器が火を噴く。

 高射大隊のミサイルをかい潜り、地上に降下した敵機は150機以上。

 敵機はまるで雲のように群れ、一つの波となって押し寄せてくる。

 対してソルジャー達は、各々が高速で機動しつつも、全体としての指向と統率は何一つ乱れず、まるで一つの意志を持った生き物の様に行動する。

 これこそが、ヴァリアントの真の恐ろしさ……独自のネットワークを用いた広域同時指揮通信システム。

 攻撃・防御・移動……。それら全てを最も高い効率で行ってくるのだ。

「スタイナー! 僕たちは高射大隊の壁だ! 何があっても抜かれるなよ!」

 レイズ機のすぐ横でスタイナー機が90㎜軽機関砲を撃ちつづける。

「解ってるよ! 来いこの野郎!」

 対空砲火の嵐を抜け、多数のソルジャーが地表へ降下。ソルジャーは、地面に脚を着ける事なく直角に軌道を変え、地面を高速でホバー移動してくる。

 火器を水平射。砲の散布界を敵機の群れに重ね、トリガーを引く。

 連射されるメタニウム弾。

 ヴァリアントの装甲外殻は、高分子複合素材という超高強度複合材だ。

 その強度は、通常の弾頭では貫通不能。ただ一つ、メタニウム製徹甲弾を除いて。

 その特殊弾がソルジャーの胸と腹を捉えた。

 バランスを崩し、レイズ機の足元に墜落するソルジャー。

 レイズはそのソルジャーを踏みつけ右手のライフルを連射し止めを刺しながら、左手の火器を群に向かって連射。

 突然、左手ライフルのボルトがロックする。

「左アサルトライフル、残弾ゼロです」

 彼はすかさず、右手アサルトライフルと腕部にマウントされた100㎜単装機関砲を同時に発砲。

 弾幕を張りながら、左アサルトライフルからマガジンを抜き、大腿部側面に装備されている予備マガシンを差し込んでリロード。

 敵からのミサイルとビームの降り注ぐ中、両腕を構えて再びトリガーを引く。

「敵、ビームカノン、注意してください」

 次の瞬間、敵からの一斉射撃が部隊に降り注いだ。

 無数のビームの雨。

 ビームはレイズのHMAのすぐ横を掠め、立て続けに数発のビームが着弾する。

「スタイナー!」

「気をつけろ! レイ……」

 突然、スタイナーからの無線が切れた。

「スタイナー?」

 レーダーから消える、スタイナー機の表示。

 同時に、数発のミサイルがレイズ機に迫った。





*****************





 巨大な推力を開放しながら、ディカイオスはさらに高度を上げて行く。

 次の瞬間、コックピット内に表示される落下軌道の情報通り、敵の戦闘母艦が、全長数百mはあろうかと言うその巨体を真っ赤にさせながら降下してきた。

 艦体は、迎撃仕切れなかった防空ミサイルの直撃で、であちこちが千切れているが、未だに活動を停止しない。

 人類が、数年に渡る戦闘の中で知った、ヴァリアントを破壊する方法は二つ有る。

 一つは、動力である反物質反応炉と制御中枢を兼ねたコアを撃ち抜く事。再生能力を持ったヴァリアントは、多少の損傷などみるみる再生してしまう。だが、コアがほんの数パーセントだけでも損傷を受けると、たちまち活動を停止してしまう。

