あ た ま
掲載日:2026/09/28
「あ。」
ふと、顔を上げた時、晴れ間が広がっていた。
連日の雨。
朝から雲が動き続けていて、ベランダに出ても、外を歩いていても薄い影で覆われた視界。
モヤ、というのは違うのだろう。
ただ、なんとなく薄暗いのだ。
明るいような、暗いような、どちらとも捉え方で変わる明るさ。
自分にとってこれはどちらなのだろうか。
ただただ、だらりと考え始めると、自然と顔は下を向く。
俯いて、足元を見つめて色を確かめる。
コンクリートの色は変わらないようで、実は違う。
水分を含んでいるのかどうか。
光を反射しているのかどうか。
水が溜まっているのかどうか。
光が吸い込まれているのかどうか。
じっと見つめたその後で、じりじりとした感覚。
そして見上げてみると、そこに広がる青と白と灰色の図。
空は綺麗に晴れてはいない。
けれども、晴れているところがあった。
気づいたのは、自分ではなく、頭。
髪が、頭皮が、熱が、風が。
教えてくれた、景色のひとつ。
「まぁ...。」
ゆるりと見上げ、首を、頭を回す。
ぐるり、ぐるりと回して、血を巡らせる。
そして大きく深呼吸をして、ぐっと体をそらす。
動き出そう。その為にはまず。
頭を、顔を上げて、1歩踏み出す。
そこから、始めよう。