 そしてもう一つは、ヴァリアントの再生能力を超える損傷を与え、身体維持能力を奪うこと。

 前者は困難だが確実であり、後者は簡単だが不確実だ。

 しかも艦体種は、質量が数十万トンにも上る大型種。破壊には数発の指向性熱核弾頭が必要になる。

 しかしディカイオスは、それをやってのける。 

「12時方向から高エネルギー反応」

 敵の艦首が煌めき、巨大なエネルギーの奔流が機体を掠める。

 敵艦の主砲、5000㎜陽電子砲だ。

 敵は再生より、攻撃にエネルギーを注いでいる。

「エステル!」

 彼の声に応え、エステルが機体腰部に装備された亜空間コンテナの中から、一つの武器を取り出して装備する。

 プレッシャーカノン。極度に歪曲した重力波フィールドを射出する射撃兵器だ。

「敵艦、全砲門を解放」

 敵艦は全身の対空砲を撃ちながら、艦首陽電子砲を再びチャージ。

 それに対し彼は、対空砲の弾幕を回避しながら、敵をロックオン。

 敵艦がミサイルを発射。数60。

「敵、ミサイル発射」

 彼は冷静に武装を選択。次の瞬間、ディカイオスの両膝ブレードアーマーが展開し、無数のレーザーが照射された。

 レーザーは全て自動で誘導されながら、次々に敵ミサイルを貫いてゆく。AHL――アクティブホーミングレーザーだ。

 ミサイルを迎撃し、プレッシャーカノンの射線を敵艦に重ね、トリガー。

 射出された重力波フィールドは、敵の左舷をまるごと削り取るが、敵は構わず陽電子砲を発射。

 同じ射軸上で発射された陽電子砲はディカイオスを直撃。

 ディカイオスは、左腕から展開した重力波フィールドで陽電子砲を防御するが、突撃してきた敵艦の艦首がディカイオスの胸部に衝突。敵艦は推進機関を最大出力で噴射し、ディカイオスを押しながら前進を続ける。

 その時エステルが、敵艦の異変に気づく。

「敵艦構成物質、励起。自爆するつもりです」

 敵艦は最後の力を振り絞り、自分を構成する物質を次々に励起爆薬へ作り変えていた。

 敵艦の質量は数十万トン。その三割が爆薬化するとしても、その破壊力は空前絶後の爆発力だ。もしこんなものがここで爆発すれば……。結果は火を見るよりも明らかだ。

 ――やらせはしない。

 グラムが、心の中でそうつぶやく。

 次の瞬間、ディカイオスの右膝蹴りが敵艦艦首にヒットしブレードアーマーが深々と突き刺さる。

 そして彼は、突き刺したブレードアーマーから、ホーミングレーザーを零距離で発射。

 内部から貫かれ堪らず推進軸をずらそうとする敵艦の艦首を蹴り飛ばし、背後へ回る。

「エステル! プレッシャーカノン、出力最大!」

 彼はそう言ってプレッシャーカノンを構え、腰部側面重力アンカーユニット“オルトロス”を射出。アンカーを空間に打ち込み、自身を空中に固着する。

 遠ざかって行く敵艦。

 刹那、プレッシャーカノンのトリガーが引かれた。

 プレッシャーカノンの砲口から、極太の歪曲重力波フィールドが撃ち出される。

 プレッシャーカノンは、極度に圧縮した重力波フィールドによって強制的に歪曲させた空間の復元力をコヒーレント化し指向性を与えて打ち出す際に発生する衝撃波によって目標を破壊する超兵器だ。

 この衝撃波は空間そのものの振動が伝播するものである為、物理的な距離を進行することでそのエネルギーが減衰することはない。その為空間歪曲に反発して発生する空間の自己復元力のエネルギーの実質上粗全てを目標に叩きつける事が出来るのである。

 そして、目標は自身の存在する空間ごと振動し、基礎構造から破壊されることになる。

 事実、敵艦はトリガーと同時に、完全に粉砕され、その存在をこの世界から消されていた。





***************






 目の前で爆炎が散り、一瞬意識が飛んだ。

 目が覚める。

 生きている。

 ミサイルはアクティブ防御機能で撃ち落とされたらしい。

 直撃を免れたとはいえ、敵の発するミサイルもその弾頭は金属励起爆薬。メタニウム装甲とh2の強固なフレーム強度がなければ、戦闘不能になっていた所だ。

「サラ……、スタイナーはどこだ?」

 サラがレイズに答える。

「504号機、反応無し」

 その瞬間、レイズの瞳孔が一気に開いた。

 起き上がった自機の足元には、スタイナー機の持っていた軽機関砲が。そして周囲には、HMAの残骸が転がっていた。

 辛うじて残った装甲板の切れ端。そこには504の数字。

「ああぁ……スタイナー……そんな……そんな……」

 ――店をやる。

 ――みんなを笑顔にする。

 よみがえる、彼の……、スタイナーの言葉。そして……笑顔。

「うわあぁぁぁあぁ!!」

 次の瞬間彼は、スタイナー機の持っていた重機関砲を持ち、スラスターを思い切り噴かしていた。

「おい、待て! やめろ!」

 小隊長の制止を無視して、単機、ヴァリアントの群れに突撃して行くレイズ。

 機体を掠めるビーム。

 昇華する地面。

 無視。無視。無視。

 今は何も感じない。

 今はただ奴らを……

 ――殺してやる!

「敵機、左40、4機。右30、3機接近」

「うおあああぁぁ!」

 右手にアサルトライフルを持ち、左手に機関砲を持つ彼は敵機をロックし、トリガー。

 彼の咆哮と共に、両手の重火器が火を噴き、メタニウム弾が連射される。

 爆ぜる敵機。

 彼の周囲の空気と、モニターを焦がす爆炎。

 ダウンカウントしていく弾数表示。

 足元に転がる、無数の空薬莢。

 複数の敵機を単機で相手をしているせいだ。火器の弾薬はすぐに底をついた。

「ライフル、機関砲、残弾0」

 彼は弾切れになった火器を即座に手放し、一機のソルジャーに飛び掛る。

 ソルジャーはビームカノンを発砲。レイズは至近距離で放たれるビームカノンを回避するが、ビームは左肩を貫通。かまわず、ソルジャーの首を掴むと、両腕部にマウントされた100㎜単装機関砲を撃ちつづける。

 ――殺してやる!

 ――殺してやる!

 呪詛のように繰り返す彼の機体の後ろには、陸軍航空騎兵隊の重武装機、HMA-h2C/B・ストライクウルフが迫っていた。

 しかしレイズは、それさえも無視して撃ちつづける。

 腕部機関砲残弾ゼロ。彼は撃ち抜いたソルジャーを捨て、弾切れになった機関砲をパージ。腰からソニックブレードを抜いて握り締める。

「うおおおおおおお!」

 彼は近くの敵へ真っ直ぐにブレードを振り下ろした。

 腕を交差させ、ブレードを受け止めるソルジャー。

 火花を散らしながら、ソルジャーの腕に食い込んでいく超振動ブレード。

 やがて刃は、ソルジャーの腕を両断し、胴を切り裂いた。

 不快な金きり声を上げるブレード。

 高分子複合素材を切ったせいで、ブレードが一気に刃こぼれした音だ。

 それでも、ソルジャーは倒れない。

「ああああぁぁあ!」

 レイズは再びソルジャーに渾身の力をこめて切りかかった。

 対するソルジャーは拳部分に装備された超振動ナックルを起動させ、右拳でブレードをガードする。

「くっ!」

 まばゆい火花が、レイズのブレードと、ソルジャーのナックルの間で散る。

 砕けるブレード。

 ソルジャーは左手でレイズ機の腹にパンチを食らわせる。

「がっ!」

 突き飛ばされる機体。

 衝撃はコクピットにまで伝わった。

「腹部、第一、第二装甲板損壊!」

「軽く食らっただけでこれか…!」

 再び腕を振り上げるソルジャー。

 突然、ソルジャーが砲弾に貫かれ、爆ぜる。

 次の瞬間、彼の機体は駆け付けた小隊長機によって引き倒された。

「馬鹿野郎! 爆撃に巻き込まれるぞ!」

 無線に響く小隊長の声。

 同時に、数十機にも及ぶ騎兵隊機から数百発もの255㎜ロケット弾が、群の中に撃ち込まれた。

 そのさまはさしずめ、ツリーラインを斉射する戦闘ヘリコプターのようであり、事実、ストライクウルフはロケット弾攻撃のあと対装甲ミサイルを満遍なくばらまき、敵軍勢を掃射。待避がてら、敵軍勢の上を擦過しながら右腕90㎜ガトリング機関砲を斉射する。

 ストライクウルフの後には、数十機の爆撃機が来た。

 爆撃機は数発の爆弾を投下。その爆弾は上空500mで破裂。空中に散布された液体爆薬は瞬時に爆発し、巨大な火の玉と化した。対ヴァリアンタス用に改良されたFAEはその爆風と熱、電磁波により文字通り地上にある全てを焼き尽くす。


 それはまるで嵐のような……爆炎の海。



TO BE CONTINUED...


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